【短歌・連作】「ぱみゅぱみゅ2015」『かばん』2015年1月号
- 2015/01/17
- 21:35

やわはだのあつきちしおにふれもみでつけまもつけできゃりーぱみゅぱみゅいのちなき砂のかなしさよきらきらときゃりーぱみゅぱみゅ指の間より落つ 柳本々々「ぱみゅぱみゅ2015」『かばん』2015年1月号 *本号にて鳥栖なおこさんさんから歌評をいただきました。ありがとうございました!セックスの描写部分を輪読す静かな校舎村上春樹 柳本々々「静かな校舎」とあるから放課後だろう。背徳の気配を感じさせる。 ...
おびえるあとがき(あれかこれかとおそれおののきながらくりかえすこと)
- 2015/01/17
- 01:00

わたし、キルケゴールのタイトル、すごくすきなんです。あれかこれか、とか、おそれとおののき、とか。このひとは、なにをいってるんだろう、と。あと、セーレン・オービエ・キルケゴールの、おーびえ、ってなまえも、おーびえてるのか、きるけごーるは。っておもいますよね。おびえてるのかあなたは、と。わたしも、生活のなかで、おそれおののいていることがあるし、あれかこれか、とずっとかんがえていることがあるんです。しか...
【お知らせ】「小池正博に出逢うセーレン・オービエ・キルケゴール、あるいは二人(+1+1+1+n+…)でする草刈り 」『週刊俳句 第403号』
- 2015/01/14
- 12:52
『週刊俳句 第403号』にて「小池正博に出逢うセーレン・オービエ・キルケゴール、あるいは二人(+1+1+1+n+…)でする草刈り」という文章を載せていただきました。『週刊俳句』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。 人間は相互の関係という点から見た場合、多くの言語の中に出てくる不規則動詞のようなものだ。動詞というものは、ほとんどすべてが不規...
【川柳・連作】「DかQ」『おかじょうき』2015年1月
- 2015/01/13
- 20:50

真夜中に貰ってしまう正方形全方位、押し寄せる鼻手毛手顔DかQ どこでもドアは一度きり天国でエスカレーターさがす俺喜びはリフレインする蟻地獄 柳本々々『おかじょうき』2015年1月 *※ 誤って二ヶ月連続で「喜びはリフレインする蟻地獄」を雑詠におくってしまったのですが、〈リフレインする〉と句自体がいっているのでそれもまた句の運命だったのかなとおもいました(隠蔽されるわたしのおっちょこちょい)。 *...
【短歌】働けど…(毎日新聞・毎日歌壇2015年1月12日・加藤治郎 選・特選)
- 2015/01/12
- 08:32
働けど働けど別に手も見ないパンのレーズンじっとみつめる 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2015年1月12日・加藤治郎 選・特選)本日の毎日歌壇にて、加藤治郎さんに特選に選んでいただき、次の歌評もいただきました。加藤さん、ありがとうございました!【評】石川啄木の「ぢつと手を見る」のパロディーである。レーズンはさえないが、現実感をうまく捉えている。 *【啄木の手、わたしの手、かれの手、かのじょの手、かれ...
【感想】見覚えのない人に手を合わされる 久保田紺
- 2015/01/11
- 23:58
見覚えのない人に手を合わされる 久保田紺【俺がお供え】久保田紺さんの川柳は、〈むこう側〉から介入してくる視線が、多々、あるようにおもう。わたしたちは、ふだん、手をあわせる。手を「合わされる」ことは、あまり、ない。手を合わされちゃったら、やばいよね、とわたしなんかは、おもう。たとえば、サンドイッチをえらんでいるとしよう。フルーツとクリームのたっぷり入ったメルヘンな感じのサンドイッチをえらぼうとして...
【川柳・連作】非常口の想い出(『かばん』2014年3月号)
- 2015/01/10
- 09:34

ことばから手だけをわりとえらんでる「七文字で『髭の人待つ』」「誤答です」雨の降る解答欄でおもいだすねえきみがすきだったんだバスクリンわかっても月の光が剥けていくさよならの椅子奪いあう意思疎通家じゅうに■■が満ちていくベクトルの想い出残る非常口 柳本々々『かばん』2014年3月号...
【川柳・連作】ぬるい崖(『かばん』2014年2月号)
- 2015/01/10
- 09:27

とむらいの猫たちがゆく言語域間隙がビルにもあるわ生命体きみが泣くベッドのわきがぬるい崖肉のたば指示されている桜桃忌くちびるを地図から拾う秋休みこくみんがすやすや起きる大みそか祖母がもつかごめかごめのいさぎよさ最後から二番目だけが倒れてる 柳本々々『かばん』2014年2月号 *飯島章友さんから『かばん』の「かばんも五七五」において以下の句評をいただきました。「かばん」の編集人をされていた飯島さ...
【感想】善人になりたくはなし屋根の雪 高田寄生木
- 2015/01/08
- 23:12
善人になりたくはなし屋根の雪 高田寄生木【良い人は天国へ行ける、悪い人はどこへでも行ける】きょうしてみたい話は、川柳にはなぜか〈悪人〉がいる、というはなしです。川柳には、〈悪いひとたちの系譜〉があるのではないか。これは以前、竹井紫乙さんの感想文を書かせていただいたときにもおもったことです。川柳は、どう〈悪〉とむきあいつつ、〈悪〉を表象するのか。テーマとしての、悪。生きられる、悪。たとえば上の寄生...