【感想】あやまっているがボタンを押している 徳永政二
- 2015/06/19
- 12:11
にはかに座より躍り上がり、面色さながら土の如く、「我豊太郎ぬし、かくまでに我をば欺き玉ひしか」と叫び、その場にたふれぬ。 森鴎外「舞姫」あやまっているがボタンを押している 徳永政二【ずるい「こゝろ」】徳永さんのフォト句集『大阪の泡』からの一句です。〈勇気〉ってなんなのか、をひとことでいうとわたしはこの句になるんじゃないかとおもうんです。「あやま」りはする。言語的に主体をとりさげはするんだ...
【感想】私の部屋にあふれる通行人 佐藤みさ子
- 2015/06/11
- 13:15

私の部屋にあふれる通行人 佐藤みさ子【マルクス兄弟の過剰さから遠く近づいて】倉本朝世さんが発行している『あざみ通信』4号の佐藤みさ子さんの連作「からっぽの壺」からの一句です。わたしこのみさ子さんの句がとても好きで、で、基本的にわたしは部屋や水たまりで冒険や遠泳ができるんじゃないかとかんがえている人間なので、こういうミクロな空間がマクロに破砕されていく風景ってとてもすきなんですね(このみさ子さんの...
【感想】きのうとは違うかたちで飛んでみる 今井和子
- 2015/06/06
- 20:33
きのうとは違うかたちで飛んでみる 今井和子M 今井さんの一句です。Y あの、この句でおもしろいなって思うのが、まず「飛べる」んですよ。もう「飛べ」てしまうんですよ。飛ぶことは前提化されているんですよ。ふつう、空を飛びたいな、とかじゃないですか。でも、もう飛べてしまっている。ただ「きのうとは違うかたちで」飛んでみている。そこに差異をもってきているのが、おもしろいなっておもうんです。なぜなら、わたし...