【ふしぎな川柳 第十二夜】わたしの運命-竹井紫乙-
- 2015/11/09
- 22:17
運命が変わるテレビを見てしまう 竹井紫乙
運命が歴史に先だつのではなく歴史が運命に先だつ。運命とは修史家の歴史、生き残りの歴史であって、彼らは死者たちの作品を解釈する。つまり、彼らは死者たちの作品を利用するのだ。 レヴィナス『全体性と無限』
【運命無法地帯】
これはわたしが勝手におもってることなんですが、《運命》ってチープであればあるほどいいなっておもうんですね。
というよりも、それこそ実は《運命的》ってことなんじゃないかとおもうんです。
運命っていうのはたぶんなんにもないところ、偶発的な場所を《必然》だったとおもうときに起こるものですよね。だから、実は運命ってどこにでも転がってるし、思い次第では、たいへんチープなものでもある。
たとえば、信号が青信号ばかりだったっていう、偶然性も運命といえば運命なんですよ。
つまり、運命の仕組みって、いかにチープなものを高尚なドラマに持ち込めるかみたいなとこにあるんじゃないかとおもうんですよ。深見じゅんのマンガ『悪女』なんかはそうですよね。ふっとハンカチをひろってもらって、ひとめぼれしてしまう。あとはその運命を運命と信じて出世していく女性の物語です。原因は、チープでいいんですよ。
しおとさんの句も、「テレビ」で運命が変わってしまう。テレビだからそんなに大したことはないかもしれないし、虚実ないまぜかもしれない。そんなに注意してみていたわけでもなかったかもしれない。でも「運命」は変わった。チープが高尚に変転するしゅんかんにたちあった。
運命っていうのは、よくわからない。よくわからないけれども、これは運命という以外、言いようがない〈なにか〉にひとはであうことがある。だとしたら、あとはその運命のシステムを構築していくだけなんです。はしりはじめながら。
運命て何だ重なる縞模様 竹井紫乙
ウルトラマン第23話「故郷は地球」(1966)。怪獣文化ってたぶん着ぐるみ文化でもあったとおもうんですね。みんな、着ぐるみを着ていることは知っている。でもそれだけじゃない〈なにか〉がそこにでてきてしまっている。ふっとクールにみるとチープなんだけれども、チープといいきれない〈なにか〉が出てきている。たとえば、文楽もそうですよね。動かしているひとがあからさまにみえている。それはある意味で〈チープな機構〉です。でもそのなかでふるえる文楽人形、人形を動かしているひとの筋肉のふるえがそのまま文楽人形のボディのふるえと重なっていく。なんだろう
運命が歴史に先だつのではなく歴史が運命に先だつ。運命とは修史家の歴史、生き残りの歴史であって、彼らは死者たちの作品を解釈する。つまり、彼らは死者たちの作品を利用するのだ。 レヴィナス『全体性と無限』
【運命無法地帯】
これはわたしが勝手におもってることなんですが、《運命》ってチープであればあるほどいいなっておもうんですね。
というよりも、それこそ実は《運命的》ってことなんじゃないかとおもうんです。
運命っていうのはたぶんなんにもないところ、偶発的な場所を《必然》だったとおもうときに起こるものですよね。だから、実は運命ってどこにでも転がってるし、思い次第では、たいへんチープなものでもある。
たとえば、信号が青信号ばかりだったっていう、偶然性も運命といえば運命なんですよ。
つまり、運命の仕組みって、いかにチープなものを高尚なドラマに持ち込めるかみたいなとこにあるんじゃないかとおもうんですよ。深見じゅんのマンガ『悪女』なんかはそうですよね。ふっとハンカチをひろってもらって、ひとめぼれしてしまう。あとはその運命を運命と信じて出世していく女性の物語です。原因は、チープでいいんですよ。
しおとさんの句も、「テレビ」で運命が変わってしまう。テレビだからそんなに大したことはないかもしれないし、虚実ないまぜかもしれない。そんなに注意してみていたわけでもなかったかもしれない。でも「運命」は変わった。チープが高尚に変転するしゅんかんにたちあった。
運命っていうのは、よくわからない。よくわからないけれども、これは運命という以外、言いようがない〈なにか〉にひとはであうことがある。だとしたら、あとはその運命のシステムを構築していくだけなんです。はしりはじめながら。
運命て何だ重なる縞模様 竹井紫乙
ウルトラマン第23話「故郷は地球」(1966)。怪獣文化ってたぶん着ぐるみ文化でもあったとおもうんですね。みんな、着ぐるみを着ていることは知っている。でもそれだけじゃない〈なにか〉がそこにでてきてしまっている。ふっとクールにみるとチープなんだけれども、チープといいきれない〈なにか〉が出てきている。たとえば、文楽もそうですよね。動かしているひとがあからさまにみえている。それはある意味で〈チープな機構〉です。でもそのなかでふるえる文楽人形、人形を動かしているひとの筋肉のふるえがそのまま文楽人形のボディのふるえと重なっていく。なんだろう
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