【短歌】毎日新聞・毎日歌壇2015年10月19日加藤治郎選・特選/米川千嘉子選
- 2015/10/19
- 07:23
集団的自衛権の的ってなんだろう 無人の街に鳴っている鐘 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2015年10月19日加藤治郎選・特選)
【加藤治郎さんから頂いた選評】「集団的(、)」という言葉は余り見かけない。ここに分かりにくさの根源があった。下句は戦場となった街の風景だ。
【問いとリボン】
短歌ってその根っこにはいつも〈小さな問いかけ〉で始まって〈短〉歌なのでなにも答えずにその〈小さな問いかけ〉で終わっていく、〈問いかけの文芸〉であるような気がして、で、穂村弘さんにこんな短歌があります。
リボンってなんなんだろう女の子たちにときどきくっついている 穂村弘
この「リボンってなんなんだろう」っていう流通しているモノに対してもういちど根っこの部分にかえってふっと問いかけてみるっていうそういうスタンスがすごく短歌的な気がするんですね。
短歌だからこそ問いかけられる、たちあげることのできる〈問いの形式〉があるんじゃないかっておもったりするんですよ。言説や論説や小説でなく、短歌だからこその〈問いの形式〉が。
それは〈答え〉にならない問いだし、答えになってもいけない問いなんじゃないかともおもうんです。そういうはじめから答える気はない、むしろ問い自体にずっと遅延した答えをふくんでいるようなそういう〈問い〉があるんじゃないかって。短歌には。
だから、たとえば、ティッシュとはなんだろうか、とか。
遠い未来、ティッシュの化石が見つかって 空気にふれてきらきら 消える 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2015年10月19日米川千嘉子 選)
オリヴェイラ『家宝』(2002)。典型的なファム・ファタル(誘惑する女)としての〈悪女〉ではなく、〈さわやかな悪女〉を描く。〈悪〉って、なんなんだろう
(毎日新聞・毎日歌壇2015年10月19日加藤治郎選・特選)
【加藤治郎さんから頂いた選評】「集団的(、)」という言葉は余り見かけない。ここに分かりにくさの根源があった。下句は戦場となった街の風景だ。
【問いとリボン】
短歌ってその根っこにはいつも〈小さな問いかけ〉で始まって〈短〉歌なのでなにも答えずにその〈小さな問いかけ〉で終わっていく、〈問いかけの文芸〉であるような気がして、で、穂村弘さんにこんな短歌があります。
リボンってなんなんだろう女の子たちにときどきくっついている 穂村弘
この「リボンってなんなんだろう」っていう流通しているモノに対してもういちど根っこの部分にかえってふっと問いかけてみるっていうそういうスタンスがすごく短歌的な気がするんですね。
短歌だからこそ問いかけられる、たちあげることのできる〈問いの形式〉があるんじゃないかっておもったりするんですよ。言説や論説や小説でなく、短歌だからこその〈問いの形式〉が。
それは〈答え〉にならない問いだし、答えになってもいけない問いなんじゃないかともおもうんです。そういうはじめから答える気はない、むしろ問い自体にずっと遅延した答えをふくんでいるようなそういう〈問い〉があるんじゃないかって。短歌には。
だから、たとえば、ティッシュとはなんだろうか、とか。
遠い未来、ティッシュの化石が見つかって 空気にふれてきらきら 消える 柳本々々
(毎日新聞・毎日歌壇2015年10月19日米川千嘉子 選)
オリヴェイラ『家宝』(2002)。典型的なファム・ファタル(誘惑する女)としての〈悪女〉ではなく、〈さわやかな悪女〉を描く。〈悪〉って、なんなんだろう
- 関連記事
スポンサーサイト
- テーマ:短歌
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:々々の短歌