【川柳連作と散文】「自転車忌」『川柳の仲間 旬』205号・2016年5月号
- 2016/05/31
- 23:41

髪の毛が地球の大半を占めるそれからは「はい」や「いいえ」が迷わない東京タワーに絡まる「ワアアアッ!」折り紙でとうきょうとっきょきょかきょくを折るエイプリルフールレントゲンの隙間おおかたはトマトで出来ているカボチャ自転車は後から余計だと気づく自転車忌あした粘土でつくる船「暗いね。食べられたんだろうね。ね」「うん」ウェザーニュース都合のつかない先祖霊 柳本々々「自転車忌」『川柳の仲間 旬』205号...
【お知らせ】「フシギな短詩・5月のまとめ」『およそ日刊「俳句新空間」』
- 2016/05/31
- 00:26

今月のテーマは《迂回》ということになるのかなとふりかえってみて思いました。わたしは《迂回》っていうものを肯定的にとらえていて、《遠回り》や《迂遠》っていうのはじぶんの生をみつめかえすチャンスなのかなっておもうんですよね。いつもとはちがったふうにじぶんの生をみつめかえすこと。それが迂回なんじゃないのかなっておもうんです。なかはらさんの回避や中澤系さんの理解、ブローティガンの勇気や野間幸恵さんの水流、...
【感想】待たされて苺の夜に立っている 田島健一
- 2016/05/30
- 01:09

待たされて苺の夜に立っている 田島健一【松尾場所】『オルガン』2号から田島さんの一句です。ときどき自分にとって俳句ってなにかを考えたときに、それはひとつの《場所論》なんじゃないかと思っているんです。すごく暴論めいたことをいうと、松尾芭蕉の「芭蕉」が《BASYO》=場所という響きをもっていたことって自分にとっては少し感慨深いというかおもしろいんですね。古池や蛙飛び込む水の音 芭蕉も、やっぱり《場所論...
【感想】扇風機もっとも強きとき背中 北川美美
- 2016/05/29
- 23:06

扇風機もっとも強きとき背中 北川美美【扇風機の記号学】扇風機とはなにかって考えたときに、それはたゆまぬ反復としての記号運動といえるんではないかと思うんですね。ずっと首振りをしているわけですよね。とくにこの句にしたがえば、この句の扇風機は首振りをしていますね。もっとも強きときがあるということはもっとも弱きときもあるんだから。で、扇風機としてはおなじ位置でおなじふうに首振りをしているんだけれど、わた...
【希望の川柳 六日目】風葬の夏-飯島章友-
- 2016/05/29
- 22:40

過去問を解きつつ風葬だったこと 飯島章友コンビニの冷蔵棚の奥の巨眼 〃【ナイフはずっと落ちている】飯島さんの『恐句』からの二句です。飯島さんの川柳の〈恐さ〉って語り手が川柳のなかで川柳を語りつつ〈気づいてしまう〉ところにあるとおもうんですよ。「風葬だったこと」に気づく。「奥の巨眼」に気づく。京極夏彦の大切なモチーフでもあると思うのだけれど、それまで〈知ってはいたけれど・気がつかなかったこと〉に...
【感想】友達と大笑いした後とかに あなたのことを思い出します 柳澤真実
- 2016/05/29
- 13:16

友達と大笑いした後とかに あなたのことを思い出します 柳澤真実【あなたはいつも暴力的だ】この「とかに」っておもしろい言葉遣いだと思いませんか。少しぎくしゃくしてるというか、むりやりとつぜんやってきた《つなぎ》というか。で、それがこの歌のひとつのポイントになっているんじゃないかとおもううんです。この「友達と大笑いした後」と「あなたのこと」ってかんたんにはつなげないような途方もない距離感があるとおも...
【希望の川柳 五日目】元気な希望-弘津秋の子-
- 2016/05/28
- 23:16

魚とご飯しっかり食べて逢いにゆく 弘津秋の子 (『句集 アリア』)【元気な密会】現代川柳って〈逢う〉っていう動詞がなかなかに多いと思うんですね。これは短歌や俳句にくらべても多いと思うんです。私はけっこう実はこの〈逢う〉って動詞に川柳性のなにがしかがあるんじゃないかと思っているんですが、大事なことはこの〈逢う〉って動詞がそんなに率直に〈逢う〉として機能していないところ...
【詩】身体ってすごくおおごとなきがするよ(「新人作品・入選・廿楽順治 選」『現代詩手帖』2016年6月号・掲載)
- 2016/05/28
- 12:38

あなたが横にねむっているのがわかったときわたしは天井をみあげていたのだがふいに 身体っておおごとなきがするよ とくちからこぼれたのだったむっくりとおきあがったあなたが水をのみにいくのがわかった くうかんががさがさと音をたてるのがわかってあなたよりもわたしはくうかんとずっと一緒にくらしてきたのだとわかった実はねあの手紙をみたのとあなたがいう あなたのおおぶりなてやあしをみているうちにただそれ...
【お知らせ】「【短詩時評 第19公演】現代川柳・虚構・アイドル論-第二回現代川柳フリマ 山田消児×小池正博「短歌の虚構・川柳の虚構」レポート-」『BLOG俳句新空間 第43号』
- 2016/05/28
- 09:40

『 BLOG俳句新空間 第43号』にて「【短詩時評 第19公演】現代川柳・虚構・アイドル論-第二回現代川柳フリマ 山田消児×小池正博「短歌の虚構・川柳の虚構」レポート-」という文章を載せていただきました。『BLOG俳句新空間』編集部にお礼申し上げます。ありがとうございました!お時間のあるときにお読みくだされば、さいわいです。川柳フリマでは前半に石田柊馬さんが「句集でたどる現代川柳の歩み」について講演されて、で、そ...