【川柳】古紙回収…(はじめの一歩弘前句会・題「紙」・奈良一艘 選・佳作)
- 2016/01/24
- 19:02

古紙回収 私はむかし爬虫類 柳本々々紙からの悲鳴きょーきょーと鳴る 〃 (はじめの一歩弘前句会・題「紙」・奈良一艘 選・佳作) *自殺願望のサンマ焼いたのはだれだ 奈良一艘M字開脚してイージス艦航行 〃...
【短歌】朝礼の…(日経新聞・日経歌壇・2016年1月24日・穂村弘 選)
- 2016/01/24
- 18:28

うずく、まるわたしはあらゆるまるになる月のひかりの信号機前 中家菜津子【うずくまる再考】この中家さんの〈うずくまる〉を歌を読むときに、今までわたしは〈うずく、まる〉の方ばかりに重心を取って読んでいたんだけれど、「信号機前」で最後が終わっているのがさいきん気になるんですよね。そこに重心をとって読み直してみると、どう、なるか。「信号機」って休止とか停滞を引き起こすための装置ですよね。もし「わたし」が...
【川柳連作】「35人のアリスたち」『おかじょうき』2016年1月号掲載作
- 2016/01/24
- 08:49

ドードーをくしゃくしゃと呼ぶアリスたち あたたかいさい・しか・らいおん・くじら・びる 「月面のようですね」「はい」 音信不通月光をふりかけにしたマニュファクチュア お大事に 処方箋には鹿とある 柳本々々「35人のアリスたち」『おかじょうき』2016年1月号 *【先月号のお気に入りの一句】生きたくてまだ生きているもんしろちょう 坂本勝子クッションを押すともんしろちょうが出る 柳本々々 *ローソ...
【川柳】ぱっへるべるの最後(佳作・題「息」『第20回 杉野十佐一賞』)
- 2016/01/24
- 08:34
ぱっへるべるかのんと息を吐きなさい 柳本々々 (徳永政二・なかはられいこ・樋口由紀子・むさし 選・佳作)最後までふとんのなかは息でいっぱい 柳本々々 (徳永政二・むさし 選・佳作) *毎週金曜 息の発売日 佐久間裕子この線はどこにつながる線だろう 徳永政二何も書いていないところは水ですね 〃こんなときだけど鳩の脚ピンク なかはられいこサランラップの端見つからぬ 楽し 樋口由紀子雪...
【お知らせ】「【短詩時評 第11巻】Welcome to the Hotel Nejimaki -『川柳ねじまき』第2号を読む-」『BLOG俳句新空間 第35号』
- 2016/01/23
- 13:02

『 BLOG俳句新空間 第35号』にて「【短詩時評 第11巻】Welcome to the Hotel Nejimaki -『川柳ねじまき』第2号を読む-」という文章を載せていただきました。『BLOG俳句新空間』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。「ねえ、いい」と女は僕の言葉をぴしゃっと遮(さえぎ)るようにして言った。「あれこれと考えるのはやめなさいよ。むずかしいことを考えるのは...
【短歌連作】「最後の交通整理(銀河篇)」『かばん』2016年1月号
- 2016/01/23
- 12:23

銀河系交叉路に立ちなめらかに星を束ねる交通巡査(ヒューマノイドロボ)春の夜にぬくもりだけがひかってるきみはまるごと〈降ります〉ランプ 柳本々々「最後の交通整理(銀河篇)」『かばん』2016年1月号...
【感想】牛久のスーパーCGほどの美少女歩み来しかも白服 関悦史
- 2016/01/23
- 08:32

牛久のスーパーCGほどの美少女歩み来しかも白服 関悦史アロハシャツ着てテレビ捨てにゆく 小倉喜郎【〈しかも〉の立ち位置】さいきん小倉さんの句集をずっと読んでいてすごく面白かったんですが、ふっと、あっ、俳句と川柳の違いってこういうことなんだなあって思ったんですね。小倉さんご本人にも申し上げたことがあるんですが、小倉さんの俳句ってちょっと川柳にも近いんですね。なんでだろうって思ったんだけれど、これ...
【あとがき】鶴見俊輔『悼詞』のあとがき
- 2016/01/20
- 13:59
私の今いるところは陸地であるとしても波打際であり、もうすぐ自分の記憶の全体が、海に沈む。それまでの時間、私はこの本をくりかえし読みたい。私は孤独であると思う。それが幻想であることが、黒川創のあつめたこの本を読むとよくわかる。ここに登場する人物よりもさらに多くの人からさずけられたものがある。そのおおかたはなくなった。今、私の中には、なくなった人と生きている人の区別がない。死者生者まざりあって心をゆき...
【感想】膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番素晴らしい俺 工藤吉生
- 2016/01/20
- 08:00

膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番素晴らしい俺 工藤吉生【隅っこは、素晴らしい】工藤さんの短歌でおもしろいのが〈世界の端っこ〉が〈称揚〉されているところなんじゃないかと思うんですよね。〈世界の端っこ〉がなんだか生き生きしている。以前、脇役のようにたたずむ 地下鉄のホームの隅で咳をしながら 工藤吉生という歌の感想を書いたんですが、今あらためてみてみると「脇役のように」というのがこの歌のひとつ...
【ふしぎな川柳 第六十五夜】ガチャピン・ムック・鉄仮面-魚澄秋来-
- 2016/01/15
- 00:17

ガチャピンでもムックでもなく鉄仮面 魚澄秋来【朝の鉄仮面】これ面白いなと思ってですね、「AでもなくBでもなくC」構文ってふしぎな構文だと思うんですよ。AじゃないBじゃないって否定はしているわけですよね。そうじゃないんだって。でもそう否定することによってAとBとCをおなじカテゴリーに語り手が置いていることがわかる。「ガチャピン」と「ムック」と「鉄仮面」は語り手のなかでは同じカテゴリーですね。だから...