【川柳連作】「さわやかなひらてうち」(「触光の作家」『触光』2016年10月)
- 2016/10/06
- 07:13

こうするとぶらさげられる春ですよひゃっとする花束の背中さわると死ぬときにキリンは鯖の夢をみるお祈りのかたちのままでバスに乗る浴室に江國香織が直立すさわやかなひらてうち、朝 うわーいいね○のような素のようなガチガチのようなトイレあけるとがぜん犀でした最後まで寄り添ったのは叱るため 柳本々々「さわやかなひらてうち」(「触光の作家」『触光』2016年10月) 「たてがみを失ってからまた逢おう/小池正博」...
【あとがき】田村秀『データの罠 世論はこうしてつくられる』のあとがき
- 2016/10/06
- 07:08
数値目標の設定というのは分かりやすく、これもある意味ではワンフレーズの政策であろうが、なぜそのような目標を設定するのか、そして何を目指すのかといった点も分かりやすく説明してもわらないと、数値だけが一人歩きしてしまいがちである。 田村秀「あとがき」『データの罠 世論はこうしてつくられる』...
【川柳連作】「鳥の息」(『触光』49号・2016年10月)
- 2016/10/06
- 01:08

ごちそうさまでしたの合図で撃ちなさいサボテンを待って倒幕したいと言う鳥の息を感じたことがありますかフルコースすぐに「いいよ」と頷くひとと鹿になって話しかけるのはやめなさい青に眩んではのび太まるかじりこんなにいい風のなかで考えるジャミラ 柳本々々「鳥の息」(『触光』49号・2016年10月) *気まぐれにゴジラがほじっている日本 野沢省悟...
【あとがき】サン=テグジュペリ『若き日の手紙』の訳者あとがき
- 2016/10/06
- 01:06
無口で、不器用で、内気で、《熊》とあだなされたサン=テグジュペリ。飽くことなく《友情》を強要し、ときにはふてくされ、厭味を言い、たびたび断念の淵に立たされながら、またもや希望をつなぐといったかたちで、書きつづられたサン=テグジュペリの手紙。 山崎庸一郎「訳者あとがき」『若き日の手紙』...
【川柳連作】「ふりだしに戻るとき真顔」『おかじょうき』2016年9月
- 2016/10/04
- 17:43

腋毛ですわたしと少し話しましょう話し合いをしている途中の真っ赤一部の神秘はこちらが便利です殴ると光るんです蹴ると燃えるんですふりだしにもどるんですねえと真顔 柳本々々「ふりだしに戻るとき真顔」『おかじょうき』2016年9月 *【題「数」・月波与生 選・五客】ご家老の数を足すのはやめなさい 柳本々々【自由詠・むさし 選・佳作】次々と悲しい自動販売機 柳本々々 *夜の海生きているってなつ...
【あとがき】柄谷行人『終りなき世界』のあとがき
- 2016/10/04
- 17:42
「見通し」を与えるのは、情報の量ではなくて、原理的な考察だけだと私は思う。 柄谷行人「あとがき」『終りなき世界』...
【短歌】ヴーーンと…(毎日新聞・毎日歌壇・2016年10月3日・加藤治郎 選)
- 2016/10/03
- 19:19

ヴーーンと冷蔵庫の鳴るタイミング歩き方変よと言われた夜も 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇・2016年10月3日・加藤治郎 選) *絶望が散歩のようにやってきて夜明けのぺらぺらのパンケーキ 加藤治郎...
【あとがき】片山杜秀『ゴジラと日の丸』のあとがき
- 2016/10/03
- 19:18
連載は思いのほか長く続いた。2002年の秋まで8年半。神戸の震災や地下鉄サリン事件よりも前から、世界貿易センタービル倒壊よりも後までだ。その間、ずっと毎週一日はコラムのために頭をひねっていた。三十代はこのコラムと共に過ぎ去った。 片山杜秀「あとがきーーぼくの『SPA!』時代」『ゴジラと日の丸』...
うろうろするあとがき
- 2016/10/03
- 00:39

やってくるひとはぜんいん答えをもっているんじゃないかと思うことがある。これはどういう意味かというとほんとうにそのままの意味で、「やってくるひとはぜんいん答えをもっているんじゃないかと思うことがある」という意味だ。だからこんなふうにもおもう。やってくることばはぜんぶ答えをもっているんじゃないかと。わたしにできることはやってきたひとややってきたことばのまわりをうろうろすることである。うろうろしてると、...
【短歌】引き出せば…(東京新聞・東京歌壇・東直子 選・2016年10月2日)
- 2016/10/02
- 15:08

引き出せば引きずり出される濡れティッシュ今から準備される死に際 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2016年10月2日・東直子 選) ※水が水の重さかかえて落ちてくる冗談だけが人生でした 東直子...