【感想】落ちてきた君は重たし星月夜 佐々木貴子
- 2016/02/20
- 01:00

落ちてきた君は重たし星月夜 佐々木貴子【天空の俳句】わたしは『天空の城ラピュタ』を観るたびにいつも貴子さんのこの句を思い出すんで、かってにこれは〈ラピュタ俳句〉だと思っているんですが、下五の「星月夜」という季語によってもういちど上昇するというか、空へ重心がうつるのがいいなと思うんですね。考えてみると、ラピュタも〈落ちる→上る〉という巨大なベクトルをなぞったアニメなんですよね。上っていくと次々シー...
【感想】オナニーと俳句をめぐって-喪字男さんの俳句作品「昼寝用」の詞書から-
- 2016/02/18
- 00:18

一日ひとこすりで一年くらいかけてオナニーしてみたい。 喪字男(俳句作品「昼寝用」の詞書)オナニーは自己の生理調節だけではなく、増殖し収集不能になりつつある記憶、思い出などを「管理」するための、きわめて人工的な摩擦運動である。 寺山修司「幸福論」【記憶の管理者たち】『しばかぶれ』の中の喪字男さんの俳句作品「昼寝用」には上記の詞書が添えてあるんですね。で、俳句っていうのは季語があることからもわかる...
【感想】長き夜の外から鍵のかかる部屋 喪字男
- 2016/02/17
- 23:23

長き夜の外から鍵のかかる部屋 喪字男孤独は牢獄のようなものだと彼は思った。もし彼女が結婚したくないと言ったら俺はこのまま死んでしまうかもしれない。 市川準『トニー滝谷』ときには自分が誰なのか、一瞬垣間見えることさえある。だが結局のところ何ひとつ確信できはしない。人生が進んでゆくにつれて、われわれは自分自身にとってますます不透明になってゆく。自分という存在がいかに一貫性を欠いているか、ますます痛...
【感想】コンビニのおでんが好きで星きれい 神野紗希
- 2016/02/14
- 01:15

コンビニのおでんが好きで星きれい 神野紗希愛はコンビニでも買えるけれど もう少しさがそうよ スピッツ「運命の人」【おでんとスーパーフラット】ふっと気がついたら家のぐるりに朱雀門みたいにあちこちにファミマが建っていて、ファミマに包囲された場所に住んでいるので、よくコンビニに行くんですね。自分にとって《冒険》というのはいつもコンビニに行くことを意味しているんですよ。まあそれはいいんだけれど、コンビ...
【感想】首に汗疹半分がエロ本の店 中山奈々
- 2016/02/13
- 00:22

首に汗疹半分がエロ本の店 中山奈々【かたよると、うまれる】『しばかぶれ(特集 中山奈々)』からの一句です。この俳句のひとつの面白さに「半分がエロ本の店」っていう《割合》を気にしているところがあると思うんですよね。エロ本のコンテンツを気にしているわけではない。エロの濃度や構成でもない。エロそのものに興味があるわけではなく、本屋さんの《割合》そのものを気にかけている、そういう句なのではないかと思うん...