【短歌連作】「愛のようす」『かばん』2018年6月号
- 2018/05/10
- 04:51

肩ロースのかたまりとかなんとか。そういうごろごろっとしたものが愛だとおもっていた。血がしたたるような。はなが舞っているなあ。でも、バケツいっぱいのあめ玉のような愛もあるのかもしれないねこまかくわけられて、まるみをおびた、邪気のない、時間をかけたものからだにとりこむような。小学生のころ、隣の席の女の子が机にぎっしりとあめ玉をつめこんでいた。わたしはそれをもらったことがある。いったいわたしたちどう歩い...
【短歌連作】「公共交通機関への意識」『かばん』2018年5月号
- 2018/04/22
- 01:14

まっさらなノートの余白に澄んでいたゆうれいが変春の踏切風がこんなにも痛いものだとは思わなかったから踏切で急に図書館で次々消える司書たちの次回予告をくすんだ家でバス停でバス待っているおばさんの後ろに並びバスへの意識びっしりと書いたてがみを玄関のはいったとこに置いてくるこわさそうでしょう?違いますか?と何度も何度も確認される手紙チョコの箱をあけると書類の束で、でもまだ二人で話し合いをしたいないのにわた...
【短歌連作】「ぼくの力ではどうしようもないこと」『かばん』2018年2月号
- 2018/01/22
- 02:25

ソラリスの海には行ったことがない乳房が痩せる夢をみている海だってあなたが取捨選択をしてみせてくれたらもうそれでいいよソラリスの海には行ったことがないどこまで行ったのかと聞かれて会議室なのに海の匂いがしてどうしたんだよと私だけ焦る『惑星ソラリス』を観るたび主人公の耳毛のアップが気になっているあのひとの「死ね」って意味を考えて不思議な光に包まれていたソラリスの海で犬かきする夜の母とか星がわんさか浮かぶ...
【短歌連作】「パンダ帰る」『かばん』2018年1月号
- 2017/12/13
- 07:22

隣り合うことは押し引き合うちから卵サンドの検索 聖夜地獄からパンダとかえる。またあおうね。えらんだ笹でてがみかくからね。 柳本々々「パンダ帰る」『かばん』2018年1月号【添え書きの園】私は寂しくなるとカーヴァーの短編を読み返すのだが、文学の理想とは〈読み返すこと〉にあるのではないかと思ったりもする。かつて坂口安吾が、文学のふるさとについて述べていたけれど、私にとっての文学のふるさとは読み返すことだ...
【短歌連作】「小沢健二と日本」『かばん』2017年12月号
- 2017/11/19
- 00:59

もしかして今日はそっちに行けるかも電車が途中凄くならなければ柳本さん復唱してくださいと言う「わたしはつよいわたしはしなない」部屋が回ってるんじゃなくて私が回ってるんだ満場の拍手ラーメンを食べているとき泣いていた記憶なんかも吹き飛ばされるミサイルが通過することがあります画を撫でるての吹き飛ばされるそれに吹き飛ばされる前の面接で既婚かどうか急に聞かれる「乱れ」電光掲示板に流れてくる「乱れています」流れ...