【感想】マンホールの蓋持ち上がる星月夜 野口裕
- 2015/03/30
- 18:13

マンホールの蓋持ち上がる星月夜 野口裕 *M 野口裕さんの一句です。Y 『週刊俳句』のバックナンバーずっと読み進めているんですが、野口裕さんの連載「林田紀音夫全句集拾読」、とても面白いです。M そういえば、あれ、Yさん、ちょっと浮かび上がってませんか?Y あれ、浮かび上がってますか? なんでだろ、春だからかな。M そうなんです、この句も、マンホールのふたを〈持ち上げる〉じゃなくて、〈持ち上が...
【短歌】毎日新聞・毎日歌壇・加藤治郎 選 2015年3月30日
- 2015/03/30
- 06:00

梅の香が満ちている午後「卒園のうた」を奏でるピアノ、ぽろぽろ 水野真由美 *ときどき、最終回について、かんがえている。たとえば、改札で、なにげなくてをふるひとのあのさよならが、最終回だったらどうしよう、とふりかえらずに、かんがえる。最終回は世界にみちみちている。でも、だれも、それが最終回かどうかなんて、わからない。最終回はいつも事後的に、構造として、それしか知り得なかったかたちで、有無をいわ...
【川柳】素晴らしい危機意識(「川柳カード」第七回合評句会2014年12月23日)
- 2015/03/29
- 15:30

素晴らしい危機意識 対 クリスマス 柳本々々 (「川柳カード」第七回合評句会2014年12月23日・雑詠)昭和史をたたいたらSFが出る 〃 (「川柳カード」第七回合評句会2014年12月23日・題「たたく」) *ポスターになるまで裏窓をたたく くんじろう握ったら溶ける取っ手に取り替える 久保田紺起きなさい机の下の芋男 山田ゆみ葉蔦枯れてレンガらしさが溢れ出す 兵頭全郎...
【お知らせ】「第7回川柳カード合評会レポート こんにちは世界ですかあなたも世界です、あるいは、もしもし」『川柳カード8号』
- 2015/03/29
- 08:36

「あなたは一体、何しにここへ来たのだろう」「さあ、──風に吹かれて」 太宰治『ダス・ゲマイネ』 *年末に行われた大阪での川柳カード合評会をレポートさせていただいた「第7回川柳カード合評会レポート こんにちは世界ですかあなたも世界です、あるいは、もしもし」を『川柳カード8号』に載せていただきました。もしお手に取る機会がありましたら、お読みくださればさいわいです。冒頭に太宰治の『ダス・ゲマイネ』を...
【お知らせ】「夢八夜 最終夜 こんな夢を見た!(或いは遙かなるおふとんジャーニー)」『アパートメント』
- 2015/03/28
- 22:55

夢とは、その不在のあいだにしか見られぬ現象である。〈夢をみる〉という動詞は、ほとんど《現在形》をもたない。〈わたしは夢をみる〉〈きみは夢をみる〉、これは修辞の綾である。なぜなら、語っているのは目覚めた者であり、あるいは、覚醒への志願者であるからである。 ポール・ヴァレリー *WEBマガジン『アパートメント』にて連載『夢八夜』最終夜の「夢八夜 最終夜 こんな夢を見た!(或いは遙かなるおふとんジャ...
【川柳】「プルースト要約コンテストに行こう」『川柳マガジン』2014年4月号・掲載作
- 2015/03/28
- 22:22

恋文を書いてるパンダはいいパンダ 柳本々々 (川柳画ミュージアム)近すぎて死んだひとかもわからない 柳本々々 (川柳道・題「近い」・岡崎守 選・佳作)プルースト全部要約する雑誌 柳本々々 (印象吟・片岡加代 選・佳作)新しい穴から響く謙譲語 柳本々々 (新鋭柳壇・題「譲る」・赤松ますみ 選・佳作) *大好きな海が何にも喋らない 赤松ますみ...
【お知らせ】「【川柳インタビュー】川合大祐さんに聴く~豚とブウウーーーーーンをめぐって~(質問者:柳本々々)」『川柳スープレックス』
- 2015/03/28
- 17:01

「【川柳インタビュー】川合大祐さんに聴く~豚とブウウーーーーーンをめぐって~(質問者:柳本々々)」『川柳スープレックス』において、川合大祐さんにわたしがインタビューさせていただいたインタビュー記事を載せました。川合さん、ありがとうございました!川合さんにいろんなふうに話題をふりまいていただきながら、ひとつの句から川柳のふりはばへとお話していただいた内容になっているとおもいます。お時間ありますときに...
【感想】どもほるんりんくると坂道を登る なかはられいこ
- 2015/03/28
- 15:32

どもほるんりんくると坂道を登る なかはられいこ *M なかはられいこさんの一句です。ドモホルンリンクルっていうのは化粧品ですよね。Y ええそうです。「お肌本来の力」に働きかける基礎化粧品です。お肌の根本力を引き出すために、ドモホルンリンクルには独自のステップがあります。自らの力でうるおうお肌を……M もうだいじょうぶです、もうだいじょうぶですから。ええと、でもこの句で語り手は、ドモホルンリンク...
【感想】北半球じゅうの猫の目いっせいに細められたら春のはじまり 飯田有子
- 2015/03/26
- 12:00

北半球じゅうの猫の目いっせいに細められたら春のはじまり 飯田有子 *M 飯田有子さんの歌集『林檎貫通式』からの一首です。Y 「北半球」ということばで始まっていますが、たしか北半球と南半球は季節が逆になるというか、6ヶ月違いなんですよね。よく地理の教科書の写真で、オーストラリアの真夏のサンタクロースって写真みましたもんね。中学生で学んだことでそれだけは覚えています。あの海パンのサンタクロースを...
【感想】花畑の中で包帯ほどかれる 広瀬ちえみ
- 2015/03/26
- 06:45

花畑の中で包帯ほどかれる 広瀬ちえみ *M 広瀬ちえみさんの一句です。Y 「包帯」をほどかれるときってそれはそれで傷がやっと癒えたことのドラマかもしれないけれど、その包帯を〈どこ〉でほどくかによってドラマのありかたが変わってきますよね。M ええ。「花畑の中で」なんですよね。しかもこの句が大事なのは「ほどかれる」と受け身になっている点だとおもいます。すくなくともふたり以上、この句にはいるわけ...