【短歌】口喧嘩…(毎日新聞・毎日歌壇2017年2月27日・加藤治郎 特選)
- 2017/02/28
- 07:50

口喧嘩しているときの彗星のなんでもないたたずまいがよかった 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2017年2月27日・加藤治郎 特選) *ふと星がやわらかくなりいもうとと夜のピアノをひきあったこと 加藤治郎...
【川柳】波動砲…『川柳 北田辺』77号・2017年2月
- 2017/02/28
- 07:43

【題「麩」・岡本遊凪 選】波動砲も小声や麩の宇宙船 柳本々々【題「ぷくぷく」・酒井かがり 選】ぷくぷく君をあてがってくるいやだなあ 柳本々々【題「伏す」・大嶋都嗣子 選】だらだらのあぶらまみれで伏している 柳本々々 『川柳 北田辺』77号・2017年2月 *伏せと言われてワンといい返す 岡本遊凪パピプペ血判状がまわりだす 酒井かがりぷくぷくとしてくる喪服脱いだから 大嶋都嗣子捨...
【川柳連作】「遺書を書く」『はじめの一歩』2017年1月
- 2017/02/20
- 23:11

こうするとぶらさげられる春ですよ素晴らしいペニスが飛跳翔飛跳翔飛跳翔飛跳翔(と)ぶどうしても両手が垂れてしまいます帽子から鳩といっしょに「そろそろ」が出るおおおおお上から秋が垂れてきた天皇の臍村上春樹の臍「あーあー」が剥き身のままで流れ着く混じっても混じっても混じっても獏朝も夜も点になって遺書を書く話し合いはしたくないとにかく破壊したい 柳本々々「遺書を書く」『はじめの一歩』2017年1月 ...
【短歌】図書館が…(毎日新聞・毎日歌壇2017年2月20日・加藤治郎 選)
- 2017/02/20
- 16:55

図書館がゆれてるときに変わらずに読みつづけるひとなにかいうひと 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2017年2月20日・加藤治郎 選) *わが本のならぶ棚あり麻裳よし紀伊國屋書店新宿本店 加藤治郎...
【短歌】体毛を…(「毎日歌壇賞2016年・米川千嘉子 選」『毎日新聞』2017年2月14日』)
- 2017/02/14
- 19:34

2016年の毎日歌壇賞(米川千嘉子さん選)をいただきました。ありがとうございました。体毛をはじめて少し剃った夜ウルトラマンの銀色の肌 柳本々々米川千嘉子さんから次の選評をいただきました。ウルトラマンはすべすべに輝いて万能。人間は生物としてのざらつきや多くの不可能を噛みしめて生きる。二句の細かい表現も生きた歌で、回想には現在の思いも滲んでいるだろう。受賞の言葉としてこんなふうに書かせていただきました。...
【短歌連作】「なまあたたかい」『かばん』2017年2月
- 2017/02/12
- 22:03

…………のまんなかあたりに居るからと別れの言葉がてきとうである返事とかどうしていいかわからないなまあたたかいままのふたりがめがねかけたままねむるゆめのなかぬるい裸眼でおまえをみているふるさとにだんだん色が着いてきて他人の記憶じゃないか手をみる探偵になりたかったよほんとうは深夜労働一五〇〇円巨大アリス東京上空横断臨時ニュース思春期の凄さやぎもとと名乗るといつもやぎもとの耳がうけとめる頭蓋骨全部だいたいは...
【川柳連作】「鞭で打たれる」『おかじょうき』2017年2月
- 2017/02/12
- 21:40

テーマを吹きなさいと鞭で打たれる体力を出し切ってから読む「メロス」抱く転ぶ書く啜る全部ドラえもん漱石の『こころ』も川柳であるジャングルをひゅーっと噴き上げる薬缶 柳本々々「鞭で打たれる」『おかじょうき』2017年2月 *【『地』奈良一艘 選・五客】地面から仲代達矢のびてくる 柳本々々こっちからこっちは死です踏みますか 〃【『じりじり』月波与生 選・佳作/地位】1980年のじりじりと1981年...
【短歌】ヴォッ、ヴォッと…(東京新聞・東京歌壇2017年2月5日・東直子 選)
- 2017/02/05
- 19:46

ヴォッ、ヴォッと眼を光らせて新妻が「マツモトキヨシに鬚があったの」 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2017年2月5日・東直子 選) *前をゆく中年男女離れつつ添いつつこぼれくる黄のひかり 東直子...
【川柳連作】「やせたかみさま」『触光』51号、2017年2月
- 2017/02/05
- 19:29

そういえば麩それでなくても酢未来やせたかみさまがじてんしゃにのる著作権のわきで生魚が跳ねるね、あふれたとはじめて笑った水出口入口つまずくことも幸せで下五を共に考えて欲しい。 柳本々々「やせたかみさま」『触光』51号、2017年2月 *殺処分されないように手を洗う 野沢省悟...