【詩】「幽霊」『現代詩手帖』2018年9月号、松下育男・須永紀子 選
- 2018/08/30
- 16:10

たくさん話をしたのでソファーでうとうとしていた。すごく大きなしっかりとしたつくりのソファーだ。このソファーでかのじょは眠ることもあるんだろうか、ぼくがたちあがって本棚からチェーホフの本を引き抜くとそこには男の顔がある。男はゴム製の置物みたいに本と本の隙間にむっちりと挟まっていて、ぼくをみつめている。ゆっくりとした眼球がぼくのために動いている。男の顔にはまばらな髯がある。そして、少しだけ、臭う。草み...
【短歌】「第61回短歌研究新人賞」『短歌研究』2018年9月号
- 2018/08/22
- 01:07
ふっくらとした髪のなかゆびをいれつかむともぐる花びらつかむ 柳本々々助け鬼で手を伸ばすと助けにくる子がいる怒った顔をして 〃 「第61回短歌研究新人賞」『短歌研究』2018年9月号...
【川柳連作】「こびとの勇気」『川柳スパイラル』3、2018年8月
- 2018/08/17
- 01:49

コミュニケーションが苦手な石そのままでお待ちくださいをさっと持つ 鉄腕アトムに布を掛ける仕事 架空放浪オズの国では許される飛ぶことができない理由きかれても 筆談で言う取り返しのつかないこと 信用をしてからさっと手をあげる 相手からねむれるようにおいていく 右がもし左だったらべんりです しっかりおつかまりくださいとこびと 柳本々々「こびとの勇気」『川柳スパイラル』3、2018年8月...
【お知らせ】「海までいっしょにいった金髪の女の子」『喜怒哀楽』99号、2018年8月
- 2018/08/11
- 19:07

詠み人のリレーエッセイ「海までいっしょにいった金髪の女の子」を『喜怒哀楽』99号、2018年8月に書きました。小津夜景さんにつづいてのリレーエッセイです。喜怒哀楽書房さんは新潟にあり、わたしも新潟の人間なので、新潟にいたころのこと、新潟南高校にいたころ・いなかったころ・いけなかったころのこと、そのころたまたまいっしょにいた女の子のことを書きました。一回読み切りですが、もう2回ぶん、つづきます。喜怒哀楽書...
【お知らせ】「おしまい日記第3回 我妻俊樹と通り抜けられる」『川柳スパイラル』3、2018年8月
- 2018/08/02
- 22:08

同じ川柳スパイラルの号で安福望さんとおしまい日記の第三回として我妻俊樹さんと川柳と怪談の話をしています。このころ、大塚凱さんに呼んでいただいて、助詞のイベントで凱さんと話したりして考えたことを話したりもしています。凱さんが俳句ロボットをもとに話されていたことは、ロボットは意外に助詞がつかえない、ということで、そのときにわたしが思ったのが、助詞と無意識の関係だったんです。わたしたちは助詞を無意識につ...
【お知らせ】「川柳を描く。と何かいいことあんですか?」『川柳スパイラル』3、2018年8月
- 2018/08/02
- 21:58

「川柳を描く。と何かいいことあんですか?」『川柳スパイラル』3、2018年8月という〈現代川柳にアクセスしよう〉という特集で、川柳と描くことをめぐって安福望さんと対談しました。かばんでかつて行った対談をちがうところから話しなおしたりもしています。さいきん、いいことがあることってだいじだな、とおもっています。わたしは赤毛のアンではないけれど、いいことがあるからこそひとはつづけられるんじゃないでしょうか。...