【感想】すぐ泣くすぐ知るすぐ萌える きゅういち
- 2015/10/29
- 12:00
すぐ泣くすぐ知るすぐ萌える きゅういち
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。… 清少納言『枕草子』
【世界の中心で萌えを叫ぶ】
『川柳北田辺』からの一句です。
「萌える」ってなんなのかということを考える場合にわかりやすい説明があって、それは古文の「をかし」と同じなんだと考えるとわかりやすいっていう説明があるんですよ。
つまりたとえば清少納言は『枕草子』のなかであけぼのや宵や夕暮れや早朝に「萌え」ているわけです。
だから、〈趣き〉を感じてしまったらそれは〈萌え〉なんですね。待ち合わせをして女の子にあったら、あほ毛というか髪の毛がたっていた、なんだか〈趣きを感じてしまった〉、そしたら〈萌え〉ですね。
で、あらためて川柳についてかんがえてみると、川柳ってすごくいろんな世界の事・物をあたかもそれが世界の中心にあるのかのように〈主役〉として見立てていきますよね。
たとえば、
玉砕へ走る三本足の蛸 きゅういち
となれば、ここでは一応「蛸」が主役なわけです。あるいは、
リラックマコリラックマがほとばしる 江口ちかる
となれば、「リラックマ」「コリラックマ」が主役であり、語り手は「リラックマ」にある意味で「萌え」ている。
だからわたしの言葉いうならば〈萌え〉っていうのは事物を世界の中心に据え置くことなのではないかとおもうんですよ。女の子のあほ毛に萌えたときに、それはその女の子のあほ毛を世界の中心に置いたってことだとおもうんですね。清少納言は夕暮れを世界の中心においた。
だからあえていうならば、川柳っていうのは世界のそこかしこの〈萌え〉化なのではないかと。
世界を微分して細分してあちこちに萌えをみいだしてしまった、だから定型できざみながら、萌えを記録していっているんです、と。
真夜中のあいさつチカチカしてる「やあ」 竹井紫乙
「ローワン・アトキンソンの笑いの缶詰」(1978)。〈笑い〉とは、なんだろう。〈笑い〉とは、ある事物への執着(萌え)であり、その執着によって世界のルールやあなたとの関係が変化したときに起こるショックではないだろうか。たとえば漫才に注意してみてほしい。あるささいな言葉にこだわることによってそれまでのルールが踏み外される。そのルールを修正するのがツッコミの役割なのだが、そのツッコミによってショックが生まれるのだ
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。… 清少納言『枕草子』
【世界の中心で萌えを叫ぶ】
『川柳北田辺』からの一句です。
「萌える」ってなんなのかということを考える場合にわかりやすい説明があって、それは古文の「をかし」と同じなんだと考えるとわかりやすいっていう説明があるんですよ。
つまりたとえば清少納言は『枕草子』のなかであけぼのや宵や夕暮れや早朝に「萌え」ているわけです。
だから、〈趣き〉を感じてしまったらそれは〈萌え〉なんですね。待ち合わせをして女の子にあったら、あほ毛というか髪の毛がたっていた、なんだか〈趣きを感じてしまった〉、そしたら〈萌え〉ですね。
で、あらためて川柳についてかんがえてみると、川柳ってすごくいろんな世界の事・物をあたかもそれが世界の中心にあるのかのように〈主役〉として見立てていきますよね。
たとえば、
玉砕へ走る三本足の蛸 きゅういち
となれば、ここでは一応「蛸」が主役なわけです。あるいは、
リラックマコリラックマがほとばしる 江口ちかる
となれば、「リラックマ」「コリラックマ」が主役であり、語り手は「リラックマ」にある意味で「萌え」ている。
だからわたしの言葉いうならば〈萌え〉っていうのは事物を世界の中心に据え置くことなのではないかとおもうんですよ。女の子のあほ毛に萌えたときに、それはその女の子のあほ毛を世界の中心に置いたってことだとおもうんですね。清少納言は夕暮れを世界の中心においた。
だからあえていうならば、川柳っていうのは世界のそこかしこの〈萌え〉化なのではないかと。
世界を微分して細分してあちこちに萌えをみいだしてしまった、だから定型できざみながら、萌えを記録していっているんです、と。
真夜中のあいさつチカチカしてる「やあ」 竹井紫乙
「ローワン・アトキンソンの笑いの缶詰」(1978)。〈笑い〉とは、なんだろう。〈笑い〉とは、ある事物への執着(萌え)であり、その執着によって世界のルールやあなたとの関係が変化したときに起こるショックではないだろうか。たとえば漫才に注意してみてほしい。あるささいな言葉にこだわることによってそれまでのルールが踏み外される。そのルールを修正するのがツッコミの役割なのだが、そのツッコミによってショックが生まれるのだ
- 関連記事
スポンサーサイト
- テーマ:読書感想文
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:恋する川柳