【感想】吉野家に頬杖をつき桜桃忌 松本てふこ
- 2016/05/05
- 23:54

吉野家に頬杖をつき桜桃忌 松本てふこ【頬杖と時間】『庫内灯』からの一句です。「吉野家」って〈短い時間〉の場所だと思うんですね。滞在するような、留まる場所ではなくて、できるだけすぐ食べて・すぐに出る場所。座ればすぐでてきてすぐ食べてすぐ帰っちゃう場所だとおもうんですよ。もちろん、ときどき吉野家や松屋で文庫本を熱心に読んでいる少女をみたりすることだってあるかもしれない。でもだれかが思うかもしれない。...
【感想】藤幹子さんとふたつのカバン―BL俳句って、なんだろう―
- 2016/05/04
- 00:41

銀河行くふたつの旅行鞄かな 藤幹子【BL俳句からわたしが学ぶこと】『BL俳句誌 庫内灯』からの一句です。『庫内灯 BL俳句誌』の巻頭に置かれている石原ユキオさんの「BL俳句の醸し方」で石原さんがBL俳句を楽しむコツとしてこんなふうに書かれているんですね。「情景を想像し、ストーリーを妄想せよ!」で、わたし、BL(ボーイズ・ラブ)ってこの「妄想」が大事なのかなあって思ったんです。ただそれは「妄想」だけ...
【感想】家のなかにいることが大好きになれる俳句-部屋のなかで冒険しよう-
- 2016/03/07
- 23:58

冬の金魚家は安全だと思う 越智友亮わが部屋のきれいな四角夏痩す 高柳克弘エアコン大好き二人で部屋に飾るリボン 長嶋有【室内俳句をさがせ!】前から少し気になっていたんですが、俳句のなかには〈家にいることが好きなひとたち〉がときどき出てくるような気がするんですね。わたしも家のなかにいることが好きなので、そういう俳句が好きなのですが、なんといえばいいのか、〈正面きったインドア派〉といえばいいのか、...
【感想】まさか蛙になるとは尻尾なくなるとは 池田澄子
- 2016/03/06
- 09:36

まさか蛙になるとは尻尾なくなるとは 池田澄子【失ってみよう、しっぽ】池田さんの俳句のなかで、〈他人〉ってとても大事なコンセプトだとおもうんですよ。たとえば、屠蘇散や夫は他人なので好き 池田澄子という句は「はじめに他人ありき」の世界だと思うんです。でも「夫」を「他人」とおいたときには〈夫婦〉というユニットであるみずからも夫にとっての「他人」になるはずなんですよ。で、考えてみると、「他人」からはじ...
【感想】元彼や LINE にゐなくなつても好き 佐藤文香
- 2016/02/21
- 07:49

元彼や LINE にゐなくなつても好き 佐藤文香此の河は絶えず流れゆき/一つでも浮かべてはならない花などが在るだろうか/無い筈だ/僕を認めてよ 椎名林檎「月に負け犬」【フローする俳句】『しばかぶれ』の「ヒビのブブン」から佐藤さんの一句です。この『しばかぶれ』、中山奈々さんの特集が奈々さんをめぐる旧作(文香さん選)・新作・小論・しばかぶれメンバーによる奈々さんの一句鑑賞・エッセイ・年表・ブロマイドなど...