【感想】マンモスになるまで交尾くりかえす 浪越靖政
- 2015/10/18
- 10:10
マンモスになるまで交尾くりかえす 浪越靖政
【シャローナのために】
たとえば〈性〉を川柳のなかに表現として託し込むときに、どこらへんがリミットになるんだろうとよく考えるんです。
それは言葉を変えれば、文学史的な自然主義にもみられたように〈性〉は〈私語り〉のモードと結びつきやすいので、そうした〈私語り〉のモードと手を切るぎりぎりのラインはどこらへんにあるんだろうと。
で、そのぎりぎりのラインというのは実はふだん流通している性の枠組みをどれだけズラすかということにあるんじゃないかとおもうんですね。
たとえばこの浪越さんの句。
「マンモスになるまで」と書いてあります。つまり「交尾」の目的は「交尾」そのものでも、「生殖」でも、「愛」でも、「本能」でも、「快楽」でも、なく、「マンモスになるまで」というただその一点にあります。
この点においてふだんわたしたちがもっている交尾やセックスの枠組みをズラしているとおもうんですね。しかも「マンモスになるまで」ですから、性が〈極私的〉目的でありながらも、〈超ー私的〉にもなっているわけです、文字通り〈私〉を〈マンモス〉に変えるので。〈わたし〉が〈マンモス〉に変わるということは性の言説のありかたそのものも変わってくるでしょうから。
そういうですね、性の枠組みのズラし方が性の表現には問われているのかなっていうふうにおもうんです。だからよく飯島章友さんが川柳とプロレスの話をされているのですが、異なる言説と言説がぶつかりあう〈異種格闘技〉的な要素が川柳にはあるんじゃないかなっておもうんですよ。
異種格闘技 夕陽をつかむまで 浪越靖政
海外ドラマ『名探偵モンク』。モンクにおいて〈性〉はことごとく抑圧されるものだが、それはトゥルーディの記憶の〈純白〉化とも結びついて機能している(ちょっと漱石の『こゝろ』にも似ている)。ただ同時に〈性〉を露骨にあらわにするシャローナがアシスタントとしてモンクのそばにはいつもいた。だとしたら〈根本的には〉モンクはトゥルーディなど必要ではなく、その抑圧を代わりに代行してくれるシャローナの方がいつも必要だったのではないだろうか、というモンクと性をめぐる問題
【シャローナのために】
たとえば〈性〉を川柳のなかに表現として託し込むときに、どこらへんがリミットになるんだろうとよく考えるんです。
それは言葉を変えれば、文学史的な自然主義にもみられたように〈性〉は〈私語り〉のモードと結びつきやすいので、そうした〈私語り〉のモードと手を切るぎりぎりのラインはどこらへんにあるんだろうと。
で、そのぎりぎりのラインというのは実はふだん流通している性の枠組みをどれだけズラすかということにあるんじゃないかとおもうんですね。
たとえばこの浪越さんの句。
「マンモスになるまで」と書いてあります。つまり「交尾」の目的は「交尾」そのものでも、「生殖」でも、「愛」でも、「本能」でも、「快楽」でも、なく、「マンモスになるまで」というただその一点にあります。
この点においてふだんわたしたちがもっている交尾やセックスの枠組みをズラしているとおもうんですね。しかも「マンモスになるまで」ですから、性が〈極私的〉目的でありながらも、〈超ー私的〉にもなっているわけです、文字通り〈私〉を〈マンモス〉に変えるので。〈わたし〉が〈マンモス〉に変わるということは性の言説のありかたそのものも変わってくるでしょうから。
そういうですね、性の枠組みのズラし方が性の表現には問われているのかなっていうふうにおもうんです。だからよく飯島章友さんが川柳とプロレスの話をされているのですが、異なる言説と言説がぶつかりあう〈異種格闘技〉的な要素が川柳にはあるんじゃないかなっておもうんですよ。
異種格闘技 夕陽をつかむまで 浪越靖政
海外ドラマ『名探偵モンク』。モンクにおいて〈性〉はことごとく抑圧されるものだが、それはトゥルーディの記憶の〈純白〉化とも結びついて機能している(ちょっと漱石の『こゝろ』にも似ている)。ただ同時に〈性〉を露骨にあらわにするシャローナがアシスタントとしてモンクのそばにはいつもいた。だとしたら〈根本的には〉モンクはトゥルーディなど必要ではなく、その抑圧を代わりに代行してくれるシャローナの方がいつも必要だったのではないだろうか、というモンクと性をめぐる問題
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