【希望の川柳 十四日目】小池正博と-川合大祐-
- 2016/08/06
- 21:26

青髪の少女は行ってしまったよ 川合大祐【構文とサブカルチャー】川合大祐さんの句集『スロー・リバー』からの一句です。川合さんの句集っていろんなテーマから読める句集になっていると思うんですが、ひとつ、小池正博さんの川柳との共振があるんじゃないかと思うんです。小池正博さんの川柳の特徴のひとつに、助詞「は」から形作られる川柳空間というのがあるんじゃないかと思うんです。たとえば最近の『川柳カード』12号にも...
【希望の川柳 十三日目】マジックリアリズムと写生-大川博幸-
- 2016/07/29
- 12:48

青蛙二匹溶けあうこともなく 大川博幸【不思議なことがない不思議】これ面白いなっておもうのが、語り手が二匹の蛙は溶け合うものだとあらかじめ思ってしまってることです。そういう前提があってこそ、「青蛙二匹溶けあうこともなく」が成立する。語り手が驚いているのは、《溶けあわなかったこと》なんです。溶け合うものだとおもっていたから。でも写生ってじつはそういうものであるようにもおもうんですよ。あらかじめ抱いて...
【希望の川柳 十二日目】希望のこと、めりめりのこと-くんじろう-
- 2016/07/15
- 00:06

めりめりを探し続けて三千里 くんじろう【いっしょにさがそう、めりめり】『川柳北田辺』63号からくんじろうさんの一句です。これは俳句と比較してそう言われることでもあるのかもしれないけれど、川柳とは人間を描くものである、という規定があるんですね。で、そうなんだろう、とも思うんだけれど、一方で、むしろまったく逆なんじゃないか、できるだけ〈人間〉を描かないように苦心してきたのが川柳なんじゃないかと思うんで...
【希望の川柳 十一日目 】やむをえない希望-高瀬霜石-
- 2016/07/11
- 23:03

ビビビビビ・ビビビビビビビ・ビートルズ 高瀬霜石【川柳はビートルズにどう向き合ったか】この句の面白さって、「ビートルズ」っていう名詞の強度にあるような気がするんです。「ビートルズ」という名詞を出したしゅんかん、すべてを語ることができてしまうような「ビートルズ」という名詞の強度。そうすると、ほかになにを語ってしまっても定型のなかがアンバランスになる。唯一それでも定型のなかでビートルズを語りうるのだ...
【希望の川柳 十日目】希望のラジオ-石部明-
- 2016/06/30
- 08:07

ラジオより流れる呪文死になさい 石部明ポケベルのように滅びるオールドメディアもあれば、ラジオのように機能と位置づけを変えつつ残り続けるメディアもあります。 (石岡良治『視覚文化「超」講義』)【霊と機械】石岡さんの指摘で、あそうか、と思ったんですが、なぜラジオが霊性のメディアに感じられるのかというと、たぶんそれはメディアとしてずっと〈生き残っている〉ところがあるからなんじゃないかと思うんですよ。...