【お知らせ】「【 短詩時評 十三形】久保田紺と吉田知子-わたしに手を合わせるおまえは誰だよ-」『BLOG俳句新空間 第37号』
- 2016/02/28
- 05:03

『 BLOG俳句新空間 第37号』にて「【短詩時評 十三形】久保田紺と吉田知子-わたしに手を合わせるおまえは誰だよ-」という文章を載せていただきました。『BLOG俳句新空間』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。 *実は最初ですね、「久保田紺と江國香織」というタイトルで書いていたんですね。江國香織さんも、わたしとあなたの関係や家族の関係という〈...
【ふしぎな川柳 第八十一夜】このへんでもあのへんでもよかった-田久保亜蘭-
- 2016/02/28
- 00:56

この辺に鼻をつけてもいいですか 田久保亜蘭【ここでなくてもそこでもいい】『おかじょうき』2016年2月号からの一句です。このあらんさんの句って、すごく《川柳っぽい》と思うんですね。じゃあどこが川柳っぽいのかというと、《巨大な恣意性》にあるとおもうんです。川柳はいうなればわたしは《巨大な恣意性》だとおもう。どういうことか。「この辺に鼻をつけてもいいですか」と句は語っていますよね。まず「この辺に」という...
【川柳連作】「スミスさんと巨大迷路」『おかじょうき』2016年2月号掲載作
- 2016/02/28
- 00:01

午後三時巨大迷路に立ち寄って目醒めると関西弁がしゃがんでる捕らわれた村長さんの名がスミス パンダに貰う、どろりとした笹を 迷宮ですれちがうひと玉子焼きコンビニでジャージで仰ぐゴジラかな 柳本々々「スミスさんと巨大迷路」『おかじょうき』2016年2月号 *少しずつ俺に寄り添う火焔土器 柳本々々 (題「器」・きさらぎ彼句吾 選・人位) *【研究吟】高度経済成長期という辞表 柳本々々 *活...
【川柳】はじめの一歩・題「くっきり」
- 2016/02/27
- 15:22

くっきりとわたしはあしたDになる 柳本々々 (ひろ子、しんのすけ 選) ベトナム戦争からくっきりが帰らない 〃 (ひろ子 選) *パッチワークします新子明三柳 徳田ひろ子日めくりがキラリゆらりと結露する 〃素うどんに溶かすワタシの濃いところ 須藤しんのすけ...
【お知らせ】「フシギな短詩・2月のまとめ」『およそ日刊「俳句新空間」』
- 2016/02/26
- 01:01
「フシギな短詩」2月は、《季語を通すことで移ろっていく世界》というテーマにしてみました。季語を通すと変わってしまう世界があって、でもその世界を引き受けようとすることと俳句はどこかでつながっているのではないか。そんなふうにこの五人の方の俳句を読んで感じていました。季語を通して揺れや乳輪やゴジラや不健全さや災難がべつのかたちをとってやってくること。それはいままで出会ったことのないフシギな風景をはじめて...
【感想】何もかもわかったような顔をしてそこに座って待っていなさい 木下龍也
- 2016/02/23
- 22:27

何もかもわかったような顔をしてそこに座って待っていなさい 木下龍也ぼくたちは月でアダムとイブになるNASAの警告なんか無視して 〃慣性の法則はもう壊れたし動いていいよ奈良の大仏 〃【宇宙の 法則が 乱れる!】木下さんが歌われていた「鯛めしタイムマシン」という朗読ラップを聴いていたときにおもしろいなと思ったのが、「たいめし」と「たいむましん」の接着だったんです。韻律で接着しているんだけれど、「...
【ふしぎな川柳 第八十夜】みっつめの耳-野沢省悟-
- 2016/02/23
- 01:07

みっつめの耳をさがしている吹雪 野沢省悟【吹雪の認識】省悟さんの吹雪の句には、てのひらの一本道に吹雪来る 野沢省悟という句もあるんですが、どちらも「耳」や「てのひら」という〈身体のパーツ〉が「吹雪」とめぐりあっています。興味深いのは、〈身体のパーツ〉が語り手の道しるべになっていることです。「てのひら」は「一本道」だし、「吹雪」のなかで「耳をさがしている」ということは、その「みっつめの耳」を見つ...
【川柳連作】「うわーいいね」『触光』46号・2016年2月
- 2016/02/22
- 23:53

SFがみっちり詰まる海苔の缶 ウインクのばちって音がおそろしい さわやかなひらてうち、朝 うわーいいね クリスマスなんどかいえるさようなら ありがとうすこしぬるめに云ってみる お別れのふりむきざまの洗い熊門という漢字 違和感ばかりあるワープ時にふと思い出すバスクリン 柳本々々「うわーいいね」『 触光』46号・2016年2月 *野沢省悟さんから次の句評を頂きました。ありがとうございました! 「ワープ時...
【ふしぎな川柳 第七十九夜】ゆらゆら帝国で考え中-なかはられいこ-
- 2016/02/22
- 23:36

こんなときだけど鳩の脚ピンク なかはられいこ【バック・トゥ・ザ・ピンク】荻原裕幸さんが『現代川柳の精鋭たち』という本のアンソロジーの解説で川柳という表現形態は「日常に近似した」言葉で「読者の世界観への震度のようなものの絶対値が問われる」文芸だとおっしゃっていたんですが、この〈読者への揺さぶり〉〈読者をゆらゆらさせること〉って川柳にとってはとても大事なものだとわたしも思うんです。荻原さんの言葉をわ...
【川柳連作】「閣下の時間」『はじめの一歩』2016年1月
- 2016/02/22
- 00:28

さっそくですがと渡される頭蓋骨眼鏡語の「ばく」はやさしく聴こえますモビー・ディックに呑み込まれゆく比丘尼たちきりんの第二関節で鳴る音色閣下とか整形外科で呼ばれてる なにもない匚に黙って俺が棲む しわしわのビームが出てるウルトラマン こんにゃくは花束のような気がしますときどきは眼鏡流れる天の川ねえアダムあたしたちなんかおかしくないかその顔はポインセチアが知っていた十二月わたしはさっき此処にいた ...