【短歌】これ遠足じゃないな…(毎日新聞・毎日歌壇2017年8月28日・加藤治郎 特選)
- 2017/08/28
- 20:18

これ遠足じゃないなと気づいたけれどおじいさんの指示に従っている 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2017年8月28日・加藤治郎 特選) *ぺらぺらの紙ミサイルが飛んでくる弥生ニッポン花には早く 加藤治郎...
【短歌】猫がきて…(東京新聞・東京歌壇2017年8月27日 東直子 選)
- 2017/08/27
- 19:42

猫がきて↑→←←にからだすりつける午後から風が強くなるみたい 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2017年8月27日 東直子 選) *だいじょうぶ、と無責任に言っているわたしを恨んでいいよ、あめゆき 東直子...
【短歌】あたしたち…(毎日新聞・毎日歌壇2017年8月21日・米川千嘉子 選)
- 2017/08/25
- 20:00

あたしたちだんだんふたりになるじゃない どうしたらいいのどうしたらいいか 柳本々々 (毎日新聞・毎日歌壇2017年8月21日・米川千嘉子 選) *詩をよみてわれと少女らゆるやかに老ゆ教室の空なるつばめ 米川千嘉子...
【短歌】スライスチーズ…(東京新聞・東京歌壇2017年8月20日・東直子 特選)
- 2017/08/24
- 19:09

スライスチーズのように校庭はめくれあがり炎炎熱いよ 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2017年8月20日・東直子 特選) *みんな勝手なことばかり言うでしょうって人工の歯の美(は)しき口もと 東直子...
【短歌】三人で…(東京新聞・東京歌壇2017年8月20日・佐佐木幸綱 選)
- 2017/08/23
- 20:30

三人で昼寝するとき絶妙の緊張感と息の質感 柳本々々 (東京新聞・東京歌壇2017年8月20日・佐佐木幸綱 選) *ぬるぬるの弁明をする舌、舌、舌、生きている愛している 夕暮酒場 佐佐木幸綱...
【あとがき】鴇田智哉『こゑふたつ』のあとがき
- 2017/08/23
- 14:42
たとえば、氷が水になり、水がけむりになる。息が声になり、声がことばになる。かすかなるものがあらわれ、ひらめく。それは、おもしろいことだ。句を集めると、おのずと幾つかの流れに分かれた。そこで、六つの章を立てることにした。ここから始めたい。 鴇田智哉「あとがき」『こゑふたつ』...
【あとがき】浅沼璞『西鶴という鬼才』のあとがき
- 2017/08/21
- 13:47
一所不在の芭蕉は心身ともに旅を住みかとした。いっぽう西鶴は町中(大阪市中央区)に定住しながら、精神的には悪所を住みかとした。俳人の齋藤愼爾氏は、時代錯誤的な放浪詩人を批判するのに、小林秀雄の以下の一文を引用したことがあった。「世間に捨てられるのも、世間を捨てるのも易しい事だ。世間に迎合するのも水に自然と沈むようなものでもっと易しいが、一番困難で、一番積極的な生き方は、世間の直中に、つまり水無きとこ...
【あとがき】山路閑古『古川柳』のあとがき
- 2017/08/21
- 05:56
柄井川柳が雑俳(ざっぱい)の一種である「前句附」から、独立単句の十七字詩を確立した時に、当時の人々はこの異色ある十七字詩を、他の選者の「前句附」と区別するために「川柳点」と呼んだのである。「川柳点」は川柳の選んだ「前句附」という意味であるが、その言葉の中に、すでに「前句附」とは違った内容を含んでいた。この新しい詩も、創案者ともいうべき柄井川柳の没後は、作風漸く一変し、同時に「川柳点」という名もふさわ...
【あとがき】杉田俊介『宇多田ヒカル論』のあとがき
- 2017/08/20
- 18:16
自分をこれまで生かしてくれた恋も、愛も、友情も、祈りも、今はただすべてが美しく、遙かで、懐かしい。そして過酷でもある。 杉田俊介「あとがき」『宇多田ヒカル論』...