【感想】あの青い電車にもしもぶつかればはね飛ばされたりするんだろうな 永井祐
- 2016/03/21
- 23:53

あの青い電車にもしもぶつかればはね飛ばされたりするんだろうな 永井祐【口語は存在しない】花山周子さんが永井祐さんの〈口語〉をめぐって次の指摘をしているんですね。話し言葉を基準に見た時、ほとんどの短歌は、不自然であり、文語的だということもできる。その点で言えば、永井祐は極めて真っ当に口語短歌を追求している稀有の存在だと言えるのではないか。 花山周子『北冬』16で、わたし、この花山さんの指摘を読んだ...
【感想】葱の根の干からびたような髪をして永田和宏徘徊をせり 花山周子
- 2016/03/20
- 20:29

葱の根の干からびたような髪をして永田和宏徘徊をせり 花山周子【歌人詠を詠む歌人詠】この花山さんの歌をはじめてみたときかなり衝撃的だったんですよ。なにが衝撃的だったかというと、歌人詠というか、歌人が歌人を詠む歌っていうのは、どこかでその歌人が歌人に関係していくことの関係的距離感のようなものがあるんですね。親しみ、というのでしょうか。でもこの歌の構造には徹底的な語り手と「永田和宏」さんとの〈非関係〉...
【感想】こどもだと思っていたら宿でした こんにちは、こどものような宿 笹井宏之
- 2016/03/18
- 00:09

こどもだと思っていたら宿でした こんにちは、こどものような宿 笹井宏之【忘れること。もっと、忘れること。詩のために】笹井さんの短歌にとって《健忘》って大事な要素かもしれないなとおもうんですね。ただこれは笹井さんの短歌だけじゃなくって、〈文学〉にとっても《健忘》って大事な機能だとおもうんですよ。わすれること。積極的に、わすれること。じゃあ、どうしてか。それはわたしたちが無意識にはめ込まれしまってい...
【感想】いのちのかち。それは、じかん。―短歌と価値をめぐって―
- 2016/03/17
- 00:30

昼休み友だちがくれたポッキーを噛み砕いてはのみこんでいく 加藤千恵前肢が崩折れて顔から倒れねじれて牛肉になってゆく 斉藤斎藤【たんかは、ながい】なにかモノやデキゴトに対して〈価値〉があるとするならば、それってその語り手の〈執念=執心〉ではないかとおもうんですね。〈こだわり〉というか、ふだんひとが〈圧縮〉してあつかっているものを〈解凍〉したときにでてくるもの。それが〈価値〉になっていくのではない...
【感想】行きたくもない学校の決められたクラスの中で会いたかった人 加藤千恵
- 2016/03/17
- 00:00

行きたくもない学校の決められたクラスの中で会いたかった人 加藤千恵【学校の隙間をさがそう】たしか私が高校を休学していたときだったと思うんですが、新聞で加藤千恵さんの短歌が紹介されていてそれをみた瞬間、あっ短歌ってなんかすごいな、っておもったんですよ。そこから現代短歌に入っていくでもなかったんですが、でもそのことはよく覚えているんですよ。で、今考えてみるとそのときわたしには加藤さんが立てていた〈学...