【短歌連作】「もともととゆくとととと展」『かばん』2015年11月号
- 2015/11/12
- 21:05
【詞書】ジャンクションの弧線が光る ささやかな意志の前途を讃えるように 岡野大嗣
二〇一五年八月二日に道に落ちている青いハンカチ
牛さんに杉浦日向子を渡すため大阪に行き大阪を出る
ゆくりなく法橋さんと話し合うわたしは彼と風邪の話する
岡野、安福、柳本のさんにんがさんにんだけの楽屋の静寂(しじま)
ととととで龍翔さんこんにちはといえば龍翔さんがほほえんでくださる
岡野大嗣・安福望がわたしをじっとみているなにをいうのかと
会場をあとにするとき鈴木晴香におじぎをして出るととととだった
「その雨は雨いがいの生を雨として生きようとしている雨なのです。」
柳本々々「もともととゆくとととと展」
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【添え書き】
安福望さんがスターウォーズのボバ・フェットが好きだというので、私もなんですよ私も今回ジェットパックで背中から火を噴きならしながら大阪にきたかったくらいなんですよ、と言ったら、安福さんが、だまる。岡野さんが、ちらっとわたしを、みる。
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ふらみらりさんからていねいな歌評をいただきました。ありがとうございました!
宿敵が天使のようにすやすやとねむるすがたが好きだ連れて行く 柳本々々
「好きだ連れて行く」で終わる連作八首。どれも意外性のある選択で、面白い。はっと惹かれた光景をひきよせて自分のものにしたい。「連れて行く」ということは、そういう瞬間のかがやきを、ぎゅっとさわれる物体にして自分がいつでも眺められるように所有したい気持ちですね。 ふらみらり
*
炎天に洗われているアスファルトこれがコンビニまでの道行き ふらみらり
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