【感想】はつなつになる方法がひとつある 近恵
- 2015/08/25
- 12:00
はつなつになる方法がひとつある 近恵【自信過剰な秘密主義者たち】この句に対して六番町さんが「ほほう。自信家のうえ秘密主義。」(「創刊6周年記念誌上句会 【法】」)と評されていて、すごくおもしろい寸評をなさるなとおもったんですが、じつはこの寸評が的確にそっくりあてはまるのが川柳界にもあってですね、これじゃないかと、わたし、おもったんですよ。まだ言えないが蛍の宿はつきとめた 八木千代近さんの句の語...
【こわい川柳 第七十七話】うみおとす-現代川柳の〈産む〉をめぐって-
- 2015/08/24
- 12:00

産の上にて身まかりたりし女、その執心このものとなれり。その形、腰より下は血に染みて、その声、をばれう、をばれうと鳴くと申しならはせり。 『百物語評判』【私は生まれなおしている、とスーザン・ソンタグは言った】今回お話してみたいのは、川柳のなかの〈産む〉という行為はひじょうにどくとくだという話です。もっといえば、川柳のなかでは〈誰か〉を〈きちんと〉産むことはできない。産むことは〈ノイズ〉をめぐる行為...
【短歌】タケコプター…(毎日新聞・毎日歌壇8月24日・米川千嘉子 選・特選)
- 2015/08/24
- 08:00

タケコプター無いから君に会うまでを噛み締めているホモ・エレクトゥス 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇8月24日・米川千嘉子 選・特選)【米川千嘉子さんの評】逢いたい人の元へすぐ飛んで行けないからこそ、思いを育めるのかも。直立歩行するヒトになった時代から。【体育座りする最終回】ドラえもん最終話といわれている「さよならドラえもん」の最終コマでなぜのび太がすわっているのか、体育すわりをしているのかをときど...
【感想】おふとんも雲南省も二つ折り なかはられいこ
- 2015/08/24
- 01:00

おふとんも雲南省も二つ折り なかはられいこ【不健全は、希望】『週刊俳句』のなかはられいこさんの「テーマなんてない」からの一句です。御前田あなたという人間の絵川柳ってどこから始まっているかっていうと、なかはられいこさんのこの句をふっと描いてみたところから始まってるんです。行かないと思う中国も天国も なかはられいここの句はもともと好きな句で、まず〈不健全〉なのでいいなとおもっていたんですね。天国に...
この国ではひざにねむりこんで書くあとがき
- 2015/08/23
- 21:23

安福望さんに猫と膝をめぐる短歌を絵にしていただきました。ありがとうございました!やすふくさんの絵は、こちらです。やすふくさんの絵は短歌をそのまま〈解釈〉していないところがすてきだなとおもうんですね。だから「短歌の絵」ではなく「短歌と絵」になっているとおもうんです。やすふくさんが描かれる短歌はゆめやねむりをめぐる短歌がおおかったりもしますが、ゆめやねむりは、それそのものが解釈として限定できないものが...
【感想】ラジオより流れる呪文死になさい 石部明
- 2015/08/22
- 21:50

ラジオより流れる呪文死になさい 石部明【生き延びるための川柳入門-不健全は、たくましい。-】どうしてじぶんは川柳につかまっちゃったんだろう、どうしてじぶんは川柳に魅力をかんじたんだろう、どうしてじぶんは川柳にときどき勇気づけてもらえるんだろう、ってかんがえたりすることがあるんですが、ひとつはっきりといえるのは、わたしにとっては川柳が〈不健全〉だったから、じゃないかとおもうんですね。〈不健全さ〉を...
【感想】おかあさん白線ちゃんとわたろうとしたよ白線わたろうとした 遠野真
- 2015/08/22
- 00:13

おかあさん白線ちゃんとわたろうとしたよ白線わたろうとした 遠野真【横断と水着】第58回短歌研究新人賞受賞作「さなぎの議題」からの一句です。遠野さんの連作のいちばんさいごにある歌がこのうたなんですが、きょうたまたま山田露結さんのこんな句についてかんがえていたんです。水着に始まり水着に終る雑誌かな 山田露結露結さんの俳句の空間のなかでは〈くりかえし〉という意味のプロセスが句になっていることが多いんで...
【川柳】きりんの…(はじめの一歩句会・題「音」)
- 2015/08/21
- 21:04
きりんの第二関節で鳴る音色 柳本々々 (はじめの一歩句会・題「音」・奈良一艘・徳田ひろ子 選)今回は、奈良一艘さん、徳田ひろ子さんから選と選評をいただきました。ありがとうございました!【一艘さんの選評】第二関節ってあの指をボキボキ鳴らすとこでしょ。でもキリンの第二関節ってどこですか?これって、単なる身体的な物差しではありませんよね。心象的物差しと受け取りました。ふーむ、面白くてとても不思議な...
【短歌】この国で…『短歌研究』2015年9月
- 2015/08/21
- 20:59

この国でわたしはおもに猫だからあなたの膝にとても詳しい 柳本々々わたしには文体がないと泣く君のなみだが話すレトリック入門 〃 (第五十八回 短歌研究新人賞予選通過作) *真夜中に細胞分裂する音をひとりきいてるしろながすくじら 柳本々々 (短歌研究詠草・高野公彦 選)...
【感想】だいじょうぶ、昨日さんまさんもそう言ってた。 巻民代
- 2015/08/21
- 20:16

だいじょうぶ、昨日さんまさんもそう言ってた。 巻民代【あたしのさんまさんと俳句をめぐって】〈巻民代/外山一機〉という表現主体をかんがえるときにひとつこんなことばがとっかかりになるのではないかとおもうんですね。 巻民代は外山一機の別称です。…思えば、外山一機の名で発表していた作品の裏側に、袋小路へと入っていくことを是とする人間の見せるあのいやらしい顔つきがちらつき始めたのは、『新撰21』刊行以後...