【詩】「三十分」『現代詩手帖』2018年10月号、松下育男・須永紀子 選
- 2018/09/28
- 11:19

ねえ、台風の日なのかどうなのか風なのかどうなのか、夜中にめがさめ、なにかがたべたく、わたしはとなりにいたひとに、ねえあの、なにかたべたいんだけど、あの、おどろかないでほしいんだけど、いまから国道をずっとあるいて、いまでもやっているファミレスにはいって、いまやっているのにふつうに応対してくれる深夜アルバイトの店員のひとにおじぎして、葉っぱにまいた肉とか味のついた椎茸とか入ったご飯とかたべたいんだが、...
【短歌連作】「かわいい青年」『かばん』2018年10月号
- 2018/09/20
- 21:12

彼女とラーメンをすすりながら肩をぶつけながらラーメンを食べる隣のひとに降りますと言えなくてずーっと終点ちかくまで乗る2時間もワインの蘊蓄聞かされて帰って任天堂に勤しむつむってるからどんな器具がつっこまれてるかわからない歯の治療泣いてたらこれは美味しいカツ丼であのこの脇毛凄かったななんでわたしを愛することをやめないんだろうときいたことがあるそば屋のお姉さんからもう食べられなくなっちゃったの?ときかれ...
【短歌連作】「この子できないのかな?」『かばん』2018年9月号
- 2018/09/19
- 20:32

放射性物質をもうお母さんと呼んだらどうか噛んでいいから駆け込めば矢庭に曇る眼鏡たちとってもかわいい電車のなかでみんな最初はたぶんこの辺なんだろう鈍くどほんと輝く乳房あなたにも優先席に優先で座る日がくるだいじょうぶだよ眼をかくすためのまぶたの血の通る電車のほとんどもうふのようなか/ふか 逮捕されなければいいけどなスーツのままでブランコゆらすシンポジウムのときは雲をみているあたまに濡れた髪がはりつくぱ...
【あとがき】水木しげる『ほんまにオレはアホやろか』のあとがき
- 2018/09/11
- 17:16
青年時代にも、お化けのことを、まじめに調べたりすると、「こいつ、バカじゃなかろうか」と、いわれたものだ。しかし、バカなことでも、長い間やっていると、それに関連した、いろいろなこと、たとえば、神様だとか、地獄の世界といったことにも、興味がおよび、知らない間に、それを調べることが《生きがい》みたいになったり、また、天が助けてくれるとでもいうのだろうか、今では、お化けだけで、《めし》が食えるという、あり...