【お知らせ】「フシギな短詩・8月のまとめ」『およそ日刊「俳句新空間」』
- 2016/08/30
- 00:23

今月をとおしてちょっと印象的だと思ったのが、短詩ってたえず〈外〉にひらいているんじゃないかということです。外との往還。それが8月の今回のテーマだったのかなと。それは飯田有子さんの歌の助けを求める主体からはじまって、柳谷あゆみさんのマリオや外山一機さんのドラゴンクエスト、田島健一さんや飯島章友さんの〈奥〉、川合大祐さんや中家菜津子さんののび太やペソア、車谷長吉さんや吉田類さんの滞留と流浪。どうしても...
【短歌】いやきみは、…(東京新聞・東京歌壇・東直子 選・2016年8月28日)
- 2016/08/29
- 20:07
いやきみは、思い出の場所なんてもうどうでもいいの歩き方だそれは 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇・東直子 選・2016年8月28日)【希望も絶望もないちょっと】こないだある方と話していて、作家のディネーセンが言った「わたしは希望も絶望もなく毎日ちょっとずつ書きます」という言葉の話になったんです。で、なんで、「希望も絶望もなく」なんだろうってそのとき考えたんですが、それはたぶん、明日っていう時間はまだ希...
夏のあとがき
- 2016/08/28
- 20:19
川柳では「中八」ってとても忌み嫌われているんですね。585で詠むのはだめだと言われる。でもなぜ駄目なのかって実は誰もよくわかっていないんじゃないかって問いを発したのが、兵頭全郎さんの「中八考」だと思うんです。この全郎さんの記事は検索すれば出てくるのでネットで読むことができるんですが、そこで全郎さんは、実は「中八」の方がむしろ自然なリズムなんじゃないかと指摘している。それって面白い指摘だと思うんです...
【お知らせ】「あとがきの冒険・8月のまとめ」『週刊俳句』
- 2016/08/28
- 00:25

あとがきって、不思議ですね。なんなんでしょうか、あとがきって。いまだに、よく、わからない。というよりも、わかったと思ったせつな、新しいあとがきがこの世界に生まれてしまう。あとがきにマニュアルがない以上、どんどん新しいあとがきが生まれてくる。あとがきって、なんなんでしょうか。それでも8月のあとがきの冒険をとおして少しずつわかってきました。それはそのひとがその本でもって引き受けざるをえなかったなにかが...
【あとがき】福嶋亮大『厄介な遺産』のあとがき
- 2016/08/23
- 14:17
そもそも、過去の作品を成長させ、そこに新たな価値を付与し、現代の時代状況にぶつけていくための《演奏法》を考案することに関して、日本の学者や批評家はややもすれば禁欲的すぎたように思われる。少なくとも、私は優等生的なコメンテーターであるよりは、不器用な演奏家でありたいと強く願っている。 福嶋亮大「あとがき」『厄介な遺産』...
【あとがき】西川アサキ『魂のレイヤー』のあとがき
- 2016/08/18
- 21:38
記憶力の悪い筆者は、過去に挙げた未来への抱負を大抵忘れ、別のテーマに移行してしまう悪癖にしばしば絶望してきた。だが、本書を作る過程で気付いたのは、自分、あるいは誰かが意外と律儀で、過去の抱負を想像もつかないやり方で実現してきていることだった。それは筆者に残されたかすかな「希望」かもしれない。 西川アサキ「おわりに-リンチの機械、ヴァレラの仏教、シンギュラリティと「工学的な心身問題」」『魂のレイ...
【あとがき】小森陽一『漱石を読みなおす』のあとがき
- 2016/08/17
- 16:09
突発的な事故のような偶然に見まわれた瞬間のそのときどきに、「漱石」という筆名をもつ男が選びとった実践と思考の現場だけを記述したつもりです。私の中の「漱石」像は、いまでも《ゆらい》でいます。 小森陽一「あとがき」『漱石を読みなおす』...