【川柳】はじめの一歩句会・題「裸」
- 2015/05/31
- 00:55

ヴィントン『マーク・トゥエインの大冒険』の作中劇「アダムとイヴの日記」から。すごく好きな映画。ねえアダムあたしたちなんかおかしくないか 柳本々々(はじめの一歩句会・題「裸」・城後朱美、吹喜 選)城後朱美さんと吹喜さんからすてきな選評をいただきました。ありがとうございました!◯朱美選☆ねえアダムあたしたちなんかおかしくないかあっぱれ!参りました。おかしくないって聞くところが面白い全然おかしくないです...
【感想】ハンモック通りすがりに揺らしけり 栗山心
- 2015/05/30
- 11:19

ハンモック通りすがりに揺らしけり 栗山心【ふれほうだいの甘い蜜の部屋】わたしもそういう人間なんですが、通りすがりに壁をさわりながら歩いてるひといますよね。なにかにタッチしないと世界をすすめない人間。あの、探偵でエイドリアン・モンクというひとがいて、『名探偵モンク』というドラマもあるんですが、あのひとも〈E.T.おやじ〉と揶揄されるほどに、なにか突起物があるとさわらずにはいられないひとなんですね。世界...
【お知らせ】「【こわい川柳を読む】なぜ怪談は「おわかりいただけ」ないと駄目なのか-〈そっちじゃないよ、うしろにいるよ。〉という怪談をめぐる定型性-」『-BLOG俳句新空間-第18号』
- 2015/05/30
- 06:04

『-BLOG俳句新空間-第18号』にて「【こわい川柳を読む】なぜ怪談は「おわかりいただけ」ないと駄目なのか-〈そっちじゃないよ、うしろにいるよ。〉という怪談をめぐる定型性-」という文章を載せていただきました。『-BLOG俳句新空間-』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。今回は先日の川柳フリマで販売された瀬戸夏子さんと平岡直子さんのユニット誌『SH』...
【あとがき】文月悠光『適切な世界の適切ならざる私』のあとがき。
- 2015/05/29
- 15:22
“あこがれ”が「何となく」かたちになってしまうのを感じるとき、そこから一歩後ずさることが、私の自然である。……私はいつだって、この世界とフェアでありたかったのだ。そのことが、かえって自分をあぶれさせると気づいたときも、言葉ではない“詩”に何度も振り向かされた。そんな私にとって、“詩”とは、紙に整列する活字ではなく、日常の中で心や身体に起きる、生きた“現象”である。だから、“詩”を遠ざけながらも、それを「目撃し...
【感想】ぶどうパンのぶどうまつ黒古事記読む 四ッ谷龍
- 2015/05/29
- 12:00
ぶどうパンのぶどうまつ黒古事記読む 四ッ谷龍【ぶどうパンのぶどうとは、なんだったのか】『俳句研究』1990年3月号の四ッ谷龍さんの「冬の蝸牛」からの一句です。わたしもぶどうパンの歌をつくったことがあるんですがそのときに石川啄木とアレンジしたんですね。働けど働けど別に手も見ないパンのレーズンじっとみつめる 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2015年1月12日)で、それは啄木はじっとてのひらをみていたけれど、...
【詩】あたたかい眼鏡(「新人作品・入選・文月悠光選」『現代詩手帖』2015年6月号・掲載)
- 2015/05/28
- 14:19

いっけんすると眼鏡女子や眼鏡男子の集合写真なのだけれども、実はだれひとり眼鏡なんてかけていなくて、眼鏡だけが霊体だったという、眼鏡の幽霊の心霊写真があるどう、ときみがきくのでまあそういうこともあるかもしれないとばたばたするめがねをおさえながら いうやわらかく、なまぐさい、ぼくときみのきょうゆうしているめがねきのうキッチンで真夜中、冷蔵庫のまえの床にぺたりと座って、トマトジュースをのんでいたら眼鏡の...
【感想】とうきようの夜更の街の電柱に体あづけてあきらめている 山崎方代
- 2015/05/28
- 07:13
とうきようの夜更の街の電柱に体あづけてあきらめている 山崎方代 【表現し続けるためのたったひとつの秘密】これはふしぎな短歌だとおもうんです。ある意味で、もしこんなことをあえていってしまうならば、2ちゃんねる的な短歌だともおもうんですね。方代さんなのに2ちゃんねる的とは、どういうことなのか。2ちゃんねる的な言説というのは、アイロニーな言説です。たとえば、なにかを言ったとします。でもそのなにかを言っ...
【感想】龍翔さん、妹尾凛さん、芳賀博子さんといっしょにこんぺいとうを食べてみる。
- 2015/05/27
- 06:18

