城とあとがき
- 2016/10/31
- 09:13

「あれから、どう変わったの?」「わからない」とフリーダは答えて、Kの手を見た。フリーダの手をとっている。「何も変わっていないのかもしれない。あなたがこんなふうにすぐそばにいて、こんなふうに静かにたずねると、そんなときは何も変わっていない気がする。でも、ほんとうは、そうじゃない」 (カフカ『城』) *あるひとと話していたら、とつぜんミヒャエル・ハネケの映画『城』を思い出したんですね。カフカの『...
Afterword/Afterworld(あとがき/後の世界で)
- 2016/10/23
- 22:21

品川も破壊されるんですが、その品川で『シン・ゴジラ』を観たんですね。で、なんか弱ったなあというか、困ったなあっていうのが、『シン・ゴジラ』をおもしろかった、って素直に言えないためらいのようなものがあるんですよ。というか、たぶん、そういうふうにつくってある。たとえばどうしても311を思い出させるようにつくってある。そのときそれに対しておまえはどうする、それでも「おもしろい」っていうのかってつくってある...
気まずいあとがき
- 2016/10/17
- 08:15

たとえば世界の片隅でなんの予備知識もないひとりのこども、男子中学生や女子高生でもいいのだけれど、が句に、ただ一句に、文脈もなく出会ったらどうなるんだろう、ということを考えることがある。それが正しいことなのかどうかはわからないけれども。でもそんなふうに考えることがある。どんなに私小説的な事柄でもことばにするときに、そこには言語構成力が入る。出来事をことばとして成立させようとする〈なにか〉がそこに入っ...
うろうろするあとがき
- 2016/10/03
- 00:39

やってくるひとはぜんいん答えをもっているんじゃないかと思うことがある。これはどういう意味かというとほんとうにそのままの意味で、「やってくるひとはぜんいん答えをもっているんじゃないかと思うことがある」という意味だ。だからこんなふうにもおもう。やってくることばはぜんぶ答えをもっているんじゃないかと。わたしにできることはやってきたひとややってきたことばのまわりをうろうろすることである。うろうろしてると、...
後書
- 2016/09/25
- 22:15

さいきん『真田丸』をずっと観ながら三谷幸喜性ってなんだろうって考えてたんですけど、うすうすそうなのかなとは前から思っていたんですが、たぶんそれはその役者がそれまでなにを演じてきたかの〈身体的記憶〉を資本として使うということなんじゃないかと思うんですよね。松本幸四郎がかつて大河ドラマで主演した役名とまったくおなじ名前で出てきた。しかもそこには三谷幸喜のドラマ『王様のレストラン』の伝説のソムリエ役の記...