【川柳】ウルトラマンと川端康成(「はじめの一歩句会・付け句「ここだけの話」)
- 2015/06/28
- 11:59

今回のお題は「ここだけの話」への付け句。伊藤豊志さん、徳田ひろ子さん、吉田吹喜さん、千恵子さんから選と選評をいただきました。ありがとうございました!しわしわのビームが出てるウルトラマン 柳本々々兄貴はエース、私はタロウ。やりましたねぇ~ウルトラマンごっこ^^あれから40年、ウルトラマンも還暦超えですか?アラフォーには非常に身に染みる一句。 伊藤豊志ゴジラが確か去年還暦だったから…ウルトラマンも還...
【こわい川柳 第四十八話】一列に並んで壁をなだめてる 一帆
- 2015/06/27
- 20:26

一列に並んで壁をなだめてる 一帆【文字複雑複合体としての、壁】『触光』42号から一帆さんの句です。この句って意味ないようもさることながら、視覚的な〈壁〉のありかたがとてもおもしろい句だとおもうんですね。一列に並ぶ、って書いてありますが、「一列」の「一」いよってきちんと並んでいる様子が視覚化されている。それは「なだめてる」状態なので、うまくいくかどうかはわからないけれど、でも視覚的にはきちんと「一」...
【川柳】メカ文学者たちよ(『川柳マガジン』2015年7月号掲載作)
- 2015/06/27
- 19:43

メカ太宰メカ漱石にメカカフカ 柳本々々 (「川柳画ミュージアム」『川柳マガジン』2015年7月号)運動会 三角布がはしってる 柳本々々 (前句付・題「そんなまさかが起こる現実」・笠川嘉一 選・秀作三)笠川さんから選評もいただきました。ありがとうございました!「三角布」と「運動会」、この取り合わせに穿ちがあり、また、前句との距離感に程の良さがある。 笠川嘉一このしっぽそういうふうに使うんだ 柳...
かすかな音から成るあとがき、或いはあとがきにおかあさんと呼びかける。
- 2015/06/26
- 21:06
『週刊俳句』の「【週俳5月の俳句を読む】かすかな音」にて、蓜島啓介さんからとてもていねいな句評をいただきました。ほんとうに、うれしいです。蓜島さん、ありがとうございました。引用させていただくと、間違っておかあさんという初夏でした 柳本々々間違えて「おかあさん」と呼んでしまう。それはいろいろな状況が考えられる。例えば、雑踏の中で母と思って呼びかけたら別人だったとか。家で物音がしたので母かと思って「...
【こわい川柳 第四十七話】合わせ鏡のなかでひとりが発火する 江口ちかる
- 2015/06/26
- 12:30

(ブルース・リーやオーソン・ウェルズの有名な鏡のシーン。映画がにわかに〈映画的〉になるしゅんかん。合わせ鏡とは、そもそもが投影された映画的主体である)合わせ鏡のなかでひとりが発火する 江口ちかる【鏡のなかの華氏451】『バックストローク』26号からちかるさんの一句です。阿部公彦さんが、〈反復(リフレイン)〉というのは失敗してこそ/失敗するから、詩の力が発動する、というふうなことを書かれていたんですが...
【こわい俳句 番外篇】その男さみし首から上が蠅 西原天気
- 2015/06/26
- 12:15
その男さみし首から上が蠅 西原天気【蠅と男と人間】「こわい川柳 番外篇」の「こわい俳句」です。『川柳スープレックス』の「 木曜日のことのは蒐集帖② 首から上が蠅」に江口ちかるさんが西原さんの蠅の句の句評を書いておられました。ちかるさんがこの句の「表情の言葉」を指摘されていてそれがとても興味深かったんですが、そのことからあらためて考えてみたのが、なぜ語り手は「その男」ととつぜん〈彼〉が〈彼/男〉である...
【こわい川柳 第四十六話】袋とじしたまま あの世連れてゆく 小田切南
- 2015/06/26
- 12:00

袋とじしたまま あの世連れてゆく 小田切南【ふくろとじに耐えられるひとはだれなのか】わたしは杉浦日向子さんのマンガ『百物語』がだいすきなんですが、いちおうこの〈こわい川柳〉は、百物語のていさいなので、こわい川柳、あとすこしで折り返しになります。きょうは、小田切南さんの絵手紙句集『お母さんへ』からの一句です。絵手紙が各句に添えられているつくりの句集なのですが、こわくておもしろい川柳、けっこうありま...
【こわい川柳 第四十五話】真夜中の廊下に母が立っていた 田村ひろ子
- 2015/06/25
- 12:00

真夜中の廊下に母が立っていた 田村ひろ子【〈立つ〉のは〈だれ〉か】田村ひろ子さんの句集『夢のしっぽ』からの一句です。シンプルでいてごくふつうの描写かもしれないのに、なぜかとても〈こわさ〉を感じる一句ですよね。で、ですね。この句とぜひいっしょに読んでみたいのが、渡辺白泉の有名なこの句です。戦争が廊下の奥に立つてゐた 渡辺白泉以前、この白泉の句の感想を書いたことがあるのですが、この句ではおそらく〈...
【こわい川柳 第四十四話】楕円形の真ん中辺に居る不安 松山芳生
- 2015/06/24
- 12:30

いうまでもなく楕円は、焦点の位置次第で、無限に円に近づくこともできれば、直線に近づくこともできようが、その形がいかに変化しようとも、依然として、楕円が楕円である限り、それは、醒めながら眠り、眠りながら醒め、泣きながら笑い、笑いながら泣き、信じながら疑い、疑いながら信ずることを意味する。これが曖昧であり、なにか有り得べからざるもののように思われ、しかも、みにくい印象を君にあたえるとすれば、それは...