【感想】「無宗教やと信頼されん言うてたわ」「そうなんや」ジョッキの底の、泡。 法橋ひらく
- 2015/10/31
- 23:56

「無宗教やと信頼されん言うてたわ」「そうなんや」ジョッキの底の、泡。 法橋ひらく「神とは何だろう?」とパヴェウは叔母イレーナに尋ねる。彼女は彼を自分の腕の中に抱き寄せて言う。「どんな感じがする?」「愛を感じる」「そうよ」 キェシロフスキ精液を手早く拭う たぶん俺、誰にもなにも感謝してない 法橋ひらく【わたしのほかに神があってはならない。】うえのふたつのひらくさんの歌には、〈無規定という規定〉...
【感想】きみはあまり陽気じゃないから納得が追いつくまでやや長く待つ(よそで) 柳谷あゆみ
- 2015/10/31
- 10:50

きみはあまり陽気じゃないから納得が追いつくまでやや長く待つ(よそで) 柳谷あゆみきみはとても印象深くはないだから去年は思いだせないでいた 〃奇蹟的なきみの料理だ。湯気のない。とてもきれいだ。すごくまずいよ。 〃【長すぎる思いやり、それはエル・ドラド】以前、川柳カード大会のときに〈短歌〉と〈川柳〉はどんなふうな違いがあるのかという質問をいただいたことがあって、そのときからもよく考えているんです...
【感想】空気なんて信じてゐない蝶が好き 佐藤雄志
- 2015/10/30
- 23:27

空気なんて信じてゐない蝶が好き 佐藤雄志髪を気にする赤い羽根募金の子 〃月眩しプールの底に触れてきて 〃【ふっとした逸脱】わたしが感じる佐藤さんの句の面白さのひとつに〈主目的〉からふっと逸れたところにある〈なにか〉というのがあるのかなあと思ったんですね。たとえば〈空気〉だからこその飛ぶ蝶なんだけれども、〈真空状態〉のなかの蝶や、「赤い羽根募金」という〈他者への献身行為〉にありながらも〈対自的...
【短歌連作】「忍者なんだもの」『かばん』2015年10月号
- 2015/10/30
- 21:14

【詞書】日常的に指貫グローブを着用するのは即やめましょう 『脱オタクファッションガイド』鳩と共に戸板返しで現れたきみのサプライズ いつも鳩が出るきみのことすきでござるよ そういって丸太に変わるおまえの小心いっさいを「~の術」化する渡辺が術化できない失恋をする卒業をする日の朝に父親は丸太だったと母が術を解く天井で逢い引きしている午前二時なみだがあふれこれはバルサン棺桶に木の葉がみっちり詰まってて フ...
【感想】イヤホンとインターホンは似てますか 熊谷冬鼓
- 2015/10/30
- 18:13

イヤホンとインターホンは似てますか 熊谷冬鼓題詠が多い川柳にとって、創作作業は言葉の定義づくりととても似た作業のような気がする Sin『おかじょうき』2015/9【語りえぬものについても、沈黙しなくていい】この熊谷さんの句。「似てない」っていうのは〈正解〉じゃないとおもうんですよ。イヤホンとインターホンは似てないんじゃないかな、と答えても、語り手は納得しないようにおもう。逆に「似てる」っていっても、そ...
【感想】同盟を結びたいなと君のこと考えている 眼と鼻と口 榎田純子
- 2015/10/30
- 12:28

同盟を結びたいなと君のこと考えている 眼と鼻と口 榎田純子身体の統一性は、いつも潜在的であり、あいまいだが、私が人体を認識する唯一の手段は、みずからそれを生きること、つまり、その人体の閲したドラマを私の方でとらえ直し、その人体と合体することだけである。 メルロ=ポンティ『知覚の現象学』【あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない】『かばん』2015年10月号からの一首です。「同盟」っていう「君」と...
【お知らせ】「【短詩時評 五人目】北山あさひと戦略としての「なんなんだ」-ひとりひとりは、崖-」『BLOG俳句新空間 第29号』
- 2015/10/30
- 08:10

『 BLOG俳句新空間 第29号』にて「【短詩時評 五人目】北山あさひと戦略としての「なんなんだ」-ひとりひとりは、崖-」という文章を載せていただきました。『BLOG俳句新空間』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。断崖を見たいと言えばうんと言うこの感情も家になるのか 北山あさひ宗助の家は横丁を突き当って、一番奥の左側で、すぐの崖下だから、多少陰...
【川柳】猫バスに…(『川柳マガジン』2015年11月号掲載作)
- 2015/10/29
- 21:24

猫バスになれない猫に見つめられ 柳本々々 (「川柳画ミュージアム」『川柳マガジン』2015年11月号)太陽が路上で叩き売りされる 柳本々々 (読者柳壇・課題「格安」・たむらあきこ 選・佳作) *舟がでるそこは楕円でそこは蒼 たむらあきこ...
【感想】すぐ泣くすぐ知るすぐ萌える きゅういち
- 2015/10/29
- 12:00

すぐ泣くすぐ知るすぐ萌える きゅういち春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。… 清少納言『枕草子』【世界の中心で萌えを叫ぶ】『川柳北田辺』からの一句です。「萌える」ってなんなのかということを考える場合にわかりやすい説明があって、それは古文の「をかし」と同じなんだと考えるとわかりやすいっていう説明があるんですよ。つまりたとえば清少納言は『枕草子』の...
【こわい川柳 第九十八話】なめらかなお悔やみ-森田律子-
- 2015/10/27
- 18:40

お悔やみをすらすら言えるのがプリン 森田律子【プリン文芸としての川柳】『川柳・北田辺』61号から森田さんの一句です。やっぱり川柳って〈食べ物〉を通した〈ふらち〉がすごくおもしろいなと思っていてですね、今回の『北田辺』にもおもしろい〈ふとどき〉が食べ物を通してたくさん展開されていたのでちょっとご紹介しましょう。ひょこひょこついてくるから魚肉ソーセージ 榊陽子直立歩行で豆腐は行進中 江口ちかる君の...