【感想】想像のつく夜桜を見に来たわ 池田澄子
- 2015/04/17
- 22:31

想像のつく夜桜を見に来たわ 池田澄子M こないだNHK俳句でも紹介されていた池田澄子さんの一句です。Y この句、おもしろいですよね。「想像のつく夜桜」ってじぶんでマエフリしておいて「見に来たわ」なんですよね。M ええそうなんですよ、そういうひとのことを四文字でなんていうかわかりますか?Y へべれけ……。M いやいや。Y あ、そうか! これってもしかして、〈つんでれ〉なんですか? つんでれ句?M そう...
【感想】甘くなりたい。あさっては誕生日。いちご100%で生きる 藤本玲未
- 2015/04/16
- 06:39

甘くなりたい。あさっては誕生日。いちご100%で生きる 藤本玲未【苺の魔術】この歌の「あさって」っていうのがポイントじゃないかと思うんです。「あす」ではない。この「あさって」って定型から割り出されたことばかもしれないけれど、それは「あす」ではなかった。「あさって」、つまり二日前から、「誕生日」への意識を語り手がもっているっていうことですよね。しかも、です。いちにちまえからじゃなくて、ふつかまえから...
【川柳・連作】インドネシアのドラえもん『おかじょうき』2015年4月号・掲載作
- 2015/04/14
- 22:24

乳房から入れイエローブリックロード歯磨きをしている途中ゆめを出る肩紐が足まで落ちて釈迦の上春の闇認定試験 「まだ光る!」乳房(ちちふさ)が敷き詰められたリビングで 柳本々々『おかじょうき』2015/4 *「「無人駅」鑑賞 カンテラ」にて、むさしさんからていねいな句評をいただきました。ありがとうございました!柳本々々さんはどうして私と同世代で私のよく知らない英人気歌手エルトン・ジョンが歌う「イ...
【短歌】危機意識としての毎日歌壇、或いは毎日新聞・毎日歌壇・加藤治郎 選・特選・2015年4月14日
- 2015/04/14
- 06:02

加藤治郎さんの毎日歌壇は各それぞれの別個の投稿者の歌が、その日たったいちにちの一同の会し方によって、歌相互が言及し解釈しあい、新たな意味生成としての相乗作用をうむよう組まれている場合がある。たとえば今回の毎日歌壇では、〈危機的状況〉で連作がくまれていたのではないか。新聞がきょうもきてないこの朝に戦車のような羊の群れが 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇・加藤治郎選・特選・2015年4月14日) 【選者・...
【お知らせ】「ねむるねむる『渡辺のわたし』 斉藤斎藤のねむりかた」『かばん』2015年4月
- 2015/04/12
- 12:42

『かばん』2015年4月号に「ねむるねむる『渡辺のわたし』 斉藤斎藤のねむりかた」を載せていただきました。もしお手にとる機会などございましたときにお読みいただければさいわいです。斉藤さんの歌集『渡辺のわたし』をこれまでにいちどめは〈わたし〉をめぐる視点から(短歌研究評論賞)、にどめは〈愛〉をめぐる視点から(抒情文芸)、かんがえているのですが、今回は〈ねむり〉という視点からかんがえてみました。斉藤さんの...
【短歌】日経新聞・日経歌壇2015年4月12日 穂村弘 選
- 2015/04/12
- 06:39

これですか? ええ。これですよね。これ、いつも抱いてるやつですね。うなされるたびに出てくる。部屋のまんなかで浮かんでることもあるし、枕元にどっしりとたたずんでいることとも、ある。それを、抱き寄せて、抱くわけです。罪悪感? 罪悪感とかはないです。なんど抱いても罪の意識はうまれません。ただ──おおきすぎるな、とはおもう。ちょっとこれおおきすぎるよね、と。でもたぶんおおきすぎるのを抱くのがすきなんでしょう...
【短歌・連作】「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」『かばん』2015年4月号
- 2015/04/11
- 22:29

【詞書】いつも一人の女の子の事を書こうと思っている。一人の女の子の落ち方というものを。 岡崎京子フキダシを割ってくように愛情のことば迸(ほとばし)る漫画じゃないの助詞だけを塗りたくってねセクシャルなことをしようよ口は七つあるアルバムの画像整理のなかにある裸の羊 めえめえんと・もりタブレットたたき割ってくあたしには星空さえもスクロールする避妊具をとてもスムーズにつけるから生きてることが共感できるさめ...
【感想】らいねんの桜のことでけんかする なかはられいこ
- 2015/04/11
- 07:35

M いやあ、桜っていいもんですね。あ、そういえば、『月刊 ★ ねじまき』で面白い記事があげられていました。なかはられいこさんのこれまでの十年間のさくらの句の系譜をふりかえっているんですね。この記事に拠らせてもらえばですね、今年のなかはらさんの桜の句は、 いとこでも甘納豆でもなく桜 なかはられいこ去年の桜の句は、 しつけ糸ほどくと零れ出るさくら なかはられいこおととしの桜の句は、 ことごとくさく...
【お知らせ】「【川柳インタビュー】飯島章友さんに聴く~意味よりもほんの少し前に~(聴き手:柳本々々)」『川柳スープレックス』
- 2015/04/08
- 01:00

飯島章友さんにインタビューさせていただいたものを前・後篇にわたって『川柳スープレックス』にあげました。【川柳インタビュー】飯島章友さんに聴く〔前篇〕~川柳はどこまで濡れるのか~(聴き手:柳本々々)【川柳インタビュー】飯島章友さんに聴く〔後篇〕~必敗の覚悟を抱きしめて~(聴き手:柳本々々)川柳だけでなく、川柳と他の短詩とのかかわり合いなど興味深い話題をいろいろ展開してくださり、わたしもお話を聴きなが...
【感想】鳴る胸に触れたら雲雀なのでした 小津夜景
- 2015/04/07
- 22:27

鳴る胸に触れたら雲雀なのでした 小津夜景M 夜景さんの一句です。ちなみに夜景さんの句をまとめて読めるこんな小津夜景ネット句集もあります。Y これはすごいですね。今まで発表されたものがここにのってるわけですね。M これでもうふいにできてしまったバスの待ち時間や電車の待ち時間、恋人との待ち合わせの待ち時間、気軽な友人との待ち合わせの待ち時間、部長との待ち時間、おかあさんとの待ち時間、飼い犬のベスが走...