いたいいたいのがとんでゆくおくすりとおもっていたの こんぺいとうを 龍翔さみしいものをさがしてごらん金平糖 妹尾凛金平糖ここからだとも思うんだ 芳賀博子【誰でも使えたはずの魔法、こん・ぺい・とう】以前からこんぺいとうって不思議だなと思っていて、とくに短詩のなかで妹尾凛さんの金平糖の句をみたときからずっと気になっていました。で、この金平糖のみっつの短詩を並べてわかるのは、こんぺいとうがマジカル...
猫の森に帰ったあとで猫と書いたあとがき-わたしはシリアスににゃあと綴った-
- 2015/05/26
- 23:32

にゃにゃあにゃあにゃあにゃあにゃにゃあ【訳:君は私をそっと抱き上げるべき】 柳本々々安福望さんに上記の短歌を絵にしていただきました。ありがとうございました!「飼い猫を灯す」 こないだ岡野大嗣さんの歌集を読みながら歌集のなかにある安福さんの挿絵をずっとみていたのですが、安福さんの絵のひとつの特徴に〈表情で方向付けをしない〉ということがあるようにおもうんです。表情をあえていれない、というのはどういう...
【感想】夏の墓地、愛する者を失った者特有の手の洗い方 木下龍也
- 2015/05/25
- 07:00
夏の墓地、愛する者を失った者特有の手の洗い方 木下龍也【空間をわたしする】きょうの加藤治郎さん選の毎日歌壇から木下さんの一首です。この短歌で「夏の墓地」という空間提示からの「特有の手の洗い方」というそのひとのパーソナルな身体行為が空間と関わり合っていくことにもよくあらわれているとおもうんですが、木下さんの短歌のひとつのおもしろさに空間把握の仕方があるんじゃないかとおもうんです。ハンカチを落としま...
【感想】もし僕が死んだときには棺桶におっぱいを敷き詰めてください じゃこ
- 2015/05/25
- 01:08
もし僕が死んだときには棺桶におっぱいを敷き詰めてください じゃこ【こんなにも無数のおっぱいのなかで彼は葛藤している】じゃこさんの短歌を読んでいてわたしがおもしろいなとおもうことのひとつに〈快楽原則〉を〈ことば〉という他者を経由しなければならない手段をつかってどう〈共有〉していけるかをさぐっているようにもおもうんですね。たとえばこの上の短歌なんですが、このおっぱいが敷き詰められた棺桶というのはおそ...
【感想】こんにちはわたしは日本です長所は戦争しないこと、それくらい 北城椿貴
- 2015/05/25
- 00:43
こんにちはわたしは日本です長所は戦争しないこと、それくらい 北城椿貴【文体としての〈日本〉】NHK短歌で斉藤斎藤さんが選者をされていたときの題「日本」の放送回(最終回)のときから北城さんの一句です。放送でじっさいみていたんですがこの北城さんの短歌の「こんにちはわたしは~です」という文体によって〈日本〉を詠んだことがこの短歌のひとつの力点になっているのではないかとおもうんです。この回の題は「日本」で...
【感想】春の昼ひよこまみれになりやすい 石原ユキオ
- 2015/05/24
- 23:11

春の昼ひよこまみれになりやすい 石原ユキオ【音律まみれの春を後にして】M ユキオさんの「 憑依俳句集 ルッカリー 」からの一句です。Y この句、すごく好きなんですけど、あの、そもそもルッカリーってどういう意味なんでしょうか。M ルッカリーっていうのは、ペンギンが子育てする場所のことです。ほら、よく、大沢たかおとか津嘉山正種がナレーションしている南極の動物ドキュメンタリーでみますよね、ペンギンまみれ...
【感想】寝た者から順に明日を配るから各自わくわくしておくように 佐伯紺
- 2015/05/23
- 01:10

