【詩】「目黒と真実」『現代詩手帖』2018年3月号・広瀬大志 選
- 2018/02/28
- 15:45

目黒のわたしたち、というのはたぶんわたしたちのことだが、わたしたちはふだんのくらしをつづけていた「ときどきはたいようをうつくしいとおもおうか」とわたしはかのじょにいった。かのじょはとてもこまった顔をしたおもいだしたようにノートをひらきにっきをつけたりもしたがある日ひからびたみかんをみたときにわたしはこのままずっと目黒にいるんじゃないかというきがしたみんな、えらくなっていったのにしぼんでいく髪やペニ...
【あとがき】玉川重機『草子ブックガイド』のあとがき
- 2018/02/24
- 01:59
もう十年以上も前の事になりますが、私は本名の「玉川俊秀」でマンガを描いていました。そして、この度、本当に久しぶりに漫画を描かせて頂く事になったのですが、それにあたって名前を「玉川重機」に変えさせてもらいました。玉川重機というのは、私の父が経営していた有限会社の名前でした。大きな会社の下請けをしていたこの会社は、私が高校生の頃に色々あって倒産してしまい、私はしばらく高校生ホームレスをする事になってし...
【短歌連作】「だいじょうぶ、なにが」『かばん』2018年3月号
- 2018/02/23
- 20:30

まぶたのないさかながならぶ水族館あなたの夢を出入りするゆめ結び目をゆっくりほどきていねいにシールを剥がすほほえんでいる働くことが大好きときみがいう。ほぼ桃色の鯨が過ぎる数万の仔猫波打つ谷底にゆっくりおちる「だいじょうぶ」なにが真夜中の暗がりからは「はいははいはいはいははい」と声がしていた安っぽいメリーゴーランドに乗るような、あなたの舌がまわってみえる「そこらじゅう天使が犇めいているよ。風邪をひくっ...
【川柳連作】「はなしあう」『おかじょうき』2018年2月号
- 2018/02/19
- 17:21

最低なことをした日のオムライスなんかゆびが神話になってひえだのあれ強要してるふとんシンジケートドラえもんに擬態してる正方形チョコ・ムース・運命・イチゴ はなしあう 柳本々々「はなしあう」『おかじょうき』2018年2月号 *へなへなしているミッキーのペニス 柳本々々 (「へなへな」奈良一艘 選)照らされた廊下をぬけて逢いにゆけ 柳本々々 (「自由詠」熊谷冬鼓 選)十一月なのにこの棒はなんだろう...
【お知らせ】「ペペロンとチーノの大冒険~ひっぱりだす、まじる、よぶ~」『川柳木馬』155号、2018年1月
- 2018/02/14
- 19:50

『川柳木馬』(155号、2018年1月)にきゅういちさんの川柳をめぐる「ペペロンとチーノの大冒険~ひっぱりだす、まじる、よぶ~」を書かせていただきました。きゅういちさんの川柳を読むには、ひっぱりだす、まじる、よぶの3つのポイントがあるんじゃないかという観点から書いています。ともかく自分なりにきゅういちさんの川柳に具体的に取り組んでみようと思いながら書きました。...
【川柳連作】「雷鳴のシンポジウム」『触光』56号、2018年2月
- 2018/02/04
- 10:08

雷鳴のシンポジウムの傘の剥き出しひまわり抱いたたったひとりの読者バタイユの太陽肛門うれしくてパンドラの箱のふたならもってきた 添い寝の嵐と記入して寝るバス停が盗まれていてへなへなにプラトンに時間を呉れるカップ麺 柳本々々「雷鳴のシンポジウム」『触光』56号、2018年2月...
【お知らせ】小津夜景句へのコメント『第8回田中裕明賞』(電子書籍)
- 2018/02/03
- 22:43

『第8回田中裕明賞』(電子書籍)に小津夜景さんの授賞式のときにさせていただいた小津夜景さんの句「別のかたちだけど生きてゐますから」をめぐるコメントを載せていただけるそうです。このとき関悦史さんが、夜景さんの句集における到達できない現実のような話をされていたことと、西原天気さんが、夜景さんの評価をめぐる話をされていたことがとても印象に残っています。わたしは鴇田智哉さんの隣にいたのですが、鴇田さんがハ...
【お知らせ】田島健一『ただならぬぽ』評「鶫と永遠」『ふらんす堂通信』155号、2018年1月
- 2018/02/01
- 22:40

『ふらんす堂通信』155号、2018年1月に田島健一『ただならぬぽ』評「鶫と永遠」が載っています。最初、この評のラストは、小津夜景さんと電話する幻のラストがあったのですが、今読み返してみると、ラストを書き直してよかったなと思いました。角川の編集の方、ありがとうございました。 ...