【川柳連作】「たんぽぽのお酒」『触光』45号・2015年12月掲載作
- 2015/12/11
- 12:00
たまねぎの範囲のなかでする会話
タンバリンじゃらん善いひと悪いひと
たんぽぽに言われる「リスペクトしてる」
たんぽぽのお酒を飲んで次の風
ぬりかべの工作キット星よっつ
柳本々々「たんぽぽのお酒」『触光』45号・2015年12月号
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清水かおりさんから次のていねいな句評をいただきました。清水さん、ありがとうございました!
くろやぎさんをきづかうためのいくさです 柳本々々
童謡「やぎさんゆうびん」の歌詞は不思議な繰り返しの世界に引き込まれる。しろやぎとくろやぎ、お互いの手紙をお互いが差出人とわかっていて読まずに返事を出し続けるのだ。本当は読んではいけないことが書かれてあると解っているが、双方返事を出さなければならない立場にあるのかもしれないと考えると、たちまち、国際間の駆け引きなどを思ってしまう。「きづかう」「いくさ」へのアプローチは読者と社会との関わり方で左右される。以前、バックストローク誌で読んだ石田氏の、意味を付加する読みはいくらでも成り立つが付加したものはいつの間にか滑り落ちる、という言葉を思い出した。現代の川柳の様相は実に様々だ。伝統や革新という呼び方はもとより何々派という画し方も当てはまらない自由さを得ている。読者が作者の個性に注目した読みを展開し、作者は個の確立に研鑽を積んだ。そのような作者と読者の関係性も、すでに変化し始めているように感じる。 清水かおり「前号「触光集」鑑賞」
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どんどん儚くなってゆく貌というもの 清水かおり
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