城とあとがき
- 2016/10/31
- 09:13

「あれから、どう変わったの?」「わからない」とフリーダは答えて、Kの手を見た。フリーダの手をとっている。「何も変わっていないのかもしれない。あなたがこんなふうにすぐそばにいて、こんなふうに静かにたずねると、そんなときは何も変わっていない気がする。でも、ほんとうは、そうじゃない」 (カフカ『城』) *あるひとと話していたら、とつぜんミヒャエル・ハネケの映画『城』を思い出したんですね。カフカの『...
【短歌】自意識を…/コンビニの…(東京新聞・東京歌壇2016年10月30日・東直子 選/毎日新聞・毎日歌壇2016年10月31日・米川千嘉子 選)
- 2016/10/31
- 08:33

自意識を更新するかきいてくる上司わたしはまどろんでいた 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2016年10月30日・東直子 選)コンビニのあたためますかが死に際に脳にリピートされたらやだな 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2016年10月31日・米川千嘉子 選) *あれは毒この世の毒よ春暑き日の長身の人の静脈 東直子子にはまだ白い時間があるばかり あさがほ、ひるがほ、よるがほ、あさがほ 米川千嘉子コンビニへ行く...
【あとがき】大岡信『あなたに語る日本文学史』のあとがき
- 2016/10/30
- 18:17
私にとってただ一つの免罪符は、「必要に応じて」読んできたということだけです。私は日本文学を、必要だから読んできました。泥縄式の読み方も始終やりました。この本はそういう人間が語ったものです。 大岡信「あとがき」『あなたに語る日本文学史』...
【お知らせ】「あとがきの冒険・10月のまとめ」『週刊俳句』
- 2016/10/28
- 00:46

今回は書いていて「ちんちん」でなにかを語るということは非常にむずかしいことなんだなと感じました。偏差があり、危機があり、過剰がある。なにか語っていくうちに、あやまちを率直に認めなければならないとおもったんです。書いてやはり不安になり、ひとに見てもらったんですが、「ちんちん」の量が多いということで注意してバランスをとりました。それでもたぶんなにかを《致命的にまちがっている》感覚がありました。書くとい...
【お知らせ】「フシギな短詩・10月のまとめ」『およそ日刊「俳句新空間」』
- 2016/10/28
- 00:31

今月は、世界の隅々にまで視線を向けてみようということを意識して書いてみました。できるだけ、遠くまでいってみようと。もしそこでくじけたら、あえてそこでくじけてみようと。ながや宏高さんが歌のなかで言っていたじゃないかと思ったんです。《とりあえず、祈って乗り込め》と。とりあえず、祈って乗り込め──。それを今月のテーマにしたいと思いました。そこから、はじめて、おわりにしようと思いました。お前と世界のたたかい...
Afterword/Afterworld(あとがき/後の世界で)
- 2016/10/23
- 22:21

品川も破壊されるんですが、その品川で『シン・ゴジラ』を観たんですね。で、なんか弱ったなあというか、困ったなあっていうのが、『シン・ゴジラ』をおもしろかった、って素直に言えないためらいのようなものがあるんですよ。というか、たぶん、そういうふうにつくってある。たとえばどうしても311を思い出させるようにつくってある。そのときそれに対しておまえはどうする、それでも「おもしろい」っていうのかってつくってある...
【短歌】遠い未来に…(東京新聞・東京歌壇・東直子 選・2016年10月23日)
- 2016/10/23
- 18:40

遠い未来にわたしの化石が見つかって、中腰のままのやさしい体位 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇・東直子 選・2016年10月23日) *笑顔が苦手そうな笑顔が好きでした 冬の陽射しにしゃがんだことも 東直子...
【あとがき】立木康介『狂気の愛、狂女への愛、狂気のなかの愛』のあとがき
- 2016/10/23
- 18:26
エレガントーーと評するにはいつもいささかエクセントリックにすぎる衣装に身を包んだ70歳の紳士が、ソルボンヌ大学法学部大講堂に詰めかけた数百人の聴衆に向かって、性関係はないのじゃ! それは疑いようのない真実なのじゃ! と訴えかける姿を思い浮かべるのは愉しい。「性関係はない」という命題は、それを前にしてはじめて男と女がーー《享楽について》ーー真に別々の道を歩きはじめる、あるいは、ラカンの「性別の論理式」...
【短歌】「しね」という…(毎日新聞・毎日歌壇・2016年10月17日・加藤治郎 特選)
- 2016/10/17
- 16:07

「しね」というやさしい言葉も思い出しライブに揺れる背中みている 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇・2016年10月17日・加藤治郎 特選)【加藤治郎さんから頂いた選評】「死ね」かあるいは「詩ね」かもしれない。読者の気分を反映する歌だ。ライブが夢のように感じられる。 *とてもよくしーだず、しーだず、よくなってしーだず、しーだず、苺を噛んで 加藤治郎...
【あとがき】大塚明夫『大塚明夫の声優塾』のあとがき
- 2016/10/17
- 16:03
僕は皆さんに聞きたいです、「本気」とは、そんな成功したか失敗したかで揺らいでしまうような軽いものなのでしょうか? と。 納谷僚介「あとがきにかえて」『大塚明夫の声優塾』...