【短歌】歴史上…(東京新聞・東京歌壇2017年4月30日・東直子 選)
- 2017/04/30
- 18:45

歴史上だれがへろへろだったのか言い合いながらかえる春の路 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2017年4月30日・東直子 選) *ふくいくとした学童がわたくしの部屋にねそべるようなのどかさ 東直子...
【詩】「根」『現代詩手帖』(廿楽順治 選)2017年5月
- 2017/04/28
- 15:06

飛行機に乗っていてふっと離陸するしゅんかんのそのちからのなかでこいびとをみたことがある。こいびとはわらったりよわったりしていてすこし恥ずかしそうだった。わたしが思わず手を取るとテレビのような臭いを発した。わらっている。こいびとの奥の深いぬるぬるした場所からきいいいんという機械の音。わたしはある日ちからの話をする。挫折の、あきらめの、よろよろの。こいびとはきょうみがないかんじでふうんという。息がもれ...
【短歌】「みたよな」「な」…(毎日新聞・毎日歌壇2017年4月24日・加藤治郎 特選)
- 2017/04/24
- 21:44

「みたよな」「な」「みえたよな」「な」 「ん、すごかった」桜のなかで仲好くなって 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2017年4月24日・加藤治郎 特選) *ぼくたちの詩にふさわしい嘔吐あれ指でおさえる闇のみつばち 加藤治郎...
【短歌】伝票に…(東京新聞・東京歌壇2017年4月23日・東直子 選)
- 2017/04/23
- 09:36

伝票に夕陽が差してファミレスはやぎもともともとの墓だと思う 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2017年4月23日・東直子 選) *笑顔が苦手そうな笑顔が好きでした 冬の陽射しにしゃがんだことも 東直子...
【川柳連作】「ぜんぜんこわくない方」『おかじょうき』2017年4月
- 2017/04/23
- 09:21

流星にエキサイトしてもしなくてもいい5000万画素の亡霊鮮やかに清水さんを換骨奪胎するなんて台風のぜんぜんこわくない方が「はい」の後 柳本々々「ぜんぜんこわくない方」『おかじょうき』2017年4月 *『点』奈良一艘選「えーまだ続くのー」と点たちの声 柳本々々この点は新幹線の糞だろう 〃 *【研究吟】ロボットが知るめちゃくちゃという概念 柳本々々 *津軽海峡馬にたてがみ雪になる...
【短歌】こんなんで…(東京新聞・東京歌壇・2017年4月16日・東直子 選)
- 2017/04/16
- 17:17

こんなんで心情理解できるのかゴゴゴゴゴゴと顔せり上がる 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇・2017年4月16日・東直子 選) *てのひらにてのひらをおくほつほつと小さなほのおともれば眠る 東直子...
【お知らせ】『きょうごめん行けないんだ』とAmazon
- 2017/04/11
- 23:13
安福望×柳本々々 会話辞典『きょうごめん行けないんだ』2017年5月1日刊行予定Amazonに登録されました。お知らせしてからゲームソフト並に延びに延びてしまいました。この本のきっかけは、ながや宏高さんがきっかけしてくださった『かばん』の対談でした。ながやさん、ありがとうございました。安福さんとはあちこちで対談しているのですがそれらはいっさい収録せず、272ページほぼすべて書き下ろしというか語り下ろしになっていま...
【短歌】さくらさくら…(毎日新聞・毎日歌壇2017年4月11日・米川千嘉子 選)
- 2017/04/11
- 20:36

さくらさくら読みかけの本は読みかけに書きかけの詩も書きかけだった 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2017年4月11日・米川千嘉子 選) *この沼に歌書のすべてを沈めむと夜の怒りに君は言ひたり 米川千嘉子...
【短歌連作】「数字」『かばん』2017年4月号
- 2017/04/10
- 23:47

泥のように降りられない山手線にただ一音のニュースが流れ巨乳のような季語がやってきてわたしの前を素通りしていくほんとうに3は最強の数字だずーっとずーっと好きでいられる午後四時の土下座だなんてほんとうは爪を切っている予定だったのに「パジャマパーティーは隠語だったのさ。持ち寄せられた花束の数も」あなたずっと緊張をしていたんだね熊に並んでスープを飲んで忘れないのは自転車のれんしゅうにつきあってくれたおとな...
【短歌】体重計に…(東京新聞・東京歌壇2017年4月9日・東直子 特選)
- 2017/04/09
- 20:01

体重計にのるときにする直立はいったいなんのためなのか 地球 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2017年4月9日・東直子 特選) *あたらしい身体にふれてきた身体どこにもゆかぬ桜また咲く 東直子...