【お知らせ】「寿命を与えられたチャーリー・ブラウン或いはスナフキン 野口る理句集『しやりり』の一句」『週刊俳句 Haiku Weekly第388号』
- 2014/09/28
- 08:25

『週刊俳句 Haiku Weekly第388号』にて「寿命を与えられたチャーリー・ブラウン或いはスナフキン 野口る理句集『しやりり』の一句」という文章を載せていただきました。『週刊俳句』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。今回取り上げさせていただいたのは、野口る理さんのチャーリー・ブラウンの俳句と、荻原裕幸さんのムーミンの連作なのですが、私が思ったの...
【川柳】『月刊川柳マガジン』2014年10月号
- 2014/09/27
- 13:41

ぶちまけられたかあさんとうさんおれ 柳本々々 (印象吟・佳作・片岡加代 選)ひきだしが液状化してしゃべりだす 柳本々々 (前句付・課題「あなたのことは何でも分かる」・佳作・井上一筒 選)最後まで知らないひととみる花火 柳本々々 (読者柳壇・雑詠・佳作・佐藤岳俊 選)...
【感想】美しい田舎 どんどんブスになる私 墓石屋の望遠鏡 北山あさひ
- 2014/09/27
- 09:18

美しい田舎 どんどんブスになる私 墓石屋の望遠鏡 北山あさひ【望遠鏡から覗く素晴らしきこの世界】「墓石屋の望遠鏡」という狂った方向感覚がポイントになるのかなと思ったんですが、墓石屋に望遠鏡があっても意味がないという対立と、美しい田舎でどんどんブスになる私の対立が重ねられているのかなと思うんです。だから、〈「美しい田舎」≒「墓石屋」〉の〈「どんどんブスになる私」≒「望遠鏡」〉です。もしそういう図式で...
【感想】たろうさんたろうさんとぼくを呼ぶ義父母に鬱を告げ得ず二年 染野太朗
- 2014/09/27
- 07:21
たろうさんたろうさんとぼくを呼ぶ義父母に鬱を告げ得ず二年 染野太朗ぐいぐいと引っ張るのだが掃除機がこっちに来ない これは孤独だ君でなきひとに会うにもバス停にひかり浴びつつ待たねばならぬ【非たろうさん、非たろうさん】私が感じている染野さんの短歌の面白さに、〈呼びかけの不発〉というものがあります。呼びかけられたそのときに、呼びかけられたものが応答できずに、奇妙な真空地帯が発生してしまう。これは、もは...
【感想】法橋ひらく「灯台」『短歌研究』2014年9月
- 2014/09/26
- 19:00
衝立(ついたて)のむこう詩的な会話だな社員証に秋の日は跳ねて空想と空想の間の谷としてイオンモールの前の信号直喩なら殺されました(越冬のオオハクチョウの羽ばたきを見た)漁港から漁港へむかう山道の斜面のこんなところにも墓地届くものだけが光じゃないけれど届かなかった光のことは 法橋ひらく「灯台」『短歌研究』2014*9【合間を照らす】法橋ひらくさんの第57回短歌研究新人賞最終選考通過作です。この連作から特...
【感想】ねこがねこむとねこがごねるねごとねこごとあなたをねとる 阿ト理恵
- 2014/09/26
- 18:35
ねこがねこむとねこがごねるねごとねこごとあなたをねとる 阿ト理恵ふみんにはひだまりにおうオフトニンさようならきのうときょうとうと (「第57回短歌研究新人賞佳作」『短歌研究』2014*9) 【自(ねこ)律するねこなのねこのねこ】阿トさんの短歌におけるひとつの面白さは、語り手が歌ってるうちにその歌っていた/歌われたことばが自律しはじめてしまって、意味の分節をつぎつぎと浸食しはじめていってしまうとこ...
【感想】すこし死ぬプールの縁に肘をのせ 西原天気
- 2014/09/26
- 11:45
すこし死ぬプールの縁に肘をのせ 西原天気【プールでさよならをいうことは、少しだけ死ぬこと】コール・ポーターの「Everytime we say goodbye」に、“Ev'rytime we say goodbye I die a little”という歌詞があるんですが、これはアニメのシンプソンズでサイドショー・ボブが子ども向け教育番組でダンテの『神曲』を朗読しおえたあとにも少し編曲されたかたちで歌っていました。さよならをいうたびに、すこしだけ死ぬ、と。レイ...
【短歌】「ラーメン」と……(「題「ラーメン」佳作・斉藤斎藤 選」『NHK短歌』2014年10月号)
- 2014/09/25
- 21:15
「ラーメン」とはじめて発した宇宙人という設定の昼ドラ終わる 柳本々々 (「題「ラーメン」佳作・斉藤斎藤 選」『NHK短歌』2014年10月号)メロドラマの重要性は、まさにそのイデオロギー的失敗にある。それ自体の問題を現実の現在においても、理想の未来においても処理しきれず、恥知らずにも矛盾だらけの形で開示することで、メロドラマはハリウッドのほとんどの形式が努めて立ち入りを拒んできた場所を開放するのである。 ...
【感想】枕元に眼鏡と靴と携帯を置いて眠れば現実の如し 穂村弘
- 2014/09/25
- 12:20
枕元に眼鏡と靴と携帯を置いて眠れば現実の如し 穂村弘【覚醒する夢】穂村さんの〈震災詠〉として読まれている短歌です。この結句の、「現実の如し」っていうのは、決まり文句化されている「夢の如し」の反語としてあるんではないかと思うんです。「まるで夢みたいだ」を「まるで現実みたいだ」とあえてひっくりかえすことによって、いまある〈現実〉と、さらにそこに〈ことばで構成される現実〉を重ね書きすることによって、現...
【感想】息吸つて止めてまた吐き姫はじめ 松本てふこ
- 2014/09/25
- 05:59
息吸つて止めてまた吐き姫はじめ 松本てふこ【セックスを日常化する】「姫はじめ」というとすぐに想起するのは、新年一回目のセックスなんですが、ただそうした姫はじめに限定しなくても、辞書にあるように「正月にやわらかくたいた飯(=姫飯(ひめいい))を食べ始める日とも,「飛馬始め」で馬の乗り初めの日とも,「姫糊始め」の意で女が洗濯や洗い張りを始める日ともいわれる」ので、だからこの「姫はじめ」を新年にはじめ...