【感想】空爆終わる私の四肢がそろわない 山河舞句
- 2014/12/31
- 05:00
空爆終わる私の四肢がそろわない 山河舞句【小説の身体/定型詩の身体、あるいは長短の彼岸】川柳にとって〈身体〉の問題っていうのはとても大事だとおもうんですが、なんでじゃあ〈身体〉が575のなかで主題として浮かび上がってくるのかといえば、それは定型という表現形式が関係しているようにもおもうんです。たとえば、小説で身体を描く際には、描いた身体の強度を最後まで支えなければならない。長い表現形式にあっては...
あとがきがきがき
- 2014/12/29
- 06:00
やぎもともともと、です、とじぶんであまり声にだして発したことがないので、自己紹介するときに、やぎもともともとです、とじぶんでいったしゅんかんに、じぶんでも吹き出しそうになってしまうことも、ある。なれていないのだ。たとえば、たまに郵便の荷物受け取りなどでも、やぎもともともとです、というのが、はずかしく、やぎもとごにょごにょです、といったり、やぎもとのの、です、といったり、やぎもとおなじです、とごまか...
【感想】わたくしの通ったあとのすごい闇 定金冬二
- 2014/12/28
- 06:59
わたくしの通ったあとのすごい闇 定金冬二【わたしにもあなたにもおうさまにもゆうれいにも、りんかくがある】よく川柳で主題化されるものに〈身体〉があるとおもうんですが、〈身体〉っていうのは固有の〈ここ〉を具体的にひきうけることができる一方で、でもわたしの身体とあなたの身体はちがうから、というどこかに身体の隔絶があるようにもおもうんですよね。身体の孤独、というか。でも、身体はわたしとあなたではちがうけ...
金曜日のあとがき
- 2014/12/26
- 23:51
『ウラハイ』の、樋口由紀子さんの連載でとりあげていただきました。ありがとうございました!「金曜日の川柳〔柳本々々〕樋口由紀子」さいきん樋口由紀子さんの『川柳×薔薇』や小池正博さんの『蕩尽の文芸』などの川柳の評論集を読み返していたんですが、樋口さんの本を昔読んで教えてもらったことは、川柳を読む際に川柳の感情や内面に注目するのではなく、その川柳の〈ことば〉に注目することです。〈ことば〉を読むことから、...
【川柳】抽斗の…「前句付・課題「お節介にも程があります」・嶋澤喜八郎・特選」『川柳マガジン』2015年1月号
- 2014/12/26
- 00:46

抽斗の二番目に棲むつもりだろ? 柳本々々 (「前句付・課題「お節介にも程があります」・嶋澤喜八郎・特選」『川柳マガジン』2015年1月号)嶋澤さんから次の句評をいただきました。ありがとうございました!前句に対して、読む人の意表をつく発想の新鮮さに脱帽。抽出の二番目に棲み、うろちょろされたらたまりません。 *人間がひしめき合っている寒さ 嶋澤喜八郎 *【ミニ落選展】運命がマーライオンを通過す...
【感想】テトリスはいつも上から下へ冬 高崎義邦
- 2014/12/25
- 07:00

テトリスはいつも上から下へ冬 高崎義邦 「まだ鳴きはじめだから下手だね」「ええ、まだ充分に舌が回りません」 宗助は家へ帰って御米にこの鶯の問答を繰り返して聞かせた。御米は障子の硝子(ガラス)に映る麗(うらら)かな日影をすかして見て、「本当にありがたいわね。ようやくの事春になって」と云って、晴れ晴れしい眉を張った。宗助は縁に出て長く延びた爪を剪(き)りながら、「うん、しかしまたじき冬になるよ」...
【感想】広瀬ちえみの時間、川名つぎおの時間(宇宙精神研究所から生放送)
- 2014/12/25
- 06:54
【宇宙精神研究所食べ放題(銀河蟹付き)の二時間】先日、『川柳カード』の合評会に出席させていただいていたときに、川柳っていうのは〈時間性〉、あるいはそれまでなかった〈時間の創生〉がとても大事なんじゃないかなということを、ふっとかんがえたりしていた。たとえば『川柳カード7号』の広瀬ちえみさんの「まだ途中」という連作タイトル自体が〈時間性〉を組織しようとしている連作から抜き出してみると、鳩時計鳴ってバナ...
【感想】リュックサック式ランドセル風介護ベッド くんじろう
- 2014/12/24
- 06:19

リュックサック式ランドセル風介護ベッド くんじろう【背景を、詠う】柳誌『川柳北田辺・51号』(2014年12月)からくんじろうさんの一句です。今回『川柳カード』の合評会に出させていただいて強く感じたことなんですが、川柳観というのは、きちんとめいめいにじぶんが築いていく川柳は《こうなんだ》という一句一句をまとめあげていく《背景》としての世界観があって、そこから一句一句がつむがれては、またその各自の世界観を...
【感想】さまざまな仮説へ伸びる菌糸体 山田ゆみ葉
- 2014/12/24
- 01:30
あぴーるを吸って溶かして杉木立 山田ゆみ葉先駆けの風はにほひをふり払う 〃百足封じの札をこっそり舐めてみる 〃さまざまな仮説へ伸びる菌糸体 〃すかんぽの味は迷いのリフレイン 〃【菌糸体化する連作】『川柳カード7号』の山田ゆみ葉さんの「頭虫夏草」からの数句です。わたしは「冬虫夏草」というのはたしかマンガの『美味しんぼ』を読んでいて知ったんですが、あれはたしか料理に使うもので、独特の形容をし...
【感想】フライングディスクゆんなり水に落ちる 兵頭全郎
- 2014/12/24
- 00:00
フライングディスクゆんなり水に落ちる 兵頭全郎奈落から飛び出すバリライトのコード 〃オープニングアクトの提灯行列か 〃暗転から暗転までをジャングルビート 〃「あの…カラマーゾフって、なんですか?」「カラマーゾフ?」「…ええ」「…みんな消えていく、っていうことじゃないでしょうか」「はあ…」「主(あるじ)はみんな消えていくんです…まあそのていどのことです」岩松了『カラマーゾフの森』【カラマーゾフって...