【感想】短歌/川柳/俳句の《嘔吐》をめぐって-あなたにはできない-
- 2015/11/09
- 12:00

身体から砂吐く月のあかるさに 石部明雑踏のひとり振り向き滝を吐く 〃黄昏の体かがんで蝶を吐く 〃たぶん今ニトリに行ったら吐く 風が動いて他人を抱く他人は 北山あさひ新人賞関連ツイート吐きそうだ窓を開け風に顔をつっこむ 〃美少女の嘔吐がほしいな 裏悪水きついエレベーター嘔吐のさようならたち 島津亮 「吐き気」は、人間の知覚システムのなかで、もっとも強烈な情動の一つである。吐き気を初めて...
【感想】3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって 中澤系/月になまめき自殺可能のレール走る 林田紀音夫
- 2015/11/03
- 17:56

3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって 中澤系月になまめき自殺可能のレール走る 林田紀音夫 いよいよ現実世界へ引きずり出された。汽車の見える所を現実世界と云う。汽車ほど二十世紀の文明を代表するものはあるまい。何百と云う人間を同じ箱へ詰めて轟と通る。情け容赦はない。詰め込まれた人間は皆同程度の速力で、同一の停車場へとまってそうして、同様に蒸気の恩沢に浴さねばならぬ。人は汽車へ乗ると云...
【感想】短歌/川柳/俳句といちゃいちゃをめぐって-短詩型文学はどんなふうにいちゃいちゃを語るのか-
- 2015/10/22
- 00:00

秋深しちゃんといちゃいちゃする二人 泉紅実「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 俵万智レジの列に抱きあふ二人春休 榮猿丸【秋なのでいちゃいちゃしてみよう】短詩型からみっつの〈いちゃいちゃ〉をあげてみました。このみっつから、いちゃいちゃのなにがわかるか。まずひとつ〈いちゃいちゃ〉で大切なのは、それがメモリアルであること、季節のなかのいちゃいちゃであるということです。泉さんの...
【感想】看護婦さんと短詩型文芸-ナースと俳句・短歌をめぐって、或いはヤンキーと短詩型-
- 2015/10/11
- 01:00

いまは〈看護師〉さんですが、短詩型にはふしぎな感触をもって「看護婦」さんたちがあらわれます。なぜなんでしょう。山の焚火をおそれ看護婦飛翔せり 攝津幸彦高い窓に睡る看護婦縄に捲かれ 阿部完市住み込みの看護婦三人月の夜に医院の庭になわ跳びをする 寺脇徹郎なんで「飛翔」したり、「縄に捲かれ」たり、「なわ跳びを」したりするのが「看護婦」さんなのかってことなんじゃないかとおもうんです。そこには記号的逸...
【感想】川柳/短歌/俳句における星=★をめぐって-わたしの短詩星座早見表-
- 2015/09/03
- 12:00

彗星は紅茶をこぼす癖がある 小池正博レインコートをボートに敷けば降りそそぐ星座同士の戦(いくさ)のひかり 穂村弘捨ててないなら実家のどこかにあるはずの星座早見が欲しいとおもう 斉藤斎藤金星をうつしてきみにだす手紙 ながたまみ忘却は星いつぱいの料理店 小津夜景 過去が現在に光を投げかけるのでもなければ、現在が過去に光を投げかけるのでもない。イメージとはそうではなく、かつてあったものが電光...