【あとがき】伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド』のあとがき
- 2016/11/19
- 05:29
サザエさん一家が花見に出かけ、波平が包みを失くす。包みを探して一家は地面を見ながら公園の中をめぐる。しかし、見事な桜の木の元にくると、一家は一斉に「まあ、きれい!」と上を見上げてしまう。波平が失くした包みは、その木の根元にあったのである。そう、桜の木の根元には、荷物がたくさん落ちていたのである。私は、それを拾って回ったにすぎない。伊藤剛「あとがき」『テヅカ・イズ・デッド』...
【短歌】「もういい」と(東京新聞・東京歌壇2016年11月13日・東直子 選)
- 2016/11/13
- 18:32

「もういい」とあなたが言ってよくないがいいような気もしてからの凄さ 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2016年11月13日・東直子 選) *蝋燭のひとつひとつに火を入れてひとよのひとの闇にまぎれる 東直子...
【あとがき】斎藤明美『高峯秀子の言葉』のあとがき
- 2016/11/13
- 18:31
言葉とは、その人が生きるうちに吹かれる風のように、降られる雨のように、照らされる陽のように、身に浴びるものであり、いつどこで吹かれたのか濡れたのか照らされたのか覚えていないけれど、確かにその身に触れたものである。そしてそのいつどこで触れたのかわからないものが、十年、二十年、三十年……と、少しずつ少しずつ身体に付着して、その人の物言いや言語体系を作っていく。 斎藤明美「あとがき」『高峯秀子の言葉』...
1000回書いたら一回あとがきを書いたことになる
- 2016/11/09
- 15:29

こないだちょっと仕事のことで落ち込んでいたらあるひとがこんな言葉を教えてくれたんです。「杉作J太郎さんが言っていたんですが、AVを1000回みたら一回やったことにしていいんだ、ってたしかJ太郎さんがそう言ってました」なんでそんなことを言ってきたのかわからないんですが、はあそうなのかあ、そういうもんかあ、と思いました。それから2秒くらいして、ふたたび、でもそうかもしれないなあ、と思いました。たとえば...
【短歌】『サザエさん』の…(「第104回 短歌ください(お題:曜日)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2016年12月号)
- 2016/11/07
- 21:20

『サザエさん』の時間に少し愛し合うとっても不思議な日曜だった 柳本々々 (「第104回 短歌ください(お題:曜日)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2016年12月号) *ゆで卵の殻ぱらぱらと落としつつねむりにおちるいちばん列車 穂村弘...
【あとがき】斎藤環『ビブリオパイカ』のあとがき
- 2016/11/07
- 21:19
よく言われるようにおたくは「敵に回すと恐ろしいが味方にすると頼りない」存在です。 斎藤環「あとがき」『ビブリオパイカ』...
はらだ有彩さんの「証明とヤバい女の子」「下ネタとヤバい女の子」のあとがき
- 2016/11/02
- 23:58

『アパートメント』のレビュー欄に書いたはらだ有彩さん連載『ヤバい女の子』のレビューです。二ヶ月ぶんをまとめてみました。●はらだ有彩「証明とヤバい女の子」のレビュー(この頃、能楽のラジオ講座をずっときいていたんですが、はりーさんが能について書かれていたので、なんと、と思い、リンクしたレビューです。あと岡野大嗣さんと服飾のテーマはむかしから興味あります)今回のはりーさんの話は能の「山姥」をめぐるお話だ...
【あとがき】乾正雄『夜は暗くてはいけないか 暗さの文化論』
- 2016/11/02
- 17:03
しかし、暗さの見直しは必要なのだ。朝日選書編集長の柴野次郎氏がくださったお手紙の中には、西欧で「地下鉄に乗って豊かな暗さに衝撃を受けた」という体験が書かれていた。じつは私は、氏のほかにも、暗さの理解者にときたま出くわす。 乾正雄「あとがき」『夜は暗くてはいけないか 暗さの文化論』...