【川柳連作】「暗い人間」『旬』211号、2017年5月号
- 2017/06/02
- 09:44

怒られたらどうしようと思う眠る百日紅咲いて短詩の大失敗お城にもふつうのひとが多くなる『ただならぬぽ』カバー外すと『ただならぬぽ』わたしは暗い人間だったサイドカーの対義語は蛭子能収電話して頼んでおいた蝶の肉あったかくするのに猫を追加するカーニバルかたあしで愛を告げてもいい祭りジャイアント馬場それも霊体がマーライオンを通過する 柳本々々「暗い人間」『旬』211号、2017年5月号「柳本々々々」様宛で郵...
【川柳連作】「ぜんぜんこわくない方」『おかじょうき』2017年4月
- 2017/04/23
- 09:21

流星にエキサイトしてもしなくてもいい5000万画素の亡霊鮮やかに清水さんを換骨奪胎するなんて台風のぜんぜんこわくない方が「はい」の後 柳本々々「ぜんぜんこわくない方」『おかじょうき』2017年4月 *『点』奈良一艘選「えーまだ続くのー」と点たちの声 柳本々々この点は新幹線の糞だろう 〃 *【研究吟】ロボットが知るめちゃくちゃという概念 柳本々々 *津軽海峡馬にたてがみ雪になる...
【川柳連作】「I'm a Cheshire Cat」『おかじょうき』2017年3月号
- 2017/03/29
- 22:31

【川柳連作】「I'm a Cheshire Cat」『おかじょうき』2017年3月号私は魔力をもった猫なのです」台形をかかえ「おうちはどこですか」やったーとイェーイがふいに拮抗し滑り台気圧が変わるときの漏れくどいようですがくどいようですが酢 柳本々々「I'm a Cheshire Cat」『おかじょうき』2017年3月号 *【『爪』奈良一艘選・人位】けんぜんな爪なら液が溜まるとこ 柳本々々【『ずるずる』むさし選・五客】茹でるとずる...
【川柳連作】「油の瓶」『川柳の仲間 旬』210号、2017年3月号
- 2017/03/29
- 21:55

信号が錯乱してる江戸時代亜おじさんに限定された動物園世界文学を確保せよどほんとした穴も主語とか動詞とかどうでもよくて沼どうして「う゛らヴぃんじゃあや」と言うの油の瓶をポッケ に入れたまま話す誕生日ほとんど光をしていない毛深い記憶こわがる記憶飛んでいる象の背中に妻がみえ介護百人一首二〇一七骨川家 柳本々々「油の瓶」『川柳の仲間 旬』210号、2017年3月号オムレツができていくときの、ぐじゅぐじゅした...
【川柳連作】「遺書を書く」『はじめの一歩』2017年1月
- 2017/02/20
- 23:11

こうするとぶらさげられる春ですよ素晴らしいペニスが飛跳翔飛跳翔飛跳翔飛跳翔(と)ぶどうしても両手が垂れてしまいます帽子から鳩といっしょに「そろそろ」が出るおおおおお上から秋が垂れてきた天皇の臍村上春樹の臍「あーあー」が剥き身のままで流れ着く混じっても混じっても混じっても獏朝も夜も点になって遺書を書く話し合いはしたくないとにかく破壊したい 柳本々々「遺書を書く」『はじめの一歩』2017年1月 ...
【川柳連作】「鞭で打たれる」『おかじょうき』2017年2月
- 2017/02/12
- 21:40

テーマを吹きなさいと鞭で打たれる体力を出し切ってから読む「メロス」抱く転ぶ書く啜る全部ドラえもん漱石の『こころ』も川柳であるジャングルをひゅーっと噴き上げる薬缶 柳本々々「鞭で打たれる」『おかじょうき』2017年2月 *【『地』奈良一艘 選・五客】地面から仲代達矢のびてくる 柳本々々こっちからこっちは死です踏みますか 〃【『じりじり』月波与生 選・佳作/地位】1980年のじりじりと1981年...
【川柳連作】「やせたかみさま」『触光』51号、2017年2月
- 2017/02/05
- 19:29

