【あとがき】広瀬正浩『戦後日本の聴覚文化』のあとがき
- 2016/12/14
- 10:58
実際に「他者」論を展開するにあたり、抽象的な議論をすることは念頭になかった。私は、戦後日本における具体的な「他者」として「アメリカ」を想定した。戦後の日本人にとってアメリカは、憧れと畏怖の対象であり、妄想を喚起する契機だった。ただ、戦後の日米関係をめぐる歴史資料を精査するという研究をおこなおうとは思わなかった。それはすでに誰かがやっていることであり、自分がすべきことではないという思いがあった。自分...
ユーフォーを待っているあとがき
- 2016/12/13
- 11:40

さいきん時実新子さんについていろいろ考える機会をいただいたので、ずっと新子さんの本をあれこれ読み返していたんです。そのとき、新子さんの、「わたしは市役所以外で本名を使ったことがありません」という記述にであったんです。この新子というのは筆名なんですね。初めての句会でとっさに、新人であるじぶんとしてつけたのが新子だったそうなんです。ここでおもしろいなと思ったのは、新子さんにとって新子であることは、それ...
【あとがき】小谷野敦『江藤淳と大江健三郎』のあとがき
- 2016/12/13
- 11:37
憲法九条は、今では「左翼の天皇陛下」になってしまった。徳川時代には、少数を除いて、天皇を崇拝する日本人などいなかった。それが明治政府の政策によって、作られた伝統として、明治末までには浸透し、昭和初年には神がかり的なものにすらなった。憲法九条がたどった運命は、まさに、四、五十年でたやすく天皇崇拝など作り出せるということを証明したようなものである。 小谷野敦「あとがき」『江藤淳と大江健三郎』...
【短歌】コンビニで…(「第105回 短歌ください(お題:贈り物)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2017年1月号)
- 2016/12/06
- 11:03

コンビニで温めますかときかれても贈り物だと思ってしまう 柳本々々 (「第105回 短歌ください(お題:贈り物)穂村弘 選」『ダ・ヴィンチ』2017年1月号) *金の眼の天使もバージョンアップするひとりで林檎が剥ける朝まで 穂村弘...
【短歌】「霊もまた緊張するの」…(東京新聞・東京歌壇2016年12月4日・東直子 選)
- 2016/12/04
- 17:18

「霊もまた緊張するの」と彼女が言ういろいろ話が進み過ぎている 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2016年12月4日・東直子 選) *叩いてはフォークつきさし塩を塗りまだまだ足りぬ揉みつづけねば 東直子...
【あとがき】西村マリ『アニパロとヤオイ』のあとがき
- 2016/12/04
- 17:16
アニパロはコミュニケーションだ、アニパロこそ一般性を抽出する装置だ 西村マリ「おわりに」『アニパロとヤオイ』...