【川柳連作】「進撃の乙女」『おかじょうき』2015年11月号掲載作
- 2015/11/16
- 11:43
乙女走りの巨人の視野にいない俺
引力の始原 バベルのプラモデル
沈黙の継ぎ目をつなぎ黙り切る
柿が好き鐘も大好き法隆寺
ゴジラにもコンビニがきらきらしてる
柳本々々「進撃の乙女」『おかじょうき』2015年11月号
*
すぐに抱けたから余所の子供である 田久保亜蘭
抱き上げるとねじが落ちてくるこども 柳本々々
*
壁を喰っているから鬼と呼ばれる 柳本々々
原っぱで乙女座りでしかも鬼 〃
(題「鬼」・須藤しんのすけ 選)
バビロンに吉本ばななが流れてる 柳本々々
(自由詠・むさし 選)
【研究吟】
「高速の…」「あれはなんです?」「…ネコヤナギ」 柳本々々
◆「いずれ、視る川柳と聞く川柳は分離していくのではないか、今その分岐点に立っているのでは?」との発言があった。ドキリとした。ネット句会も盛んに行われ、十七音に絵文字や記号が加われば表現に幅ができるのは確かだろう。◆「研究吟として挑戦的な句を!」と何度か書いて来たが、挑戦的を意識するあまりムリを生じさせていないか。目指す所はどこか?投票する基準もそれぞれ微妙に違う気もするし、このままでいいのかといつも感じている。 熊谷冬鼓
定型における記号と言葉の関係についてこの熊谷さんの言葉は大事なように思いました。記号を使うか使わないかという選択がそのひとそのひとの境界的な役割もしているし、そのひとがどんな場所でどこに向けて言葉を発しているかによって使われた記号の意味作用も変わってくる。「挑戦」と「ムリ」のラインはどこらへんで引かれていくのか。またそのラインは場所や時代にあわせてどう変わっていくのか。他ジャンルとのかねあいでも変わっていくのかどうか。考え続けていきたい問題だなとおもいます。
*
何をしているかと雨が降ってくる むさし
おにぎらずできた徘徊しに行こう 〃
姉らしくいもうとらしく電子音 ひとり静
父はもうペパーミントの息をする 徳田ひろ子
終電の窓際 文字列が沈む 須藤しんのすけ
赤い羽根 君を待つのはもうやめた 〃
思いつくままに書き足す秋の単語 熊谷冬鼓
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