【短歌】歴史的落書き…「第456回 公募短歌館・森山晴美 選・佳作」『角川短歌』2015年4月号・掲載作
- 2015/03/25
- 12:01

歴史的落書きをした放課後に普通名詞で告白をした 柳本々々 (「第456回 公募短歌館・森山晴美 選・佳作」『角川短歌』2015年4月号) *君がつくる特大品種はふつくらと甘く臍もつ円盤のやう 森山晴美...
【感想】ね、春の雨音があるぬばたまのわたしはひとり海鳴りを聴く とみいえひろこ
- 2015/03/24
- 21:58

ね、春の雨音があるぬばたまのわたしはひとり海鳴りを聴く とみいえひろこ *M 『かばん』からとみいえひろこさんの一首です。Y 加藤治郎さんが枕詞を現代短歌のなかで活用することを論じられていたりしましたが、このとみいえさんの短歌にも「ぬばたまの」と枕詞がでてきてますね。M 「ぬばたまの」は主に黒いもの、「髪」「夜」、あるいは、「夜」に関連する「夢」「月」にもかかる枕詞なんですが、この歌では「ぬ...
【感想】ことろことろ子をとろ子捕ろと繰り返す夢の中なる列車の響き 茂泉朋子
- 2015/03/24
- 06:00

ことろことろ子をとろ子捕ろと繰り返す夢の中なる列車の響き 茂泉朋子 *M ふしぎな音の触感をもつ茂泉さんの一首です。Y 「ことろことろ」って擬音からはじまってるんですが、その「ことろことろ」がだんだん擬音じゃなくてすこしずつ意味としてたちあがっていきますよね。それがなんだかこわおもしろいようにおもいます。M そうなんですよね。語り手はどうも夢の中で列車に乗ってるようなんですが、この列車って、...
【感想】単純な穴になりたし曼珠沙華 柴田千晶
- 2015/03/23
- 23:00

単純な穴になりたし曼珠沙華 柴田千晶M 柴田千晶さんの一句です。ちょっと今回は〈穴〉をめぐって〈単純〉ではないかたちですこし〈穴性〉みたいなものについてかんがえてみたいとおもいます。Y この「曼珠沙華」という季語によって〈単純な穴〉の意味がずらされている構造の句のようにもおもうんですが、曼珠沙華っていうのはどういう花なんですか。M 「死人花(しびとばな)」「地獄花(じごくばな)」「幽霊花(ゆうれ...
【感想】〈おもしろこわさ〉から考えるカルタ俳句合戦~しずかに、ていねいに、なにげなく、奪う。~
- 2015/03/23
- 12:40

いろいろな手の交わりて歌留多かな 宮崎玲奈 *M Yさんはカルタってされたりしますか?Y ええ、家に帰るとよくやっています。M あ、よくされてるんですね。おともだちなんかと。Y いや、たいていはひとりでやってますね。たとえば、休日なんかもひとりで家でかるたをやっていることが多いです。M のび太のひとりジャンケンみたいなものですね?Y そうなるかあ……。M ところでカルタの俳句がおもしろこわいん...
【感想】三越のライオン撫でて春の風 今野浮儚
- 2015/03/23
- 08:00

三越のライオン撫でて春の風 今野浮儚【オズの国のライオン、挨拶の国のさよなライオン、三越の国のライオン】すこしこないだも言及したんですが、新潟にいったときに三越のライオンの前に立って荻原さんの有名なライオンの歌について腕組みしながらかんがえていたんです。三越のライオンに手を触れるひとりふたりさんにん、何の力だ 荻原裕幸この歌って、浮儚さんの句からあらためてふりかえって読んでみてわかったんですが...
すきなひとのすきなひとのすきなひとのあとがき。
- 2015/03/23
- 07:23
安福望さんに、すきなひとのすきなひとのすきなひとの歌を絵にしていただきました(すきなひとたちのいちばんうえには誰もが毎晩抱えもつ世界の○もあります!)。安福さん、ありがとうございました!うわの空のサンドイッチ『食器と食パンとペン』安福さんが記事で「猫バスと高速道路」についても言及してくださっているんですが、猫バスってたとえばわたしがうかつに乗ったら降り方がわからなくて、でも降りたいとも恥ずかしくて...
【短歌】ぽ(毎日新聞・毎日歌壇2015年3月23日・加藤治郎 選)
- 2015/03/23
- 06:51
たんぽぽのぽぽのあたりをそっと撫で入り日は小さき光を収(しま)ふ 河野裕子恋人と棲むよろこびもかなしみもぽぽぽぽぽぽとしか思はれず 荻原裕幸 *「きゃりーぱみゅぱみゅ」ってじっさい口に出してみるとわかるんですが、〈言いにくい〉んですよね。くりかえして、きゃりーぱみゅぱみゅきゃりーぱみゅぱみゅきゃりーぱみゅぱみゅきゃりーぱみゅぱみゅと言い続けてみると、けっこうなくちびるの労働量になることが、わ...
【短歌】「ふるさとのエヴァンゲリオン」『短歌研究』2015年4月号・掲載作
- 2015/03/21
- 15:59

「ふるさとはマクドナルドで国籍はネットカフェです」笑って言うね。 柳本々々近未来、地底に塔が建てられる。参考資料:エヴァンゲリオン 〃 (短歌研究詠草・米川千嘉子 選・佳作) *さやさやとさやさやと揺れやすき少女らを秋の教室に苦しめてをり 米川千嘉子...
【川柳】モビー・ディック…(はじめの一歩句会・お題「無」)
- 2015/03/20
- 23:14

モビー・ディックに呑み込まれゆく比丘尼たち 柳本々々 (月波与生、徳田ひろ子 選)月波さんと徳田さんから次のようなていねいな選評をいただきました。月波さんからは〈無〉の循環の観点を、ひろ子さんからは比丘尼と人魚の視点を指摘いただき、じぶんでもあらためて勉強になりました。ありがとうございました! 視界から溢れるほど巨大なものも「見えない」という意味からは『無』といえ、それに呑み込まれていくものも...