【短歌連作】「恭子」『かばん』2017年10月号
- 2017/10/21
- 00:40

漬け込んだ眼鏡をじっとじっと見て黙って考えている恭子が耳たぶに光が射して透けていて恭子がそれに驚いているティッシュボックスどうしてすぐにきえるのかっていうか恭子はどこにいったのかロケットのぶりきのかけらほんとうは恭子じゃないって言えばよかった飲み会で恭子が隅をさがしてるここがここちよいやわらかいよここ飲み会のなかで飲み会の形式をとらないままでいるんだな恭子はお酒だと殴られるのが九割と恭子がいうのを...
【川柳連作】「きのこくう」『おかじょうき』2017年10月号
- 2017/10/21
- 00:36

きかんしゃトーマスの顔をお皿にこの椅子はとろとろとして座れない校長が話す「五つのとろとろ」をカラフルな担架に乗って運ばれるさんにんは位置にすわってきのこくう 柳本々々「きのこくう」『おかじょうき』2017年10月号 *『それから』を読む前・読んだ後の赤 柳本々々 (「熱」むさし 選)いつもいつもおまえはぶっ壊すなにもかも 柳本々々「もう俺が死んでしまうよ」の吹き替え 〃 (「はらはら」...
【川柳連作】「なんで来たん?」『おかじょうき』2017年8月号
- 2017/10/20
- 23:47

なんで来たん? といわれまごつく杜のなかなんで来たん? といわれまごつく杜のなかなんで来たん? といわれまごつく杜のなかなんで来たん? といわれまごつく杜のなかなんで来たん? といわれまごつく杜のなか 柳本々々「なんで来たん?」『おかじょうき』2017年8月号...
【短歌連作】「暗いひと」『かばん』2017年9月号
- 2017/10/20
- 23:23

顔がぶっこわれてゆくような感じマスクの下の鼻の開け閉め修正型電気けいれん療法ほんとうに会いたいひとがいる隣席のひとと仲良くするためのときの話のゆるいかんじの手をつないでスーパーのなかを歩く悪いことです悪いことです「まぶしいくらいあかるいとこいても勝つんじゃないあなたの暗いかんじ」ははっははははっはははっははっはっ変な笑い方するねわたしはとてもいい匂いだとおもう新聞紙ときどきそのままじっとしている「...
【短歌連作】「キッチンでふるえるわたしたち」『かばん』2017年8月号
- 2017/10/20
- 23:04

朝がきて乱れた髪を猫が噛むわたしを置いていかないで欲しい幽霊もとてもだらしないかっこうをすることがある ブンと光って円盤に乗ってるようなふわふわの生家に帰る息の鋭さImagine 円盤のキッチンで裸でぶるぶるふるえるわたしたち大切にする現実は会社でも死なないようにサラダを食べる忘れると忘れないが日本中を覆う青い絵を描いていたゆるやかな嵐だったしバスだったし叶わなかったし希望だったし死んだひとはずっとほほえ...
【川柳連作】「懸命に話す」『おかじょうき』2017年9月号
- 2017/10/20
- 22:51

桜桃忌来るなんにもない場所へゆくぞ逮捕されたくてダンボール燃やす「やぎもとくんは懸命に話すからいいとおもうよ」宇宙飛行士眠るそれはそれは元気おおはおようおおごおざおいまおす 柳本々々「懸命に話す」『おかじょうき』2017年9月号 *笛を吹いている死ねと言った口で 柳本々々火男になる亜アンパンマンをつくるため 〃 (0番線「吹」丸山進 選・秀逸/佳作) *おわりのぬのをまとうおわりのから...
【川柳連作】「史上最大規模のピンク」『おかじょうき』2017年7月
- 2017/10/20
- 22:46

おおっぴらには言えないピンクの印史上最大規模のサイバー攻撃ピンクスーパーケックビーほんとうはないパラシュート降下訓練急ピンクおおっぴらには言えないピンクの湾 柳本々々「史上最大規模のピンク」『おかじょうき』2017年7月 *明るい町の明るいもつ煮売り歩く 柳本々々 (「煮」三浦蒼鬼 選)サムライでいようぬるぬるしていても 柳本々々 (「ぬるぬる」まきこ 選)ゆれているゆめのゆれていない...
【短歌連作】「きょうごめん行けないんだ」『かばん』400号、2017年7月号
- 2017/10/20
- 21:22

詩と愛と光と風と暴力ときょうごめん行けないんだの世界働けど働けど別に手も見ないパンのレーズンじっとみつめる『サザエさん』の時間に少し愛し合うとっても不思議な日曜だったすきなひとのすきなひとのはなしをきいている そのすきなひとにもすきなひとがいる口喧嘩しているときの彗星のなんでもないたたずまいがよかったヴーーンと冷蔵庫の鳴るタイミング歩き方変よと言われた夜もにゃにゃあにゃあにゃあにゃあにゃにゃあ【訳...