そういえば麩それでなくても酢未来やせたかみさまがじてんしゃにのる著作権のわきで生魚が跳ねるね、あふれたとはじめて笑った水出口入口つまずくことも幸せで下五を共に考えて欲しい。 柳本々々「やせたかみさま」『触光』51号、2017年2月 *殺処分されないように手を洗う 野沢省悟...
【川柳連作】「アンポンタン・ポカン君と亜おじさん」『触光』50号(野沢省悟 選)・2016年12月
- 2017/01/25
- 10:01

追い抜いたその先はすぐ崖である眼鏡ごしにしかみたことのないひと曼珠沙華死なないように生きているなまものだから腐敗する謎野菜からほろほろ洩れる亜おじさんこんな時だがアンポンタン・ポカン君を想うぼくはぼんやりをしようとおもいます洗濯機から逃げているのも洗濯機 柳本々々「アンポンタン・ポカン君と亜おじさん」『触光』50号(野沢省悟 選)・2016年12月 *水際にいつも立ってるあんぽんたん 野沢省...
【川柳連作】「いつもおもてにでられるように」『おかじょうき』2017年1月号
- 2017/01/24
- 12:04

黒板がやわらかくなる先生を呼ぶ八十曲目で落ちるように眠る服を脱ぐいつもおもてにでられるようにさんぜんななひゃくよんじゅうににんと寝真剣なふりだしが勃起している 柳本々々「いつもおもてにでられるように」『おかじょうき』2017年1月号*難破船ばかりで沖へ出られない まみどり...
【川柳連作】「霧のおじいさん」『おかじょうき』2016年12月
- 2017/01/23
- 20:48

言葉でしかないものに手を貸している眠るゴリラあなたでなくてはいやなのです跨いでも跨いでも肉のふわふわ夢の浅瀬に国際展示場正門霧のなかさよならをいう霧のおじいさん 柳本々々「霧のおじいさん」『おかじょうき』2016年12月 *【『多』きさらぎ彼句吾 選・佳作】11分あるボブ・ディランの曲 柳本々々【『足す』守田啓子 選・佳作】火星テレポーテーション計画 打ち水をする 柳本々々眠る間際にしずくの...
【川柳連作】「ハローキティ忌」『川柳の仲間 旬』2017年1月号
- 2017/01/23
- 12:01

にゃにゃ、にゃ、にゃにゃとてもシリアスな猫の会議の風船を飛ばす頑強な男たち細胞が面接にゆくと「細胞かあ」と言われる草木国土悉皆成仏キティもそう三十世紀のキティはショッキング・ピンクEver and Never: ぶん殴ろうかと思ったと言われ写真には逃げ場がないじゃないかの「ぴ」タールから引き揚げるぐったりした戦後史筋肉質のキティ遙かなるハロー近代なんてなかったハローキティなんてなかった 柳本々々「ハローキ...
【川柳連作】「たくさんなでてやる」『おかじょうき』2016年11月号
- 2017/01/22
- 21:42

川柳のあたまたくさんなでてやる卵も死も肺も火も煙も液体ソーシャルネットワークサービスのなかの裸族 怒鳴るの?読むの?問うの?繁るの?お、おまえは「本のひとだな」の問い 「はい」という答え 柳本々々「たくさんなでてやる」『おかじょうき』2016年11月号 *【『組』守田啓子 選・佳作】いっちょくせんに並ぶ犬/巨人/月 柳本々々【『反る』奈良一艘 選・佳作】いきがった動詞は助詞に殺される 柳本々...
【川柳連作】「ゴジラ忌」『川柳の仲間 旬』208号・2016年11月号
- 2017/01/22
- 15:40

眼のように花火のように煮るように戸を閉めたあとの顔が凄いトランクに鮭詰められるだけ詰めて新宿紀伊國屋書店本店に大量に浮くブラウン管ハチ公の前具体的にかかる呪い川柳の形態変化血を零し高品質なぼんやりを買う排水溝に吸い込まれゆくゴジラ幼生試写室のまん中胚胎するゴジラ誤っておかーさーんというゴジラ 柳本々々「ゴジラ忌」『川柳の仲間 旬』208号・2016年11月号 *ずっと真っ暗なでんしゃにのって女...
【川柳連作】「川合大祐に尋ねる」『おかじょうき』2016年10月号
- 2017/01/21
- 22:25

