【ふしぎな川柳 第二十八夜】 UFOは終わらない-くんじろう-
- 2015/11/21
- 06:47
空からはきっとUFOしか来ない くんじろう
【オカルトの代数学】
『川柳北田辺62号』2015年11月から、くんじろうさんの一句です。
木原善彦さんの『UFOとポストモダン』という本や、一柳廣孝さんの一連の〈学校の怪談〉や〈オカルトブーム〉に関する仕事をずっとみていて思っていたことではあったんですが、UFOってたぶんなによりも〈言説〉としてあるとおもうんですよ。
つまり、UFOっていうのは〈みた/みてない〉という視覚が特権化されがちなんだけれど、大事なのはくちびると手の領域、どう語られて・どう書かれたかだとおもうんですね。UFOに関しては、証言といった語りの次元と記録といったエクリチュールの次元がそれぞれ別個の言説システムをもちながら大事なような気がする。
国の機関が残すXファイルとしての書かれたUFOの次元と名もないひとびとが指さしながら口々に語るUFOの次元が立体的に絡み合ってUFOの次元ができている気がするんですよ。だからちょっと民俗学の作法にも近いのではないかという気もする。
で、くんじろうさんのこのUFOの句なんですが、おもしろいのが題が「国境」で詠まれた句なんですよね。
で、ウルトラセブンをみていると、だいたいの星人がみずからのナショナリティやエスニシティのようなものを背負って地球に侵略してくるのをみる限り、わたしたちの空からは、ある共同体に帰属された言説が降ってくるのではないかとおもうんです。いつも。空や宇宙から。
それはもちろんわたしたちがいま帰属している共同体の投影でもあるとおもうんだけれど、言説が時代や文化や国によって変遷していく限り、言説っていうのはいつまでも〈UFO(未確認飛行物体)〉なんじゃないかなっておもうんですよ。
ひとがどこから・どんなふうに・なにを語ろうとするかをみる限りにおいて、エイリアンもネッシーもチュパカブラもツチノコもフライフィッシュもきょうみぶかいのではないかと、おもう。
ケモノですかQイチですか ケモノ くんじろう
ロブ・ボウマン『Xファイル』(1993~)。『Xファイル』って1993年から始まっているんだけれども、ちょっと興味深いのはこの頃から冷戦構造の対立が終わって「文明・文化の衝突論」というものが出るような時代に入っていってる時期だということです(ハンチントンの「文明の衝突」論は1996年)。ウルトラセブンは冷戦下・冷戦構造のなかでつくられているんだけれども、Xファイルは冷戦構造ではなく、そういう対立が解消されて、こんどは異文化との衝突(それはいまだに続いている)の時代がやってくるそういうなかでUFOやUMAを追いかけるXファイルがつくられていったということです。だとするとこの「X」っていうのはつねにそういう異文化の終わりなき対象化=他者化としての代数としてあったんじゃないかともおもうんです。
フィギュアはムーミン谷の火星人と『マザー』のゲップー
【オカルトの代数学】
『川柳北田辺62号』2015年11月から、くんじろうさんの一句です。
木原善彦さんの『UFOとポストモダン』という本や、一柳廣孝さんの一連の〈学校の怪談〉や〈オカルトブーム〉に関する仕事をずっとみていて思っていたことではあったんですが、UFOってたぶんなによりも〈言説〉としてあるとおもうんですよ。
つまり、UFOっていうのは〈みた/みてない〉という視覚が特権化されがちなんだけれど、大事なのはくちびると手の領域、どう語られて・どう書かれたかだとおもうんですね。UFOに関しては、証言といった語りの次元と記録といったエクリチュールの次元がそれぞれ別個の言説システムをもちながら大事なような気がする。
国の機関が残すXファイルとしての書かれたUFOの次元と名もないひとびとが指さしながら口々に語るUFOの次元が立体的に絡み合ってUFOの次元ができている気がするんですよ。だからちょっと民俗学の作法にも近いのではないかという気もする。
で、くんじろうさんのこのUFOの句なんですが、おもしろいのが題が「国境」で詠まれた句なんですよね。
で、ウルトラセブンをみていると、だいたいの星人がみずからのナショナリティやエスニシティのようなものを背負って地球に侵略してくるのをみる限り、わたしたちの空からは、ある共同体に帰属された言説が降ってくるのではないかとおもうんです。いつも。空や宇宙から。
それはもちろんわたしたちがいま帰属している共同体の投影でもあるとおもうんだけれど、言説が時代や文化や国によって変遷していく限り、言説っていうのはいつまでも〈UFO(未確認飛行物体)〉なんじゃないかなっておもうんですよ。
ひとがどこから・どんなふうに・なにを語ろうとするかをみる限りにおいて、エイリアンもネッシーもチュパカブラもツチノコもフライフィッシュもきょうみぶかいのではないかと、おもう。
ケモノですかQイチですか ケモノ くんじろう
ロブ・ボウマン『Xファイル』(1993~)。『Xファイル』って1993年から始まっているんだけれども、ちょっと興味深いのはこの頃から冷戦構造の対立が終わって「文明・文化の衝突論」というものが出るような時代に入っていってる時期だということです(ハンチントンの「文明の衝突」論は1996年)。ウルトラセブンは冷戦下・冷戦構造のなかでつくられているんだけれども、Xファイルは冷戦構造ではなく、そういう対立が解消されて、こんどは異文化との衝突(それはいまだに続いている)の時代がやってくるそういうなかでUFOやUMAを追いかけるXファイルがつくられていったということです。だとするとこの「X」っていうのはつねにそういう異文化の終わりなき対象化=他者化としての代数としてあったんじゃないかともおもうんです。
フィギュアはムーミン谷の火星人と『マザー』のゲップー
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