【お知らせ】「特集・法橋ひらく第一歌集『それはとても速くて永い』の「それはとても惹かれる一首」」/「かばん十月号評「八十人のワンマン・ショー 十月号惑星間飛行」」『かばん』2015年12月号
- 2015/12/20
- 23:19
それを覚えておくにはあまりにも「速くて永い」短歌をひとはいつもどうやって追いかけるんだろう。 柳本々々
2015年12月号の今月のかばんでは法橋ひらくさんの歌集『それはとても速くて永い』の特集が組まれていたんですが、「それはとても惹かれる一首」に声をかけていただいて「どれだけ覚えておけるんやろう真夜中の砂丘を駆けて花火を上げた」という歌集のいちばん最初の歌について書かせていただきました。
法橋さんの歌の「おけるんやろう」っていうようなローカルな言語って特徴的だと思うんだけれど、さらにそれが特徴的なのはローカルな言語なのに普遍性をもっている、自分がかつて使っていた言語のような気がしてしまうんですよ。で、それってなんだろう、とときどき考えています。短歌だからなのか、それとも設定なのか、それとも言辞なのか。
法橋さんの歌はローカルな言語で、普遍的なものをつかみとろうとしているように思うんですよ(もちろんそこでつかみそこねることが詩性になったりもするんだけれど)。
だからその〈普遍的なもの〉が「それ」かもしれないですよね。つかみとろうとして・つかみそこねるもの。覚えとろうとして・覚えそこねるもの。
短歌の定型というのはひとつの「呼びかわすための器官」なのかもしれない。それはどこか機械的な機能=器官でありながら、他者と共鳴するための肉=器官ももっている。でもそれ自体は音を発せず、「今は静かな」という状態でありつづける。つまりいうなれば、定型器官。 柳本々々
また、今回、かばんの前号評も書かせていただきました。今年は二回書かせていただいたんですが、じっくりと『かばん』にあたまから終わりまですべての連作に眼を通すことはほんとうに勉強になります。連作って、ほんとうに、ひとつの惑星みたいに、それぞれにルールがあるんですね。
ですから今回は、めいめいがワンマン・ショーをしている惑星をみていくということで、「八十人のワンマン・ショー」というタイトルにしてみました。
「ワンマン・ショー」は、わたしの好きなペンギンプルペイルパイルズの『ワンマン・ショー』からとってみました。
みんな、死ぬまで、じぶんとたにんとあいするひととあいせないひととの〈ワンマン・ショー〉を行って、いく。
誰とでも寝ればよかった踏み外すほどの梯子も道もないのに 法橋ひらく
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