寝た者から順に明日を配るから各自わくわくしておくように 佐伯紺【わくわくするものにわくわくしてみよう、すきなものをすきだといってみよう】Y 佐伯さんの一首です。すごくすてきな短歌ですよね。はじめてみたとき、わくわくしました。M すてきな点のひとつに「明日」が物質化されているということがあると思うんです。「明日を配るから」って語られていますよね。よく決まり文句で「今日がどんな日だってそれでも明日は...
【短歌】きみに詳しいAmazon「短歌研究詠草」『短歌研究』2015年6月号・米川千嘉子 選・佳作
- 2015/05/22
- 05:49

ぼくよりもきみに詳しい Amazon がきみに合わせた啓示を呉れる 柳本々々 (「短歌研究詠草」『短歌研究』2015年6月号・米川千嘉子 選・佳作) *岩にみどりの顎のせ鰐の見てゐる夏発明家の少年老いてゆく夏 米川千嘉子...
【あとがき】我妻俊樹『実話怪談覚書 忌之刻』のあとがき
- 2015/05/21
- 20:58
うまく名前をつけることに失敗した経験は記憶の底に埋もれてしまう。そのように忘れられた〈怪談〉がこの世には無数にあるに違いない。その意味で人の過去は、怪談未満の、名づけられることを待ついびつな話の宝庫ではないかとつくづく思う。 我妻俊樹「あとがき」『実話怪談覚書 忌之刻』...
【感想】何見てる何にもと言う春の午後 嶋澤喜八郎
- 2015/05/21
- 18:20

もうわたしはなくなるだろう、彼はもうわたしとはいうまい、彼はもうなにもいうまい、彼はだれにも語るまい、だれも彼には語るまい、彼は自分にも語るまい、彼はもう考えまい、彼は進んでいく、わたしはなかにいる、彼はあるところにきて落ちる、彼は落ちて眠り、起きて進み、わたしのせいでもう進めなくなる。彼の頭にはなにも残らない、それがいるものはみんなわたしが食べさせる。ベケット『下痢・不発』何見てる何にもと言う春...
【お知らせ】「【反復を読む】電話を取り上げてあなたに創造的な「もしもし」を言った。その二番目の「もし」のこと」『週刊俳句 第421号』
- 2015/05/19
- 21:52

『週刊俳句 第421号』にて「【反復を読む】電話を取り上げてあなたに創造的な「もしもし」を言った。その二番目の「もし」のこと」という文章を載せていただきました。『週刊俳句』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。今回、〈反復〉について山田露結さん、榮猿丸さんのそれぞれの句集を読み直しながらかんがえてみました。露結さんがあとがきで述べられていた...
【川柳・連作】しゃべりすぎだよ『おかじょうき』2015年5月号・掲載作
- 2015/05/18
- 22:41

春空の長広舌にしゃべりすぎだよ発芽したひとから徐々に乗車したNO・YES・ふっと抜け穴・手が五本だってここ髭があるから連れてゆくですますがわたしをせめるゆれそうだ 柳本々々『おかじょうき』2015/5 *【先月号のお気に入り】カスタードシュウあんたは好きかもしれないが 奈良一艘七・八・五という不安定な定型、不安定なシュウ、不安定な語り手、しかし安定の「あんたの好物」 *【おかじょうき...
千手観音握手会会場から、握手してもらったあとで↑→↓←と書くあとがき。
- 2015/05/18
- 18:18

加藤治郎さんから「〈リレー小論〉「今、私が表現したいもの」 現代への接近 毎日歌壇特選作品より」(『井泉』63号・2015年5月)で取り上げていただきました。加藤さん、ありがとうございました!木下龍也さんの短歌三首、炎天の千手観音握手会まんなかの手に客が集まる 木下龍也ぼくたちが核ミサイルを見上げる日どうせ死ぬのに後ずさりして 〃後藤氏が壁に GOTO と書いた日の翌朝ぼくが書き足す HEAVEN 〃わたしの短歌...