【ふしぎな川柳 第四十八夜】きみのことずっと待ってた-石川重尾-
- 2015/12/20
- 11:44
巨大迷路ついに一人も出てこない 石川重尾
【ふっと口をついて出てしまう「ついに」】
この句の「ついに」っていうところがいいなとおもったんですよね。
「ついに」っていうのは漢字で「終に」とも書きますが、つまり〈終わり〉まで語り手は〈見届けてる〉んですよ。誰も「一人も出てこない」ところをちゃんと見届けるまで語り手は待っていたわけです。巨大迷路の外で。
それが「ついに」という3音に凝縮されている。
だからこの句のふしぎさって「巨大迷路」にあるんではなくて、語り手がふっと漏らした「ついに」にあるはずなんですよ。
語り手が巨大迷路の外で、巨大迷路とずっといっしょにいた時間。
それがここにあらわれている。
でもそれでも語り手は語りつづけようとした。
どうなっても語りつづけようとする、勇気。
封を切るジャングルジムのてっぺんで 松岡瑞枝
ルドン「ヴィジョン」(1879)。以前、三菱一号館美術館にルドン展をみにいったことがあるんですが、この絵がとてもよくてですね、左下に手をつないだカップルがいますよね。眼前には空中に浮かぶ巨大な眼球があるんだけれども、それでも手をつないでいるカップルがいるっていうその超越的不条理と俗世的手つなぎがよく連携されている絵なんじゃないかと思うんですよ。じゃあじぶんはこんな状況になったら手をつなげるひとはいるのかとかいろいろ考えさせる絵なわけですよ。それでわたはその絵の前にたってずっと考えていたんですよ。わたしの〈ついに〉について。
【ふっと口をついて出てしまう「ついに」】
この句の「ついに」っていうところがいいなとおもったんですよね。
「ついに」っていうのは漢字で「終に」とも書きますが、つまり〈終わり〉まで語り手は〈見届けてる〉んですよ。誰も「一人も出てこない」ところをちゃんと見届けるまで語り手は待っていたわけです。巨大迷路の外で。
それが「ついに」という3音に凝縮されている。
だからこの句のふしぎさって「巨大迷路」にあるんではなくて、語り手がふっと漏らした「ついに」にあるはずなんですよ。
語り手が巨大迷路の外で、巨大迷路とずっといっしょにいた時間。
それがここにあらわれている。
でもそれでも語り手は語りつづけようとした。
どうなっても語りつづけようとする、勇気。
封を切るジャングルジムのてっぺんで 松岡瑞枝
ルドン「ヴィジョン」(1879)。以前、三菱一号館美術館にルドン展をみにいったことがあるんですが、この絵がとてもよくてですね、左下に手をつないだカップルがいますよね。眼前には空中に浮かぶ巨大な眼球があるんだけれども、それでも手をつないでいるカップルがいるっていうその超越的不条理と俗世的手つなぎがよく連携されている絵なんじゃないかと思うんですよ。じゃあじぶんはこんな状況になったら手をつなげるひとはいるのかとかいろいろ考えさせる絵なわけですよ。それでわたはその絵の前にたってずっと考えていたんですよ。わたしの〈ついに〉について。
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