【短歌】迷彩のブラジャー…(「第85回 短歌ください(お題:ブラジャー)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2015年5月号)
- 2015/04/06
- 21:32

とって、といわれたので、あ、そうなんだ、とわたしはいった。わたしはこれまでのこれまでにつちかったこれだけのための全スキルをつかってとろうとした。でも、はずれなかった。はずれないみたい、とわたしはいった。そんなことないでしょ、とって、と、わたしはいわれた。わたしはもっとこれまでのもっとこれまでにつちかった全力のこれだけのための全スキルをつかって際限なくとろうとした。やはり、はずれなかった。とれないみ...
【短歌】四本の…(毎日新聞・毎日歌壇・米川千嘉子 選・2015年4月6日)
- 2015/04/06
- 06:54

四本の突起のうえに座ってた十二年間を学校という 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇・米川千嘉子 選・2015年4月6日)【「ガッコウッテナンナノ?」「イスヨ」】高校に入ってから数日たったある日、とつぜんわたしは驚いたんですよね。ふいにびっくりしたんですよ。隣の席の女の子もとうとつにおどろいたわたしにおどろいていたんだけれど。でも、おどろいていた。それはなぜこんなにもひとは座らなければならないんだ、ってい...
【感想】水面を見ながら食べるメロンパンきみとはいつか話がしたい 虫武一俊
- 2015/04/04
- 23:54

水面を見ながら食べるメロンパンきみとはいつか話がしたい 虫武一俊 *M 虫武さんの一首です。Y 「水面を見ながら食べ」ているのが気になります。M これはひとつの解釈なんですが、水面って鏡ですよね。じぶんが映るわけです。だからある意味、じぶんに向き合いながらメロンパンを食べているとおもうんです。Y それで池でも湖でもなく水面なのかな。でも鏡ではないんですよね。M そうなんですよね。あくまで水面...
【川柳】ゆれる(はじめの一歩句会・お題「震」)
- 2015/04/04
- 21:05

まってもとまってもとまってもとまっ 柳本々々 (徳田ひろ子、月波与生 選)馴れていく眼馴れることがないわたし 〃 (奈良一艘 選)徳田さん、月波さん、一艘さんから次のようなていねいな選評をいただきました。ありがとうございました!句読点をどこにつけたらいいのか?考えると震えます待って々待って々待って々まっ(々々さんを追いかけてる?)or待っても止まっても止まっても止まっん~~~~分からん 徳田...
【感想】プラタナス、世界の終りの一日にあなたは本を整理している 加藤治郎
- 2015/04/02
- 21:54

プラタナス、世界の終りの一日にあなたは本を整理している 加藤治郎 *M 加藤治郎さんの一首です。この歌はある意味で〈終わり〉をめぐる歌なんですが、こないだの加藤治郎さんの毎日歌壇の選歌500回目も〈終わり〉をめぐって連が組まれていたんじゃないかと思います。Y たしかにこないだの毎日歌壇は〈終わり〉が多かった気がします。特選の歌も水野真由美さんの〈卒園の歌〉の歌でしたよね。なんで〈終わり〉だった...
第二次ショートケーキ遠征のときのこと(あるいは安福望さんのこと)
- 2015/04/01
- 23:41

ぽぽぽぽぽ太陽を甘露煮に 江口ちかる *江口ちかるさんが安福望さんの絵について書かれていた。すきなひとのすきなひとの / 安福望さんわたしも安福さんの絵をみていてなつかしさというか記憶の日溜まりのようなあたたかさを感じることがあるのだが、もしかしたら自分にとってそれは食べ物のまるみや色やかたち、食べ物の記憶かなあとちょっとおもったりもした。わたしは幼いころ、こんなふうに食べ物のかたちや色や質感...
【感想】男の子産んであげると椅子が言う 榊陽子
- 2015/04/01
- 21:11

男の子産んであげると椅子が言う 榊陽子 * Z 『川柳スープレックス』のゲストコーナーから、榊陽子さんの「な麻々々」の一句です。ふしぎなタイトルですよね、「なまなま」と読むのかな。なにか世界やことばがこわれる直前のような、ふしぎなおもしろさとこわさがあるタイトルですよね。意味として統括できないこわさや強さがある。Y す、すいません、ふつうになんかいつものように話されていますけど、あなた、Mさ...