【感想】 人参を並べておけば分かるなり 鴇田智哉
- 2015/11/04
- 19:07
人参を並べておけば分かるなり 鴇田智哉
一列に並んで壁をなだめてる 一帆
【俳句と魔術】
以前も川柳のなかの〈並ぶ〉ことについてすこし考えてみたことがあるんですが、〈並ぶ〉ことって、マジカルというか、並ぶだけでちょっと魔術的になるんですね。
で、それはなんでだろうっていう。
で、実はちょっとそれって定型とも関わってくるようにおもうんですよね、図像学的な定型のありかたとも。
定型って本来は縦書きで、ネットでは横書きになるけれど、まあ〈並んで〉いるわけですよね。
ある意味、線を並べていくのが〈連作〉なんですよ。
わたしたちは連作をつくっていくときに、歌や句をある秩序をもって並べていくことによって線の図像学をしている。
だからちょっと曼荼羅や魔法陣ではないけれど、めいめいが少しだけ似通った図像をつくっているわけです。線をいっぽんいっぽん並べていく。
で、並ぶことや並べることって、そういう言語を超えた象徴性がでてきますよね。超越的象徴というか、顕現というか、言語とは関係ない図像学的ありかたがでてくる。
それがマジカルなんじゃないかとおもうんです。言葉をしているうちに言葉じゃないぶぶんもでてきてしまうっていう。
だからこの句の「分かるなり」や「なだめてる」の、なぜ〈分かる〉のか、なぜ〈なだめられる〉のかといったことの答えは、ひとつ、それは、〈並んだ〉から、〈並ぶ〉ことで魔法を使えたから、という言い方もできるんじゃないかとおもうんです。
並ぶことの神秘性。
並んでいることがきになってくると、こんどは集まることもきになってきますよね。
集まる、ってなんなのか。
なぜひとはわけもなく集まってくるのか、いったいなにをしようとしているのか、誰がそんなにも集まれというのか、なぜ部屋で寝転んでいなかったのか、次回、集まるの秘密にせまります!(集まれたら)
女子だけが集められた日パラシュート部隊のように膝を抱えて 飯田有子
グリーナウェイ『英国式庭園殺人事件』(1982)。グリーナウェイの映画っていうのは〈線〉や〈数字〉〈アルファベット〉といった記号が非常に重視されます。英国式庭園というのも、ひとつは幾何学的な線をいかに均等につくるかが主題とされる庭園です。そこで、人間関係の非対称性がにわかに浸食してくる。そのとき、なにが〈汚染〉されるのか。記号は果たして〈汚染〉されうるのか。それがグリーナウェイのいつもテーマになっているようにおもう
一列に並んで壁をなだめてる 一帆
【俳句と魔術】
以前も川柳のなかの〈並ぶ〉ことについてすこし考えてみたことがあるんですが、〈並ぶ〉ことって、マジカルというか、並ぶだけでちょっと魔術的になるんですね。
で、それはなんでだろうっていう。
で、実はちょっとそれって定型とも関わってくるようにおもうんですよね、図像学的な定型のありかたとも。
定型って本来は縦書きで、ネットでは横書きになるけれど、まあ〈並んで〉いるわけですよね。
ある意味、線を並べていくのが〈連作〉なんですよ。
わたしたちは連作をつくっていくときに、歌や句をある秩序をもって並べていくことによって線の図像学をしている。
だからちょっと曼荼羅や魔法陣ではないけれど、めいめいが少しだけ似通った図像をつくっているわけです。線をいっぽんいっぽん並べていく。
で、並ぶことや並べることって、そういう言語を超えた象徴性がでてきますよね。超越的象徴というか、顕現というか、言語とは関係ない図像学的ありかたがでてくる。
それがマジカルなんじゃないかとおもうんです。言葉をしているうちに言葉じゃないぶぶんもでてきてしまうっていう。
だからこの句の「分かるなり」や「なだめてる」の、なぜ〈分かる〉のか、なぜ〈なだめられる〉のかといったことの答えは、ひとつ、それは、〈並んだ〉から、〈並ぶ〉ことで魔法を使えたから、という言い方もできるんじゃないかとおもうんです。
並ぶことの神秘性。
並んでいることがきになってくると、こんどは集まることもきになってきますよね。
集まる、ってなんなのか。
なぜひとはわけもなく集まってくるのか、いったいなにをしようとしているのか、誰がそんなにも集まれというのか、なぜ部屋で寝転んでいなかったのか、次回、集まるの秘密にせまります!(集まれたら)
女子だけが集められた日パラシュート部隊のように膝を抱えて 飯田有子
グリーナウェイ『英国式庭園殺人事件』(1982)。グリーナウェイの映画っていうのは〈線〉や〈数字〉〈アルファベット〉といった記号が非常に重視されます。英国式庭園というのも、ひとつは幾何学的な線をいかに均等につくるかが主題とされる庭園です。そこで、人間関係の非対称性がにわかに浸食してくる。そのとき、なにが〈汚染〉されるのか。記号は果たして〈汚染〉されうるのか。それがグリーナウェイのいつもテーマになっているようにおもう
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