タミヤ製もかめはめ波も写真もかっこいい虫を捕るんじゃないよこの次元ではドラえもんがミサイルみたいに燃えながら八月六日九日九月二日の野比のび太川合大祐に尋ねる「ぐびゃら」の訳を 柳本々々「川合大祐に尋ねる」『おかじょうき』2016年10月号 *【『勢』熊谷冬鼓 選・天位】最初から天皇最後まで天皇 柳本々々【『攻める』奈良一艘 選・佳作】フルカラーの攻撃的な秋だった 柳本々々【『自由詠』むさし 選...
【川柳連作】「さわやかなひらてうち」(「触光の作家」『触光』2016年10月)
- 2016/10/06
- 07:13

こうするとぶらさげられる春ですよひゃっとする花束の背中さわると死ぬときにキリンは鯖の夢をみるお祈りのかたちのままでバスに乗る浴室に江國香織が直立すさわやかなひらてうち、朝 うわーいいね○のような素のようなガチガチのようなトイレあけるとがぜん犀でした最後まで寄り添ったのは叱るため 柳本々々「さわやかなひらてうち」(「触光の作家」『触光』2016年10月) 「たてがみを失ってからまた逢おう/小池正博」...
【川柳連作】「鳥の息」(『触光』49号・2016年10月)
- 2016/10/06
- 01:08

ごちそうさまでしたの合図で撃ちなさいサボテンを待って倒幕したいと言う鳥の息を感じたことがありますかフルコースすぐに「いいよ」と頷くひとと鹿になって話しかけるのはやめなさい青に眩んではのび太まるかじりこんなにいい風のなかで考えるジャミラ 柳本々々「鳥の息」(『触光』49号・2016年10月) *気まぐれにゴジラがほじっている日本 野沢省悟...
【川柳連作】「ふりだしに戻るとき真顔」『おかじょうき』2016年9月
- 2016/10/04
- 17:43

腋毛ですわたしと少し話しましょう話し合いをしている途中の真っ赤一部の神秘はこちらが便利です殴ると光るんです蹴ると燃えるんですふりだしにもどるんですねえと真顔 柳本々々「ふりだしに戻るとき真顔」『おかじょうき』2016年9月 *【題「数」・月波与生 選・五客】ご家老の数を足すのはやめなさい 柳本々々【自由詠・むさし 選・佳作】次々と悲しい自動販売機 柳本々々 *夜の海生きているってなつ...
【川柳連作】「ジャイアンの手紙」『おかじょうき』2016年8月号
- 2016/10/01
- 14:08

夏になりのび太は0を理解するジャイアンが書く手紙はジャイ子が読んでいるこの部屋にアリスは何個あるだろう落款はページの奥で鳥になり全問完答してくる洗濯機 柳本々々「ジャイアンの手紙」『おかじょうき』2016年8月号 *過労気味のクローンを連れて病院へ 安藤なみ少しずつ狂って狂いきって 静か 斎藤泰子三日月の欠けたところへ出る小径 むさし...
【川柳連作】「いっぱい」『俳句新空間(21世紀俳句選集)』6・2016夏
- 2016/09/30
- 15:44

教室はいなくなるひとでいっぱい真っ白なでんしゃのやわらかい部分少女革命、と最後に口にした啄木真夜中の Moominmamma の m の数おとうとの三割はこうそくどうろ俺がミッフィーだったら有り得ない近代全滅の野原 一通の回文ぱっへるべるかのんと息を吐きなさいわからなくなるサバンナとバナナの差最後までふとんのなかは息でいっぱい 柳本々々「いっぱい」『俳句新空間(21世紀俳句選集)』6・2016夏...
【川柳連作】「俺のオズの国」『おかじょうき』2016年7月号
- 2016/09/27
- 15:40

夏だなあいいたいことがだまになるおじさんのように俳句が立っているおばさんと月は等価と君が云う大尉から大尉へ如雨露手渡されだらだらと馬油(ばーゆ)流れるオズの国 柳本々々「俺のオズの国」 *【題「紙」・奈良一艘 選・佳作】再生紙クシャクシャ死んだように寝る 柳本々々【題「叱る」・きさらぎ彼句吾 選・天位】最後まで寄り添ったのは叱るため 柳本々々【題「自由詠」・むさし 選・佳作/五客】徘徊が...