【川柳連作】「さ世うなら、すべてのジョン」『おかじょうき』2016年3月号掲載作
- 2016/03/31
- 23:36

そふとくりいむってなんだろう みゑ子たたずんで肉の区分をする神父チョコチップクッキーは傘をわすれないセブン-イレブンの前シロナガスクジラが過ぎるさ世うならま※アうヒ敗で刺yoうナら★焚き火にもののしられたい猿の皮膚 柳本々々「さ世うなら、すべてのジョン」『おかじょうき』2016年3月号 *区役所に投げ出されてるマシンガン 柳本々々すがわらのたかすえのむすめを区分せよ 〃 (題「区」・奈良...
【短歌】さっきから…(毎日新聞・毎日歌壇2016年3月28日・加藤治郎 特選)
- 2016/03/28
- 07:00

「さっきから苺の匂いがするんだけど」それが出会ったきっかけだった 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2016年3月28日・加藤治郎 特選) 【加藤治郎さんから頂いた選評】春である。思わずそう言ったとき、君は振り向いた。そんなシーンを想う。恋の始まりに苺はふさわしい。【苺と巨人】むかし、黙ってイチゴを持ち歩いていたことがあって、で、こっそり持ち歩いていたんですが、巨人みたいに大きなひとがそばにきたと...
【あとがき】片山杜秀『国の死に方』のあとがき
- 2016/03/25
- 07:09
2011年3月11日、関東で電車に乗っていた。…それから一ヶ月くらいのあいだは、日本の国家と社会が比較的短期間で崩壊するのではないかという想念が脳裏を去らなかった。出版社もなくなる。大学もなくなる。原稿の依頼も授業もなくなる。その確率はけっこうあると考えた。終末を意識した。「遺言」のつもりで新聞や週刊誌や月刊誌に寄稿したり、放送で喋ったりしていた。…中長期的未来における国家の破局の可能性を視野に入れずには...
【お知らせ】「フシギな短詩・3月のまとめ」『およそ日刊「俳句新空間」』
- 2016/03/25
- 00:13
【6、関悦史さんとテラベクレル】 語り手はいまや季語をあんのんと使える世界には暮らしていない。季語を使い、季節のなかに身を置こうとすると、〈テラベクレル〉をも抱えこまざるをえない世界。それが語り手が身をおく春である。【7、中山奈々さんと外傷】 「傷って消すもんじゃないんだよ。生きられるものなんだ」 私は、もっと、床の一部になる。【8、宮本佳世乃さんと心臓】 ひとりにひとつずつの心臓、ひとりにひとつ...
【あとがき】加藤治郎『環状線のモンスター』のあとがき
- 2016/03/24
- 00:40
遍在する〈怪物〉。そんな現在を思わずにはいられない。テロの翼が世界を覆う。戦場と日常の境界が曖昧になっている。…何ということだろう。悲劇が飲み込まれ、消化されてゆく。すなわち〈怪物〉の姿を見たのである。 加藤治郎「あとがき」『環状線のモンスター』...
【感想】加藤治郎さんと不気味な匿名性-ごりごりしたあなたはだれなんですかだれなんですか-
- 2016/03/22
- 23:50

誰かいっしょに死んでください鶏の小さな頭、闇にみちたり 加藤治郎日曜の路上のガムをごりごりと削るあなたは誰なんですか誰なんですか 〃【モンスターは物質】今ずっと加藤さんの歌集『環状線のモンスター』を読んでいるんですね。で、そのなかにはネットの世界を詠んだ一連の歌があるんですが、加藤さんのネットを詠んだ歌のひとつの特徴として〈物質感〉っていうのがあると思うんです。ネット空間っていうのは匿名性の空...
【感想】永井祐さんとガイア感覚-環境の中でたのしく暮らす-
- 2016/03/22
- 00:31

永井祐さんの短歌を読んでいくとふしぎな〈地球感覚〉というか〈大地信仰〉のような感覚がふっと湧いてくることがあるんですが、ガイア理論ってありますよね、地球と地球上のあらゆるものは一体でありひとつのいきものであるというような。ちょっとその感覚に近いような気もするんです。今ここにいるわたしはわたしを取り巻く大地や環境と一体である。ちょっと歌を引いてみましょう。アスファルトの感じがよくて撮ってみる もう一...
【感想】あの青い電車にもしもぶつかればはね飛ばされたりするんだろうな 永井祐
- 2016/03/21
- 23:53

あの青い電車にもしもぶつかればはね飛ばされたりするんだろうな 永井祐【口語は存在しない】花山周子さんが永井祐さんの〈口語〉をめぐって次の指摘をしているんですね。話し言葉を基準に見た時、ほとんどの短歌は、不自然であり、文語的だということもできる。その点で言えば、永井祐は極めて真っ当に口語短歌を追求している稀有の存在だと言えるのではないか。 花山周子『北冬』16で、わたし、この花山さんの指摘を読んだ...
【感想】葱の根の干からびたような髪をして永田和宏徘徊をせり 花山周子
- 2016/03/20
- 20:29

葱の根の干からびたような髪をして永田和宏徘徊をせり 花山周子【歌人詠を詠む歌人詠】この花山さんの歌をはじめてみたときかなり衝撃的だったんですよ。なにが衝撃的だったかというと、歌人詠というか、歌人が歌人を詠む歌っていうのは、どこかでその歌人が歌人に関係していくことの関係的距離感のようなものがあるんですね。親しみ、というのでしょうか。でもこの歌の構造には徹底的な語り手と「永田和宏」さんとの〈非関係〉...