【感想】ドラえもんの青を探しにゆきませんか 石田柊馬
- 2015/09/17
- 12:00

ドラえもんの青を探しにゆきませんか 石田柊馬【ドラえもんクエストのための五つのひみつ道具】ときどきこの柊馬さんの句にかえってくるというか、もどってゆくんですが、もしこの句に現代川柳性があるのだとしたら、それはどんなところにあるのか。いくつかパートにわけて、考えてみたいと思います。【① 接続過剰性(どこでもドア)】たとえばこの句を「ドラえもんの青を探しにゆきませんか」と言われても、違和感がありません...
【短歌・連作】「【天野慶編・ジセダイタンカ】俺もゾンビ」『NHKテレビテキストNHK短歌』2015年10月号
- 2015/09/15
- 21:11

晴れた日にやわらかなソファーよこたわりゆっくりとしたゾンビだったよわからない、眼が死んでいる、阿阿阿阿阿 ゾンビ腐男子のむらがる街へブラチラのゾンビに襲われ生前のあなたのカラーがわたしにわかるゾンビ式ペン字練習帳にある「人間は腐った蜜柑じゃないんです」阿ー、阿ー、吽ー、みんなで詠い朽ちていくゾンビの歌会で特選をとるーゾンビだかraaaaaAうまkうタえなiけdもスキだだjたんだキミのこtttttttk限りなく崩れた...
【短歌連作】「やあ、ハニー」『かばん』2015年9月号
- 2015/09/07
- 20:34

【詞書】干からびた君が好きだよ連れて行く 竹井紫乙宿敵が天使のようにすやすやとねむるすがたが好きだ連れて行く早朝にジョギングするとカップルがキスをしている 好きだ連れて行くピアニカで渡辺くんが叩いたと帰りの会で 好きだ連れて行くドトールの店員が髪を下ろしてく姿が窓に 好きだ連れて行くラブアンドピースの理念がわからない電車のなかで「好きだ連れて行く」「どうかな」や「うん」のわずかなニュアンスをコント...
【短歌】毎日新聞・毎日歌壇2015年9月7日・加藤治郎/米川千嘉子 選
- 2015/09/07
- 12:30
総理の私が言うんだから間違いはありません 信号を渡る 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2015年9月7日・加藤治郎 選)【Twitterで加藤治郎さんから頂いた選評】2字空けというレトリックは、新聞歌壇では、初めてだろう。総理との距離のメタファーになっている。あまりに空虚だ。/2字空けが、有意となった例として、貴重な作品だ。/ためらいがちに信号を渡るのだ。/2字空けが、重々しい空気を現出している。そして、歩...
【こわい川柳 第八十一話】あたりいちめんびっしりと、毛-根岸川柳-
- 2015/09/07
- 12:00

無才無能の時計に毛が生えている 根岸川柳体毛のある掌が古事記から覗く 〃滝──盛大に陰毛がそよぐ 〃〈時間〉の蝶番(ちょうつがい)がはずれている…… シェイクスピア『ハムレット』一般的に西洋絵画の伝統において体毛を描かない慣習がある。体毛は情欲と性的な力に結びついている。女性の性的情熱は、鑑賞者に彼がその情欲を支配しているような感覚を抱かせるために最小限におさえる必要がある。 バージャー『イ...
【感想】チャーシュー麺は春に似ている 樋口由紀子
- 2015/09/06
- 22:27

チャーシュー麺は春に似ている 樋口由紀子 しかし、人間の状況を決定するのは関係の絶対性だけである。ぼくたちは、この矛盾を断ちきろうとするときだけは、じぶんの発想の底をえぐり出してみる。そのとき、ぼくたちの孤独がある。孤独が自問する。革命とは何か。もし人間における矛盾を断ち切れないならばだ。吉本隆明『マチウ書試論』【「似ているもの」を十四字以内で述べなさい】月波与生さんがおっしゃられていてわたし...
【川柳】つきとばされるひよこたち(はじめの一歩句会・題「何のために生きるのか」)
- 2015/09/05
- 09:41

何のために生きないかだけ考える 柳本々々 (はじめの一歩句会・題「何のために生きるのか」・奈良一艘 選)【奈良一艘さんの選評】100人いれば100通りの好みや価値観があるように生き方も様々。まさに正解はない。あんまりしちめんどくさく考えない方が幸せなのかもね。(笑)作者のあまのじゃく的川柳感に同感!お別れにつきとばされたいひよこたち 柳本々々 (はじめの一歩句会・題「何のために生きるのか」・徳田ひ...
【短歌】図書館で…(「第90回 短歌ください(お題:図書館)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2015年10月号)
- 2015/09/04
- 23:14

図書館で待ち合わせたがうつむいたひとばかりだから耳で探した 柳本々々(「第90回 短歌ください(お題:図書館)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2015年10月号)【ここではみんな、すてきに、じっとしている】図書館ってすてきな場所だなっておもっていて、なにがすてきかっていうと、あんなにみんながじっとしている場所もないだろうとおもうんですよね。しかもだれかにいわれたわけでもない、じっとしてろと脅迫されたわけでもな...
【お知らせ】「【走る中村冨二】現代川柳空間におけるバラバラな身体―ばらばらとひじやかかとやくるぶしが降ってくるパノラマ島を駈け抜けろ!」『BLOG俳句新空間 第25号』
- 2015/09/04
- 00:21

『 BLOG俳句新空間 第25号』にて「【走る中村冨二】現代川柳空間におけるバラバラな身体―ばらばらとひじやかかとやくるぶしが降ってくるパノラマ島を駈け抜けろ!―」という文章を載せていただきました。『BLOG俳句新空間』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました! お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。川柳っていうのは少し乱暴にいうと、《なんでもあり》の世界だとおもうんです。でも、その《なんで...
【感想】父を嗅ぐ書斎に犀を幻想し 寺山修司
- 2015/09/03
- 18:50

父を嗅ぐ書斎に犀を幻想し 寺山修司少年時代、私は落書というものに、異常な興味を持っていた。他人の落書を、実にていねいに読み漁った。 寺山修司『短歌論集』【書斎で犀をさがす】寺山修司の俳句って独特だったと思うんですが、高校のころに寺山修司の俳句のようなぶっとんだ幻想短詩がのっている本ってないかなといろいろさがしていたんですが、なかったんですね。で、後に現代川柳、たとえば樋口由紀子さんとか佐藤みさ...