【希望の川柳 四日目】すべての希望はじゅもん-Sin-
- 2016/05/18
- 05:03

さいごまでいけなかったのはじゅもんのせい Sin【川柳と呪文】さいきん割と本気で思っていることなんですが、川柳って呪文に近いんじゃないかなと思っているんですね。前から川柳ってふしぎだなと思ってはいたんですが、川柳がふしぎなのではなくて、川柳は呪文だからふしぎに見えるだけなんじゃないかと。で、呪文ってなんなのかというと、一見世界のなかで意味が通らなさそうなものが世界の意味を通す言葉ですよね。意味がわ...
【希望の川柳 三日目】的確な希望-津田暹-
- 2016/05/16
- 00:35

10時10分35秒です僕も 津田暹【「僕も」の転換】この津田さんの句でおもしろいなと思ったのが、ピンポイントな時間のあり方とその共有なんですね。「10時10分35秒です」はピンポイントなぎりぎりまでせばめられた時間のありようだと思うんです。もうほんとうに限界までせばめられた。極小化された。これって実は〈共有〉できない時間感覚なんじゃないかとおもうんですよ。ふだんひとはもっと茫漠とした時間を生きていますからね...
【希望の川柳 二日目】率直な希望-竹井紫乙-
- 2016/05/14
- 23:19

ここが好き生まれ育った地下である 竹井紫乙【「好き」の使者】紫乙さんの句集を読んでいると、けっこう「好き」っていう言葉がひんぱんに出てくることに気がつくんですね。しかもひとつひとつの「好き」の強度がつよいんです。つよいんですが、たくさん出てくるってことは、全方位的に「好き」が放射されながらもそのひとつひとつがきちんとおのおのの強度をもっているっていうことになります。この「好き」っていう言葉なんだ...
【希望の川柳 一日目】間違える希望-熊谷冬鼓-
- 2016/05/13
- 23:26

楽なほうへ楽な方へと降りてきた 熊谷冬鼓【希望とパスワード】熊谷さんの句集『雨の日は』からの一句です。これって表記が句の意味と反しているようにおもうんですね。表記がないようにあらがっている。で、なにがあらがっているかというと、「ほう」と「方」の違いからきているとおもうんです。語り手は、「楽」なほうに降りてきた、と言ってはいるんだけれど、「ほう」と「方」という凹凸あるベクトルを描くことによって〈道...
【ふしぎな川柳 第百夜】朝を迎えるために-松岡瑞枝-
- 2016/05/07
- 02:51
ぼろぼろになって帰って来てくれた 松岡瑞枝【第一夜に帰ってきた】この「ふしぎな川柳」のシリーズって第一夜を次の川柳で始めたんですね。幸せで幸せで死を考える 松岡瑞枝この最大の逆説はなんだってことからこのふしぎなシリーズを始めたんですよ。それでそこからずっと九十九の夜を越えてきたんだけれども、九十九夜にしてたどりついたのは、ひとは《最大の恣意性》を引き受けて生きているんだっていうことなんじゃない...