【短歌連作】「かわいい未来」『かばん』2018年11月号
- 2018/11/08
- 10:39

妖精がいたってぜんぜんかまわない世界がある 素手で電車に「あ、血がでてる、そこ」 「自己愛」 わたしはね電車がすきだよしゃしん撮るもの液晶の画面いっぱい青空に墓がふわふわ血が痛くても「月のいうことは絶対だったんだって」「そう」てくびにちゃんと血は流れ素手で電車に乗ることができたかわいい未来にいけないんですか困ったときはありえない声を出すたすけにきてもらうひつようがあるから猫用のドアを付けたが俺をみ...
【短歌連作】「かわいい青年」『かばん』2018年10月号
- 2018/09/20
- 21:12

彼女とラーメンをすすりながら肩をぶつけながらラーメンを食べる隣のひとに降りますと言えなくてずーっと終点ちかくまで乗る2時間もワインの蘊蓄聞かされて帰って任天堂に勤しむつむってるからどんな器具がつっこまれてるかわからない歯の治療泣いてたらこれは美味しいカツ丼であのこの脇毛凄かったななんでわたしを愛することをやめないんだろうときいたことがあるそば屋のお姉さんからもう食べられなくなっちゃったの?ときかれ...
【短歌連作】「この子できないのかな?」『かばん』2018年9月号
- 2018/09/19
- 20:32

放射性物質をもうお母さんと呼んだらどうか噛んでいいから駆け込めば矢庭に曇る眼鏡たちとってもかわいい電車のなかでみんな最初はたぶんこの辺なんだろう鈍くどほんと輝く乳房あなたにも優先席に優先で座る日がくるだいじょうぶだよ眼をかくすためのまぶたの血の通る電車のほとんどもうふのようなか/ふか 逮捕されなければいいけどなスーツのままでブランコゆらすシンポジウムのときは雲をみているあたまに濡れた髪がはりつくぱ...
【短歌連作】「まだここにずっといるの?」『かばん』2018年8月号
- 2018/07/27
- 21:44

彼がいうようにわたしたちはきのこなのかもしれなかった どっと木いつか俺に死がくるだろうりっぱな犬がおしっこするときの震えこのカヌレだれのと言われ手をあげる桜の園が手に入ったのにスクルージスクルージ (間) スクルージ あなたのことがだいすきだったあと二十日過ぎると戦(いくさ)がやってくる「やだなあ」とかは許されていないさようならまだまだまだ出ないけれど車窓をみると意味が手を振るあるくとき木をみてい...
【短歌連作】「でぶ、私の人生は変化しつつある」『かばん』2018年7月号
- 2018/07/15
- 12:45

矢や弓やレモンや手紙、合い鍵や薔薇やコップやじょうろを持つ手前世とか来世とかよくわからない、んだけれどきみはすごい眼の速さ指輪のタトゥーが入ってるのかあ。羊の息の草の死のにおい宙(そら)からの船。武装もせずに談笑し指さしあって待っていたんだ猫たちよおれはおっきい猫なのかわあわあ泣くと寄ってくるんだうちにかえりたいの?とあなたにきかれる朝のカナリアがすごい船室の窓に映っている猫とその猫を抱くふとった...